第六話 不穏と葛藤
う~ん俺の家は暗かった・・・先ほどの毒リンゴ事件のせいだ。
「あーうーまま・・・あーうーぽぽ」
俺は、この不穏な空気を吹き飛ばすべく必死になって両親に話しかけた・・・。
「んっ・・・、アルっごめんなっ俺のパパのせいでお前を危険な目に・・・」
お父さまの目からは少しだけお水が出ていた・・・。
「ラングっあなたのせいじゃないわ・・・だけどもうアルの食事は私が用意した食材の物だけにしましょう・・・それじゃさっそく食材を買いに行きましょう~ねっ」
お母さまは不安を吹き飛ばそうと笑みを浮かべようと頑張っていた。
「こんにちわ~どなたかいらっしゃいませんか~」
「あらっ誰か来たみたい・・・アルちゃんをお願いねラング」
お母さまはお客様を迎えに俺をお父さまに預けて外の門の方へと出て行ってしまった。
さっきの毒リンゴの事件もあるし・・・一応誰が来たのか見るか。
誰が来たんだろうと思いながら<ニュースサイト>の最新記事を開く
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1048 カトラ・バラス カイラス家を訪問する
今日の午前10時48分ごろ グリナダス王国5-6番地カイラス家にカトラ・バラスが訪問した模様。
昨日のアルスロットの救い主であり、快く迎え入れたライラ・カイラスは一家でカトラ・バラスを歓迎したようだ。
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あ~、昨日の芝生の君・・・カトラ・バラスさんていうのか。昨日は俺・・・無理なハイハイして元気な姿をアピールした後に気絶してたからな~。
よしっ俺の大恩人だし思いっきりサービスするぞっ俺のうふふっパチッで瞬殺、はっちがう違う・・・心をつかんで見せるっ!!
すぐにお母さまから大きな声で
「アルちゃん~カトラお姉ちゃんが来たわよ~」とさあ上がってとカトラさんが入ってくる。
俺はすかさず、うふふパチッと最高の可愛い笑顔を披露する、が・・・あっあれ・・・?。なぜかカトラお姉さまは真剣な顔で俺を見ていた・・・。
「君がカトラちゃんかな?昨日は家のアルスロットの大けがを直して助けてくれたそうで、本当にありがとう・・・」
「カトラちゃんは命の恩人よっほらっアルちゃん、カトラお姉ちゃんよ昨日アルちゃんの怪我をぱっと直しちゃったすごいお姉ちゃんなのよっ」
はい、それは存じております。俺はさっきの笑顔は空振りしてしまったので今度こそはと最高の笑顔と「あーと」と感謝の言葉を心を込めて伝えていた。
両親からと俺との視線を受けさすがに先ほど見せた真剣な顔は引っ込み、カトラお姉さまは微笑みながら俺の体の状態の経過を見に来たと訪ねてきてくれたそうだ。
ライラお母さまが俺をカトラお姉さまに抱っこさせる・・・
「アル君ありがとう。元気そうで私はとっても嬉しいよ、それとアル君は私の人生に光を灯してくれた・・・魔法を使えるようになったボクは魔法学校をやめて冒険者になろうと思ってるんだ。また、元気なアル君に会いに来るよ・・・」
カトラお姉さんは俺にほっぺをくっつけてギュッとしてくれた・・・。
「そうだわっこれから出かけようとしていたのだけど、カトラちゃんも一緒にどうかしらっ?アルもきっと喜ぶしねっ」
「いえっ私はもうお暇しようと・・・アル君も元気そうですし安心しました。・・・・・・・・・・・・お礼もできたしね・・・」
「またいつでも来てくれ」
「カトラちゃん本当にありがとうね・・・またいつでも来て頂戴ねアルと一緒にいつでも歓迎するわっ」
「はいっ、ありがとうございます。アル君またね!」
「あうー」
俺は家の門の前でカトラお姉さまを見送っていた。
「さあっ食材を買いに出かけましょうかねっ火の確認と戸締りを確認しましょう」
「ああ、大丈夫だった。アル~今日はパパが抱っこだぞ~」
