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第四十九話 エルランダ

「アル様、不味いことになりました・・・今現在、教皇との謁見は出来ないそうです。午前中に謁見の申し込みをして許可が出るまで指定宿屋に待機だそうです」


「えっと、それではいつまでたっても教国民の方たちは飢えたまま我慢しろという事ですかね・・・」


「それは、ひどいねえ・・・教国の上の連中は何を考えてるんだい」


「ん~~・・・」ルーチェさんもお腹が減ったとお腹をさすりさすりしていた。


「アル君っそんなの待ってたら皆の飢えは限界なんだし中には死んじゃう人が出るかもしれないよっ!!」


「そうですわね・・・ヒルダ、かなりひっ迫した状況なのでしょう?」


「はい・・・エルランダ教国の謁見をした担当者のタンテスもガリガリで自分はまだましだと言ってたぐらいですから・・・教国民の皆様はもっと・・・」


「それじゃあ、勝手に食料を配布しようか・・・でも人が足りないね、エルランダの人たちも何百万人といるんだよね?」


「確か、この大聖堂がある中心都市に6つの衛星都市があるはずです人口は担当の者から聞いていませんでしたので分かりませんが・・・・40万トンの食糧支援で次の小麦の収穫までは大丈夫だと言っておりましたわ」


「それじゃあ、半分ぐらい持ってきた食糧でとりあえずは十分そうだね。問題は配布か・・・グリナダスだと国王陛下の言がすぐに発動して、色々と迅速に事が運ぶんだけどエルランダ教国では無理そうですね・・・」


教国の上の人たちに会えそうにない俺たちは動きが全く取れなくなっていた。






んっ・・・もしかして難しく考えすぎか?もっと簡単に動けばいいんだ普通に・・・。

「エルランダ教国にも食べ物を扱う食料品店、それに調理した物を売る屋台や食堂などありますよね?」


「ええ、あるはずですが・・・あっなるほど・・・そこに食糧をいきわたらせれば後は教国民の方たちがいつもの所に食糧を手に入れに行くだけです。ということは商業ギルド・・・に行っていつものように荷車を動かしてもらって支援物資を行き渡らせれば・・・」


俺たちは食糧支援だと、トップに話を付けないと・・・難しく考えすぎていた。エルランダ教国は冒険者ギルドが無く、選ばれた教国民が聖教徒騎士団という軍隊を形成してモンスターの脅威から守っているらしい、そして商業ギルドは細々だがこのエルランダ教国にギルドを置くことに成功しているらしいが・・・飢えさせているようだし、商業ギルドはかなり動きを制限されてるんだろうな・・・。


「アル様、エルランダ教国の上の方たちの中に今回の飢饉を神の試練と声を上げていた方たちがいて今まで動くことが出来なかったと担当のタンテスから聞いております」


「はあ・・・なるほど、食料がいきわたってもいろいろと問題が出てきそうだ」


「アル君っまずは食料を皆に届けてあげよう・・・問題は後回しっ!!」


「カトラ様の言う通りですわ・・・とにかく食糧支援これを成さないとヒルダとアスハブ陛下の立場が厳しいものになりますわ」


そうだった・・・食糧支援が上手く行かなければヒルダさんは責任を問われるし。周りの国からはアスハブ陛下の能力を疑われることになる。





「なんだいこりゃ・・・本当に商業ギルドかい?グリナダスじゃ、もうこの時間は入れないぐらい商人で一杯なんだけどね」

俺達はエルランダ教国の商業ギルドの前に来たがシンと静まり返った大きな建物は明かりもついていなかった。


「おはようございます~誰かいませんか~グリナダスから食料を持ってきました~責任者の方は~・・・」

魔法のライトをつけて、声を出し食料を持ってきたことを告げると・・・。奥の部屋からドンッと何か落下する音共にドアがバンッと開かれるとヒゲだらけで薄汚い男が姿を現していた。


「あああああっくいものおおおおおおうううううううううううっ」魔法のライトの明かりに照らされた男は俺にすがりつき何度も言葉のような声を連呼して涎を垂らしながらすごい力で押し倒されると馬乗りに組み付かれていた・・・。


「アル君っ!!」「アル様っ!!」「なんだいこりゃあ・・・モンスターのゾンビじゃないだろうね・・・」「ゾンビなのじゃ~!!」


「んっ!!」しかし、ルーチェさんの容赦ない拳骨で馬乗りになった男は殴られて昏倒していた。


「うっぐ・・・くっさい・・・ルーチェさん助かりました・・・この人、人間ですかね?カルマータさんどうです?」


「んー、そうだね・・・」カルマータさんは男の着ている物をその辺に置いてあった棒で引っぺがすと体を確認する。「あ~大丈夫みたいだ・・・くさいのは水が無くて体を拭けなかったんだろうね」


「水が無くても基礎魔法の清浄を使えばいいのに・・・」


「アル様、エルランダ教国は神像の前で教国民の中から魔法が使える者が選ばれるそうです」


「えっ、ヒルダさんそれっておかしくない?基礎魔法は親から子へ受け継がれる魔法のはずだけど?」


「ええ・・・そのはずなんですが、エルランダ教国は何故かそうではないんです。申し訳ありません私も神像なるものがこの教国の中心で選ばれた者だけに魔法が与えられると聞き及んでいるだけです」


