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第五十九話 崩壊と逃亡

「緊急速報 934 ヒルダ・トリニテに凶刃が」


んっ、どうやらこの混乱を使ってヒルダさんを・・・。俺はヒルダさんを殺す奴が行動を移される4分前にはこうして緊急速報ですべてを把握していた。

確か・・・ヒルダさんの胸に毒が付いた短剣が投げつけられ殺される・・・そのまま心臓に刺されば即死、かすっただけとしても毒で死ぬと言う訳だ。

まあ、緊急速報では刺さって死ぬと、書かれていたので俺が何もしなければヒルダさんはそのまま凶刃に倒れ死んでしまう・・・。

この場、謁見の間では帯剣は許可されていないので魔人剣は神の宝箱にしまっている・・・ここで出すと神の宝箱の事がバレるかもしれないから出さないけどね。

チャトラアーマーで十分だな・・・俺は4分後にあと2分ほどだが・・・にヒルダさんに危害が加えられる前に魔力を体に流し<身体強化>をする、チャトラアーマーの方は微量の魔力で十分だろう・・・。


魔力を流し身体強化を上げた後は・・・おもむろに俺は後ろを向く・・・。中級貴族たちから何事かっ!!陛下のご前で背を向けるとはっ!!ともはや怒鳴り声が聞こえてくるが無視をする・・・。


そんな俺をアスハブ陛下とヒルダさんが心配するが・・・次の瞬間には俺の姿は消え、中級貴族たちが群がる列の中から一人の腕を取りチャトラシールドで殴り飛ばす。


「アルスロット突然に、いかがした・・・」


「アスハブ陛下・・・御前失礼いたしました・・・。僕の視界に刃物を持った者が映りましたので失礼は承知の上に無力化をいたしました」

俺は刃を手に握りしめたまま気絶している中級貴族らしい男をつき出すとすぐに陛下の横で成り行きを見守っていた王の剣の二人のうちの一人が短剣を取り上げ調べ始め・・・アスハブ陛下へと報告する。


「陛下・・・毒が塗られた短剣です。この大きさだと投げるのに特化した物と思われます・・・」

すぐに、男から毒の短剣を取り上げ身体検査を済ませると手足を縛り正座をさせ更に太ももをきつく縛り上げる。



・・・<神の目>俺は神の目を使い強制的に、気絶した男の口から黒幕を吐かせる・・・。


「「私に毒の刃を持たせて・・・ヒルダ・トリニテを殺すように命令したのは・・・ゾンガ様とウング様だ」」


突然の気絶していた男からの告白に、あれだけ騒がしかった場がシーンと静まり返り誰かが唾を飲み込む音までが広い謁見の間に響き渡る・・・。


そして、少しずつざわつき始めると・・・。


「なんだとっ!!!きさまっ!!私はお前にそんなことは指示したことは無いぞっ!!!」


「ははは・・・私と、ゾンガが・・・そんなわけがあるまいよ・・・」


さらに俺は神の目を強く発動する・・・右目はこれで完全に視力を無くす・・・くっ痛みはないけど視力が無くなると不安で押しつぶされそうになる・・・。


「「その二人は・・・ヴァンプ族の香辛料を中心とした高級食材などの市場を牛耳り本来の適正価格の数倍の値段で王国民に販売をしている・・・。商業ギルドに卸値を無茶苦茶な高値に設定を強要してほとんどを自分たちの懐に・・・」」


