第五十八話 報告
「おっはよ~アルちゃん~おっきしてる~かな~」
いつもの元気いっぱいのお母さまの朝の挨拶に目が覚める。
「ふああっお母さま・・・おはようございます」
エルランダ教国から帰還後に直ぐ解散して。アリアちゃんは軽くライラお母さまに紹介しパーティー屋敷の方へと帰っていった。
「ふふっ、アルちゃんの可愛いお嫁さんが増えてママ嬉しいわっ!!神婚式はいつ頃がいいかしらね~楽しみよっ!」
お母さまもオーチャコ神の前でパパと生涯を誓い合ったのよと・・・話が続く・・・。
ああ、だいぶ様式が違うんだな・・・ちなみにチューはしないそうだ・・・神様からの祝福があるそうで?と良く分からない内容も話し始めて、俺はライラお母さまの話にウンウンとうなずくしかなかった。
「あっ!!、今日はアスハブ陛下の所へ行くのだったかしら?」
「うん、エルランダ教国の報告をアスハブ陛下にしないといけないので。ヒルダさんと一緒に後で王城へと行くことになります」
「そう・・・アルちゃん立派になったわあ、ママ嬉しい・・・」
いつもの、お母さまの優しい抱擁に俺は照れながらも身を任せていた・・・。
「アル君っ!!おはよう~って、ライラさんに甘えてたのね~」
マジックドアで俺の部屋に突然来たカトラお姉さまにはぎゅーされていた所をバッチリと見られてしまった・・・。
「まあ、カトラちゃんもやってみる?ふふっ」
お母さまの言葉にカトラお姉さまも恥ずかしげもなく俺の頭を胸に抱えてぎゅっとするが・・・ふっライラお母さまにはまだまだ敵わないな・・・。
「アル君・・・どっどう?ライラさんにはかなわないかもだけど・・・」
「えっ?比べるの?そんなのはどちらも・・・あったかくてとっても良かったデス・・・」
「もうっ!!」ちょっと拗ねてカトラお姉さまはライラお母さまと一緒に台所へと先に行ってしまった。
「ぷっぷぷっ・・・アル君さあ~もうちょっとこう良かったとかさあ~でもライラの後じゃあ仕方がないかっ!!」
「センワルス様・・・今日の午前中は忙しい予定なんですが・・・」
「んっ?笑いに~と、それだけじゃないよん~今日はアスハブに会うだろう?アル君はすでに英雄として誰よりも大きな功績を上げてしまったから気を付けてね~と言いに来たんだよ」
「気を付けるですか?」
「ん~実感が無いか・・・アル君が成し遂げたことは英雄じゃなければ成し遂げることが出来ないことであって・・・。はたから聞いた人間には到底信じられない偉業なんだよね~だからアスハブに報告する時には・・・気を付けるんだよ、じゃまたのん~」
「それは・・・」俺に嘘をつけという事か?食料の支援は上手く行ったことを話すのは良いだろう・・・問題はその後の事か・・・エへラン教皇陛下から英雄認定された最大の理由・・・神像と魔族・・・。
アスハブ陛下の前で嘘をつけという事ですか?・・・いや、口をつぐめという事か・・・?それなら嘘をつかなく波風を立てず、ヒルダさんの立場もアスハブ陛下とグリナダスにもダメージは無いはずだ・・・。センワルス様が出てこなければ余計な報告までしてしまっていただろうな。
ライラお母さまの美味しい朝ご飯を多めに頂いた俺はカトラお姉さまのマジックドアでライラお母さまと一緒にドアをくぐる。俺とヒルダさんが王城に行ってる間、お母さまは昨日紹介したアリアちゃんや皆とおしゃべりをしたいとの事・・・。
「みんなっおはようっ!!」
マジックドアをくぐり、俺とライラお母さまとカトラお姉さまでパーティー屋敷の広い談話室へと入っていく。
「アルちゃんのお嫁さんたち~おはよう~今日はおしゃべりに来ました~。わっアリアちゃん昨日振りねっ!!」
「あっはいっ!!ライラお母さま、おはようございますっ!!」
シャキーンと直立して緊張するアリアちゃん・・・、うん俺に似て真面目な性格なんだよな・・・。
「ヴァルもライラにおはようなのじゃ~」今はチビッ子3人衆となったヴァル様は妹と可愛がるガチガチに直立するアリアを巻き込んで抱き着いていた。
「ふふっか~わいいっ!!ママこんな子たちがアルちゃんのお嫁に来てくれて幸せだわ~」
ん~と、叫びながらぎゅうぎゅうするライラお母さまに。叫び声を上げながら抱き着くアリアちゃんとヴァル様は緊張が取れて顔には笑顔しかなかった。
「アルスロット様、おはようございます。妹のヒルダは先に王城へと登城してアスハブ陛下と事前に情報交換をしているはずですわ。9時までに登城をお願いいたしますとのことです」
「はい、分かりました。それでヒルダさんから他に伝言はありますか?」
「そうですね・・・大貴族と中級貴族からのヤジがあるそうです・・・わ・・・」
「あはは・・・それは、仕方が無いのでしょうね?まだ大々的にはなっていないとは思いますが・・・食材を中心にぼったくり値段を正すので、これから商業系の貴族たちから恨まれるはずですし。すでにヴァンプ族との事で目を付けられていますからね」
「えっ!!!アルちゃんっ!!!あの高いヴァンプ族の高級食材を?」
「えっええ・・・お母さま。エルランダ教国の商業ギルドマスター・ザイムさんが協力してくれてもうすぐにでもぼったくりなヴァンプ族の食材は適正と思われる値段へと変わる予定です・・・いえ、変わります」