神像が選んだ人だけに魔法をね・・・基礎魔法は親から子へ簡単に受け継がれる物だし、今回の様に飢饉になっても水を使わずに体をキレイにすることが出来る。


「くさいのじゃ~」「んっ~」チビッ子2人して我慢できない悪臭に鼻をつまんで、手を振りくさいとジェスチャーをしていた。


「清浄っ!!」「(まる)っ」見かねたカトリナ様とカトラお姉さまはそれぞれ必要な魔法をこのゾンビ君にかけていた。


「ん・・・あ・・・ワシは・・・あんたらは、だれだ・・・?」


「えーと、俺達はグリナダス王国から食料の支援物資を運んできた者です」


「食料・・・支援物資・・・、そっそれは本当か?食べ物をくれるのか?」


「ああ、はい。あっとフラフラですねちょっと待ってくださいね今・・・」俺は神の宝箱からパンと燻製されたコケッコ鶏の肉、ゆで卵と出してゾンビさんに手渡しする。


「おっうっおっうっ!!食べ物だっ!!!こっこれをいただいても?」


「はい、もちろんです先ずは食べてお腹をいっぱいにしてください」

ゾンビさんは言い終わる前にガフガフと勢いよくパンにかぶりつき、コケッコ鶏の燻製を引きちぎり、ゆで卵は・・・俺がゆっくりと殻をむき中だ・・・。


「うっうまい、うまいよっ!!!こんな食事は何日ぶりだろうっ!!うまい、うまい、うまい・・・うゅぐっぐぐぐ」


「あっ、アル君このゾンビさんパンを喉に詰まらせてるわっ!!」


「あっ!!水っ水っえーと・・・コップは?」

俺は基礎魔法でコップの中に空気中から水を抽出しそそぐが・・・あ~まったく水が出てこなかった。


「アルっ何やってるんだい、ダンジョンで集めた水をコップに出して基礎魔法の浄水で飲み水にしなっ!!」


カルマータさんの指摘にすぐに神の宝箱からコップ分の水を取り出し基礎魔法の浄水をかけ飲み水にするとのどに詰まらせウッウッ言ってるゾンビさんの口へとコップを持っていく。


「ヒックっ!!うい~~・・・たすかった・・・また死ぬかと思いましたよ」


「死んでは困ります、せっかく食料を持ってきたんですからね」俺はテーブルの上に、先ほどの物を出す。


「こっこれも、食べても?」


「ええ、もちろんです。今度は水も出しておきますからのどに詰まらせないようにゆっくりと話しながら食べましょう」







話が出来るようになったゾンビさんはザイムという名前があった。2回目の食事で落ち着いたのかゆっくりと食べるザイムさんに色々とエルランダ教国の現状を聞いてゆくと・・・。地獄だった・・・この飢饉の始まりは水の枯渇だったそうだ、川が干上がり井戸も作物と人間の飲み水と生活とで使い枯れ果て次にはお腹を壊し下す者が続出しているそうだ。中には運が悪くそのまま衰弱して死んでしまう人たちも出ているそうだった。


「ん~それは、腐った水や食べ物を食べたからじゃないですか?」


「そっそれは・・・井戸も枯れ気味で飲み水はいつも奪い合いですので中には地面の泥水をすすった人がいるかもしれませんが。食べ物は腐ったものは食べれませんし・・・ただワシは雑草を食べたりしました・・・」


「そうでしたか、つらい思いをされてきたんですね。後でいいので食べた物を見せてください何かわかるかもしれません」

これは、どちらかに何かあるんだろうね・・・。


「それで、ザイムさんは商業ギルドの方ですか?俺たちは食料を配るために協力してもらいたくて訪ねてきたんですが」


「あっと、まだ名前だけでしたな・・・ワシはエルランダ教国商業ギルドのギルドマスターをやっております・・・といっても商品が何も無い商人なんか価値はありませんが・・・」


「ははっ・・・でも、商品があれば今すぐにでも商人になるんでしょ?」


「商品っ!!!!ええっ!!もちろんですともっ!!!商人は商品があってナンボですわっ!!!ぜひワシにお手伝いさせてくださいっ!!」


お金は?と聞くとザイムさんは首を振って、いらないと言う・・・今回の飢饉で食料を用意できなかった自分にはもらうわけにはいかない、それとこれを乗り越えて商業ギルドの教国民からの信用を手に入れたいと・・・。


「ほう、いいじゃないかこれを乗り越えれば商業ギルドの教国民からの信頼は上がるだろうね」


「そうですわね、お金以上の物が手に入りますわね」


「頑張って、皆に食べ物を届けましょうっ!!」「んっ!」「とどけるのじゃ~~」







「教皇陛下なにやら下の者たちが騒がしいようです・・・大通りはまるでお祭りの様に人であふれ返っているとの事です」


「今は皆飢えているはずだが・・・今すぐ何事か調べてくるのだ・・・」


「はい、すでに聖教徒騎士団が動いております」


一体どうしたという事だ・・・今回の飢饉でエルランダ教国を傾けた私を討ちに来るのだろうか・・・神の試練だと大司祭どもの声を聞きいれたばかりに、今回の大惨事が起きてしまった。

このままでは数日でほとんどの教国民が餓えで死にたえるだろうと思っていた所に・・・これも神の天罰なのだろうか・・・。

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