「ゾンガにウング、この者はこう言っておるが・・・申し開くことはあるか?今からワシは商業ギルドに監査を入れれば・・・」


「ええいっ!!陛下っこのような者の戯言を信じるのですか?ヒルダ・トリニテを殺そうとしていた者ですぞっ!!!」


「そうでありますな・・・アスハブ陛下このような者から出た虚言に耳を傾けられては・・・」


「しかし、虚言としても・・・商業ギルドを調べればいいだけの事じゃと思うがのう」


「うっ・・・それはっ!!そっそうだ、申し訳ありませぬが私はここで退席させてもらいますぞっ。このような小僧の報告なんぞ聞いておる暇はありません」


「わ、私も・・・ゾンガどのに頼まれている共同事業の打ち合わせを・・・ああ、忙しい・・・」


「ワシは別に構わんが・・・そちたちはいいのか?アルスロット・カイラスを殺さなくて」


おいおい・・・アスハブ陛下・・・。


「緊急速報 956 アスハブ・ギルン・グリナダスに凶刃が向けられる」


「ん~どうやら、僕を殺そうと思ってるんじゃなくて陛下をみたいですよ?ねえ?ゾンガ様にウング様?」


「なっなんだとっ!!陛下私は建国よりこのグリナダスに貢献してきた大貴族ですぞっ!!それがこんな下級貴族の小僧など・・・に・・・」


「こんな下級貴族のクソガキが・・・そう・・・だ・・・」


俺は<神の目>を軽く発動するとゾンガとウングは、徐々に声が出なくなり最後の声はパクパクと口が動くだけで声さえ出なくなっていた。


「どうしたのだ?申し開きをしっかりとしてみよ・・・」アスハブ陛下が促すが・・・二人に口からは真実の悪事以外の声は出すことが出来なくなっていた・・・。








「くそうっ!!ウングっこんな茶番は終わりだっ!!アスハブよお前はここで死ぬのだっ!!グリナダスの王権は我にありっ!!!」


「くひゃひゃ、お前たちは後で全員殺してあげますよ・・・」


真実の悪事だけしか声にすることが出来なくなった二人は、開き直ったのかこれから起こそうと思っている悪事をぶちまけ謁見の間から周りの貴族を乱暴に突き飛ばしながら逃げてしまっていた。




「アルスロット・・・ワシが力がないばかりにこのような国にしてしまった・・・」


アスハブ陛下はお優しい・・・うんそれだけで十分だ、剣は剣聖のお父さまがいるし・・・知略はちょっと抜けたところがあるみたいだけどヒルダさんやメリダさんその他にもしっかりとした人たちがアスハブ陛下をサポートしているはずだ。


「いえ、アスハブ陛下のお優しい治政は王国民から愛されています」俺は出来るだけ笑顔を向けてアスハブ陛下に応えるが、もう4分はたったかな・・・そろそろ・・・。



「陛下っ!!緊急事態でございますっ!!大広場にゾンガ様とウング様の私設軍と思われる軍隊が列を形成しながら前進っ!!すでに王城門は落とされたとの事ですっ!!」


「そうか・・・かなり速い動きじゃ。どこかに私設軍を潜ませてヒルダを殺すと同時に動く手はずだったのかのう?王国軍剣聖部隊を・・・ラングには出来る限り命は取らぬようと伝えるのだ」


「アスハブ陛下・・・お父さま・・・剣聖部隊にはアスハブ陛下の護衛を、あの二人は必ずお命を狙いに来ます・・・そして今回の事は僕が彼らの悪を引き出しました。その後始末は僕にお任せさせてくれませんでしょうか?」


「アルスロットおまえが・・・どうしてそこまでする?前にも言ったがお主はまだ子供だ大人の都合に・・・ふはは、まいった巻き込んだのはワシの言がきっかけじゃったのう・・・ふむ・・・ラングには後で恨まれるかもしれぬが・・・アルスロット・カイラスよ王城での帯剣を許し我に刃を向ける者達を殲滅する命を言する」


「はっ、アスハブ・ギルン・グリナダス陛下の言・・・速やかに殲滅してご覧に入れます」


すでに、中級貴族たちは逃げる者と剣聖ラングを、王国軍を、その他の王城で働く者たちの避難をと一斉に謁見の間より退出し。ここに残っているのは・・・アスハブ陛下に二人の王の剣、ヒルダさんと俺だけとなっていた。





