第五十三話 道
「あれっアル君いい感じで話が進んだじゃない~、このままちゃんと神像は回収してね~よろしくね~」
エへラン教皇陛下との話の最中にセンワルス様からの声が唐突に頭の中に響いてくる・・・やっぱり見てらっしゃるんですね。
「いま・・・アルスロット殿が・・・神の様に・・・みえたぞ・・・」センワルス様からお言葉を頂いている状態の俺はどうやらセンワルス様に体を乗っ取られているみたいだね・・・強烈な存在感にエへラン教皇陛下には俺が神に見えたみたいだ。
センワルス様・・・わざと出て来たな・・・これはセンワルス様の事を教えてもいいって事ですか?どうしたものかと思案していると、エへラン教皇陛下は察してくれたのか特に追及などはしてこなかったが話がスムーズにセンワルス様が思ったようにこの後進むこととなった。
「それでは、神像は僕が回収させていただいて構わないと?」
「ああ、オーチャコ神への神像の切り替えを条件にしてもよろしいか?」
「はい、グリナダス王国よりオーチャコ神の神像を贈らせるようにアスハブ陛下に、食糧支援の完了報告の時に進言させていただきますね」
俺はこの後もグリナダス王国に戻りアスイハブ陛下に報告が待っていた。それに冒険者ギルド・・・にも行かないと・・・あっこれを聞いておかないと・・・冒険者ギルドで話し合いが出来ない、聞きそびれるとまたエへラン教皇陛下に余計な謁見が増えてしまうからね気を付けないと・・・。
「あと一つ、冒険者ギルドなんですが・・・」
「そうであった・・・できれば、アルスロット殿が所属するグリナダス王国の冒険者ギルドからまずは支部を出してもらえるようお願いできないか?」
「基礎魔法が広まれば、魔法とスキル技が努力次第で覚えることが出来るようになります。そうなれば自然と冒険者の道を志す人たちも順に増えると思います。グリナダス王国では冒険者は積極的にダンジョンの攻略などを行いモンスターの脅威から、また手軽に狩れるGランクモンスターから大量の肉などの食材を王国民へと供給しています」
「おお、それは素晴らしい事だ・・・聖教徒騎士軍ではそのような民に沿った行動が昔からの決まり事でなかなかできず狩った食材も自分たちの腹の中に収めている始末だ・・・。今回の飢饉で少しでもモンスター食材をと動く事もできなかった」
「なるほど、軍となると決まりごとが首を絞めますからね。ただ、モンスターを狩れる力がありその食材を少しでも提供しないと言うのは・・・失格ですね」
「ああ、痛い言葉だが反論できないな・・・民を助けない軍などただの凶器だ。枢機卿が軍を掌握しているんだが・・・後で問題になりそうだ」
「アル君、話はうまくいってるのかな~」「んっ~」ルーチェさんは難しい顔をして唸ってる、ふふっ可愛い・・・。ルーチェさんってなんでしゃべらないのかな?顔をジロジロと見ていたせいか、不意にルーチェさんがこちらを向き指で目じりを吊り上げたり下げたりして変顔をし始める・・・。
「ルーチェ変なのじゃ~わらわもやってみるのじゃ~」ヴァルちゃんも似た者通し通じ合うのかよくルーチェさんに合わせて一緒にはしゃぐのが大好きなようだ・・・。
「まあ、ルーチェ様もヴァル様もとっても可愛らしいですわっ!!」カトリナには変顔がかわいく見えるのね・・・。
「まったく、アルはエへラン教皇陛下とお会いして頑張ってるのに・・・話がうまく進むといいねえ」
カルマータさんはアルが教皇と話し合うとても難しいエルランダ教国のこれからの道を指し示す話に、うまくいくことを願っていた。
「それにしても今日の朝の今で、とっても活気が出ているわっ!!屋台やあちこちから良い匂いがするし水を汲みに大きな樽を載せた荷馬車がすごいっ!!」
朝来た時には静まり返った教国の大通りに恐怖を感じたが、今は人が生きていると実感でき教国民の笑い声があちこちが聞こえていた。
「水もアルが大量に井戸や樽に神の宝箱から注いでたからねえ・・・」
「ほんとうにアル様の神の宝箱とんでもないですわね・・・」
「んっんっ!!」突然ルーチェさんが叫び声を上げるとダッシュして・・・ああ、昨日食べた小麦焼き・・・小麦粉の生地を薄く焼きマヨネーズソースに野菜と肉が挟まれた物を匂いがしたのかダッシュで買いに行っていた。
「わらわも食べるのじゃ~小麦焼き~なのじゃ~」
ふふっヴァルちゃんも元気よくルーチェさんの後をついて・・・。
どけいっ!!!そんな幸せな光景も大通りを衛星都市へつながる門から大聖堂へと整然と並び前進する・・・全身鎧を身に付けた聖教徒騎士軍が周りにいた教国民を恫喝しながらザッザッザッと全てを蹴散らし進み・・・大広場へと突き進んできたのを見ると屋台は全てたたまれ道を開ける。
「私はエルランダ教国枢機卿の一人、ガンザギムルであるっ!!今をもって聖教徒騎士軍が反逆者エへランを大聖堂から引きずり出し捕らえ一連の教国への反逆行為に終止符を打つっ!!」
ギラギラと異様な目つきをした細い男が大広場の壇上に登ると、喚き散らすように教皇エへランはグリナダスとつながり数千年の歴史を持つエルランダ教国の神像を汚しただのと遠目に集まる教国民へと演説を始めていた。
「・・・・・・こいつはどうしたらいいと思う?アルは今、エへラン教皇陛下と謁見中だし・・・勝手に動けないしねえ、まいったね」