ライラお母さまの話では、ほとんどの物が嵩増しの為に混ぜ物がされており味も悪いそうで・・・今ままで本物はヴァンプ族の集落でしか食べることが出来ないとの事だった。そして、商業ギルドを通さない個人でのヴァンプ族の集落からの食材類の持ち出しは禁止されており、それが値段の上昇に歯止めをかけることが出来ない大きな原因だったそうだ。結局は・・・商業系貴族が全てのヴァンプ族の食材を牛耳っていた・・・それに尽きる惨状だった。
「安心してください、ヴァンプ族はカトリナ様が収めるエルヘイブへと移り。さらに虚栄の門で許可された者しか虚栄の都市を経てヴァンプ族の集落へと行くことはできないですから」
「ママも・・・虚栄の都市に行ってみたいな~アルちゃんが王城に行ってる間に皆と行きたいな~」
ちらっちらっと俺に視線を送りながら皆に行きたいわ~攻撃をするライラお母さま。
「もっちろんなのじゃ~ライラも~ん~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!許可を出したのじゃ~」
ママも~に直ぐにヴァル様は虚栄の水晶にアクセスをしてライラお母さまの門をくぐる許可を出してくれていた。
「あっ!!アリアも所有者登録が出来るのじゃ~おーけーなのじゃ~!!!」
「えっえっ?!ヴァルお姉ちゃんっなにっ?これっ!!!」
どうやら、アリアちゃんの目の前にVR表示で虚栄の水晶のエクステンドモードの登録画面が出ているようだった。
「アリアちゃん、登録許可を出せば虚栄の門を一つとある程度の範囲をカスタマイズできるようになるよ」
「ほんとっ!?私も虚栄の水晶に登録しますっ!!!!」
アリアちゃんの宣言後には俺たちの虚栄の指輪が一度集まり再びそれぞれの指に分かれてはまっていた・・・。
が・・・。
「アルちゃん~ママには~?」
「ライラには無理なのじゃ~・・・」
へにょんと口をへの字にしてできないと泣き出してしまうヴァル様に・・・。
「ちょっとまって・・・虚栄の水晶の所有者登録のモードを教えろ・・・<ニュースサイト>開示」
「800 虚栄の水晶の所有者登録モード一覧」
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800 虚栄の水晶の所有者登録モード一覧
マスターモード
虚栄の水晶にマスター登録できるのは1名のみ、所有者になるには厳しい審査があり。
エクステンドモード
マスター登録者との魔力のパスが出来ていなければならない。
ビジットモード
マスター登録者とエクステンド登録者全員の許可が有るもの。
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「どうやら、皆で虚栄の水晶にアクセスをしてライラお母さまにビジットモードの許可を出せば登録できるみたいだ」
「アルちゃんっ!!!お願いっママも虚栄の指輪が欲しいっ!!!」
「じゃあ、皆?いいかな?」
「もっちろんなのじゃ~」「んっ!!!」「もちろんですわっ」「そうだね、ライラさんにも色々とやってもらうといいからね」「ライラさんもだねっ!!」「えっえ?ライラお母さまも?」
また、虚栄の指輪が一つに集まり・・・とはならずに、ヴァル様の指輪から少し細いタイプの指輪が出てライラお母さまの指へとはまっていた。
「わあ~ちょっと皆と違うけどとっても奇麗だわ~細い指輪なのね~」
「お母さま、虚栄の門を出すときは虚栄の指輪に意識を集中してみてくださいね」
俺が言い終わる前には・・・俺たちの前に虚栄の門が・・・白亜のドアが出現していた。
「ん~いまVRっていうの?ドアの大きさで材質が好きに変えれるみたい。ママが作り出す虚栄の門を通れるのは・・・虚栄の指輪を持ってる者だけなのね・・・パパもダメかしら・・・」
このあと、ラングお父さまの分も許可を出しビジット指輪をライラお母さまに預け、ついでにメリダさんとヒルダさんの分もビジット指輪を作り出してヒルダさんの分は俺が王城に登城したときに渡すことになった。
「アルスロット今回の働き見事であった・・・ヒルダと今にも死者が出るであろうエルランダ教国にて食糧支援を成功させたそうだな・・・」
「はい、ヒルダ・トリニテの指揮の元、僕達セラフィムは昨日中にエルランダ教国にてグリナダス王国アスハブ・ギルン・グリナダス陛下の言をつつがなく・・・食糧支援を成功させたことをご報告いたします・・・」
俺の言葉にシーンと静まり返った謁見の間は・・・・・・。
「何を・・・何を世迷言をっ!!!小僧っ!!!グリナダスからエルランダまでどれだけの距離があると思っておるのだっ!!!陛下の前で嘘をつくのではないわっ!!」
「まったく・・・ヒルダ・トリニテよ・・・。このような子供にアスハブ陛下の言を・・・しかもすぐに分かるような嘘をつくとは・・・何という愚か者よ」
大貴族と思われる2人の言葉の後には中級貴族からのバラバラなヤジが飛んできて謁見の間は騒然となり・・・収拾のつかない雰囲気に俺は黙り込むしかなかった。