うん・・・この、メンバーなら大丈夫かな・・・俺は胸のベルトの丸いボタンへと魔力を流しながら触ると、目の前には俺の魔剣が神像のコアの鞘に包まれ出現していた。


「どうした主アルスロットよ・・・」ただの短剣からは吹き出るような魔力は一切なくシンと静まり返るが強烈な凄みがあり、謁見の間にいる皆目を集めていた。


「アルスロット・・・その剣はいったい・・・」


「これは僕の魔剣です、魔族の力を滅する剣で魔人剣とも言います」


「なんじゃと・・・それは魔人族の秘宝じゃぞ?」


「そうみたい?ですね、どうやらコイツはルーチェが言うには、あっ実際に聞いたのはカルマータからですが・・・だいぶ昔に魔人族の国で行方不明になりグリナダス王国で数十年は武器屋ガイルグの隅っこの棚の奥で眠っていたようです」


「はは、アルスロット君それは面白いなっ!!」


「そうですわね、お兄様・・・このような魔剣がグリナダスの武器屋で眠っていようとは・・・ガイルグの武器は何度も見に行ってますのに・・・このようなステキな魔剣があるなんて・・・アルスロット殿、ゴミの殲滅が終わりましたら私にも良くお見せくださいましね・・・」


「お前たちの目にも止まるのなら本物なのじゃな・・・」


王の剣の二人は何時も顔も隠すフルアーマーだから、声だけしか分からなかった・・・けど、なんか軽い感じの王の剣と、発言が?な感じの王の剣だった後は兄妹なのか?。


「アルスロットこの王の剣は二人でだが剣聖ラングと強さは並ぶほどじゃからのう?」


確かに・・・いつも鎧飾りの様に直立していてあまり気にはしていなかったけど・・・今は、ラングお父さまの本気に近い威圧感が伝わってきていた・・・。


「アルスロット君、どうやらアスハブ陛下から名を明かす許可が出たようだ。私は王の剣のテルナバルトだ」


「そして、わたくしは・・・テルミハーナですわよ」


紹介の時には二人は寄り添い・・・一人の剣士となり・・・左右をそれぞれ担当する二人で一人は俺に突然剣を左右から振り下ろしていた。


「うわっ!!!」と言う前に魔剣は力を出し完全に二人の剣をそれぞれ止めていた。


「ふむ・・・まだアルスロット君が使いこなしているわけではないね・・・」


「そうですわね、お兄様。本気ではないですが魔剣には完全に私たちの剣を止められてしまいましたわ」


この二人は・・・近寄るな危険だな・・・。



「アルスロットすまんが今試させてもらった・・・どうじゃ?二人とも」


「そうですね・・・30点ほどでしょうか、アルスロット君は力は手にしていますが残念ながら使いこなせてはいないのが今ので分かりました」


「んー、魔剣とチャトラアーマーを取り上げたら王国軍の中位ぐらいの者たちと何とか剣を合わせることが出来る程度ですわね」


「アルスロット大丈夫かのう?言を発したからには取り消せぬが・・・ワシは心配になってきたぞ」


「ふむ・・・どうやら主人の弱さが問題となっているようだな」


「おっ!!その魔剣は話すこともできるのか・・・という事はお前、魔人剣の中でも誰も扱えなかったと言われる・・・」


「そこの若造・・・我の名を声に出す事は許さん・・・」強烈な魔力を噴き出す魔剣にテルナバルトさんは口をつぐむ。


「お兄様・・・魔剣に嫌われたら剣士の恥ですわよ・・・申し訳ございません、兄の無礼をお許しくださいませ」


「それで魔剣殿は・・・アルスロットに力を?」


「そうだ、我の主はアルスロット・カイラスだ」


・・・ただ持ってただけの不遜な魔剣・・・この後、戦うであろうゾンガとウングに対してまともに使うことが出来るのか不安だらけの中、王城へと進軍してきた者達を殲滅するべく俺は謁見の間から一直線に伸びる通路にただ立つのであった。






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