「カルマータ様そのうちに騒ぎが目に入ったエへラン教皇陛下とアル様がこの場に出てくると思いますわ」
「うんっ、アル君が何とかすると思うし私たちはそれに合わせて動きましょっ!!」
「んっ!!!!!!」「小麦焼き~なのじゃ~」このチビッ子二人は小麦焼きを買いそびれて食い物の恨みを増大させていた・・・。
「ぎりぎりまで教国民を飢えさせ所に我が聖教徒騎士軍がモンスターを狩りだし食料を分け与え、エへランにはこの責任を取らせ私が変わってこのエルランダ教国を支配するはずだった・・・。それなのに、朝目覚めてみれば教国は食料があふれ返り、しかもそれがエへランのだした使者がグリナダスの食糧支援を取り付けてきたと言うではないかっ!!それに・・・それにだっ!!!私の前でグリナダスのオーチャコ神より連なる基礎魔法を我が教国民にっ授けるとはっ!!我が教国の神像を冒涜する行為だ絶対に許さんっ許さんぞっ!!!!!神像より魔法を賜ることが出来るのは私のような神より選ばれた者だけなのだっ!!!」
「はっはははは・・・はは・・・・・・」なっなんだ、あれほど遠目に見ている教国民たちからは・・・憎むような鋭い視線が・・・。
「ガンザギムル様・・・なぜそれを、たくらみを喋ってしまったのです・・・」
「はっ?わたしはそんな事は一言もしゃべっておらんぞっ!!」
「いやっしかし、私にははっきりと今回の飢饉で教国が傾く様に教国民を飢餓状態に持っていき、エへランにその責任を押し付け教皇の座を奪う・・・」
「ポルタペルっ!!!お前っ!!なにをべらべらとしゃべり散らしているっ!!!」
「はっ!!私は・・・何も言っておりませんっ何故だっなぜだあああああっ」
枢機卿ガンザギムル、大司祭ポルタペルは今回のエルランダ教国の飢饉に乗じてエへランを教皇の座から引きずり下ろす悪だくみを大広場の壇上の上で教国民に自らの悪事をばらしていた。
「アルスロット殿・・・これは、なんとも恐ろしい力ですな・・・」
俺が貰った、新しい神より生まれ来たユニークスキルは(神の目/LV1)視界に入れた者の罪を告白させる。ただし、悪事のみ告白させることが出来ると制限があるが・・・十分だな・・・。
「うっ・・・やっぱり・・・」神の目を使った俺の目は右目は完全に失明・・・左目が少しだけ視野が欠けぼやけていた。センワルス様のユニークスキル強力だけど・・・代償が大きすぎて使うのがキツイよ・・・カトラお姉さまに後で〇魔法で治してもらえなきゃ1回こっきりの死にスキルだな・・・だけど効果は絶大だった。
「枢機卿ガンザギムル、そして大司祭ポンタペルに後ろに並ぶ者たちよ・・・直ちに武装解除し聖教徒騎士軍は持ち場に戻り教国民をモンスターから守るのだ」
最後の聖教徒騎士軍に向けた言葉は、今回の枢機卿と大司祭の悪だくみを聞いた騎士たちにはすっと入っていったようで踵を返し大通りを歩き各衛星都市へと散っていった。
「くそうっくそっ!!!!あと一歩だった今日の昼にはモンスターからドロップした食料を放出しっ教国民を飢えさせたエへランをっ!!!私が今そこにいるのは私のはずだったっ!!!!」
泡を吐き出すほど喚き散らすガンザギムルは大司祭をあつめ何やら指示を出し始める・・・。
「ははははっ終わりだっ!!!お前らは神に歯向かったのだ私と言う神になっ、断罪するっしネッ!!!」
「ふはははっ神像より授かったユニーク魔法をくらえっ!!!!<ゲヘナ>っ!!!!」
一人の名前も分からない大司祭から魔法が飛んでくる・・・。
俺は大きく息を吸い・・・魔力を戦闘レベルにまで高めると・・・。
「<身体強化><ラインスラッシュ>っ」チャトラアーマーに魔力を多めに流し青く輝きだす・・・盾で大司祭から放たれた黒い火球を受け止めるとエへラン教皇陛下の前でラインスラッシュで削り落とし最後はシュウッと音共に火球は消え去っていた。
「なっ!!!!なんだっ<ゲヘナ>っ<ゲヘナ><ゲヘナ><ゲヘナ><ゲヘナ><gへへ・・・・・」
俺に神から授かったユニーク魔法を受け止め消し去られると思いもしなかった大司祭は更に連続ではなたれる黒い火球はチャトラアーマーで全て跳ね返し大広場の誰もいないところ・・・ちらっと跳ね返した方を見るとセラフィムの皆が俺が消した時よりも力強く更に強力な魔法とスキル技でそれぞれ消し潰していた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
俺に向かって魔法を撃ち続けた大司祭はその場で膝をつき・・・モンスターが死ぬときの様に砂の様に崩れ去っていた。
「うわっうわっどういうことだっ!!!ガンザギルム様っこれはどういうことです?モンスターの様に崩れ去るなんてっ!!!ぎゃひっひっ」中には仲間の大司祭が砂の様に崩れ去り狂い始める者が・・・。
「何故だっ何故だーーーーーー私は神より選ばれたのだそうなのだ絶対そうなのだっ!!!」あるものは神から選ばれたと繰り返し自分を肯定し。
「・・・・・・・・・・・・・・・」あるものは・・・砂の様に崩れ去った大司祭のなれの果てをずっと見続けていた。
「役立たずどもめ・・・」
ガンザギムルが吐き捨てた言葉の後には、大司祭たちを魔法らしき手刀で切り裂く光景が広がっていた。