おっお父さまが俺を抱っこしてくれるのか・・・勢いよくお母さまより高い視線で抱っこされると。
「う゛~」
「あっラングっ!ダメよそんなに勢いよく抱っこしちゃったら・・・ほらっアルちゃんびっくりしちゃったわ」
「うっうわっ、アルっごめんなっ怖かったか?」
「う゛~う゛~」
やっぱ俺も赤ちゃんなんだな~ほんとに怖くて声が勝手に出ちゃう。
「ほっほら、べろべろんば~ばばばっパパの変な顔だぞ~面白くないか~あばばばっ」
うっお父さまっツバが飛んできてますっ!でもお父さまのお顔はとっても変で俺は思いっきり笑いながら大通りへと抱っこされながら歩いていった。
「失敗したようだな・・・グース様に知らせてくるんだ」
「はっはいっ!」
「おい新入りのガキ、もっと静かに返事をするんだ。次は無いぞ・・・」
「・・」
「しっ失敗しました・・・」
「なんだと?今なんと言った・・・。あの毒は無味無臭のとんでもなく高い金を出して買ったものだぞっ!!それが失敗だと?どいう事だっ!!!」
そう言うとグースは手に持っていたグラスを投げつける。カシャンと軽い音がして割れてしまう。
「・・・・・・・・」
「何か言ったか?」じろりと睨めつけてくるグースは
「おいっ、確かラング・カイラスには子供がいたな・・・ふむ、そいつを人質にして・・・おい、聞こえてたか?すぐに奴の息子をさらってこい」
「そっそれは・・・さすがに・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
剣聖がどんな存在か・・・わかっているのか・・・?剣の頂点に立つ者だぞ・・・やつの剣術はつかみどころがなく、気が付いた時には死だ・・・御前試合が何度か行われているが見たことがあるだろうに・・・。
「わしがさらってこいと言ったんだっ!!とっとと行けっ!!!拾ってやった恩も返せないのかっ」
「うっ・・・はい、すぐにラング・カイラスの息子をさらうべく動きます・・・」
そう言うとすぐに出て行けと言われ俺は奴の豪華絢爛な悪趣味な執務室から退出する。
くっそっ、俺は・・・先ほどラング・カイラスを監視していた息子のチンピから連絡を受け失敗の報告をしたが何でこんなことをしてるんだと・・・しかも生まれて間もない赤ん坊をさらって来いなど・・・。ちくしょうっ、俺は屋敷から出た庭の隅に建てられた粗末な家の中で自分を自問していた・・・。
「と、父さん・・・」
「チンピか・・・どうした」
「父さんこそ、どうしたんだよ・・・あっ今日は残り物に良い物があったんだぜ。ほらっステーキの切れ端が残ってたんだ。軽く温めて食べようよっ」
ああ、俺はグースに拾われていなければ・・・この残り物さえ口にできなかったんだと思い出す・・・。そして俺は今日の糧を食べながら自分の勝手な生き方を肯定していった。
「きたかっわしの声がかかったらさっさと来い、いいな?」
朝っぱらから呼び出されたと思ったら、いきなりこれか・・・で何の用だと訝しんでいると。
「お前に魔道具を預ける・・・これは命獄の宝石と言うものでな・・・本来は珍しい昆虫や鳥などを命の鍵を使い閉じ込め鑑賞する物だ」
「そっそれは・・・人間に使えないのでは・・・」
「そこはわしの力でな、人間にも使えるものだもちろん鍵はわしだから誰にも開ける事は出来んぞっこれで・・・剣聖ラング・カイラスはわしの言いなりだ。わっははははははっ」
俺の前で笑うグースは狂気に取りつかれていた・・・。
「チンピでかけるぞ・・・新しい指示をグース様から頂いた・・・。まずは監視をして行動範囲と時間を確かめる、お前にはしんどいだろうが手伝ってもらうぞ」
「うん・・・父さん、俺がんばるよ」
俺は息子を・・・こんなことに巻き込んでいいのか・・・最低な父親だな。だがこれ以外に生きていくことが出来ないんだすまない・・・。
こうして、俺はラング・カイラスの息子を誘拐するべく少しずつ着実に準備を進めていったのだった。