第四十八話 王へ至る門
「アル・・・何とか間に合ったようだな」
「お父さま、真の初心者ダンジョンの解放有難うございます。ここまで敵は一切出会いませんでしたよ」
「おっ!!来たようだなっ!!久しぶりだなアルスロットっ!!!元気なようでなりよりだが・・・お前・・・まだちびっ子の癖にやるなっ!!!」
「ガンダーさんお久しぶりです、チャトラアーマーのテストの時はありがとうございました」
ラングお父さまの後には、ガンダーさんも顔を見せていたが・・・勢ぞろいしているセラフィム女性陣にガンダーさんに容赦なく突っ込まれ皆顔を赤くしてそっぽを向いていた。
「それで、間に合ったってどういうことですか?お父さま・・・」
「ああ、それは・・・」
ラングお父さまの口から真の初心者ダンジョンの入り口で大貴族たちが私設軍を連れて、今にもここへ進軍してくるとの事だった。
「愚かな・・・大貴族ともあろう者が・・・グリナダスの恥ですわ」
「アル君っ!!はやく塞いじゃおう。ヴァルちゃんも不安だろうし」
「そうだね、さっさと誰も入れないようにしようかね。ヴァルがんばるんだよ」
「ヴァンプ族のために頑張るのじゃ~。おっきな門にすればいいのか~?」
「んーそうだな・・・。ヴァル様、門はどんな形でもできるの?」
「わらわが知っている物なら何でも門に出来るのじゃ~」
「それじゃあ、ダンジョン側は何処が入り口か分からないように周りの壁と同じ模様にしようか?」
「アル様、それだと入り口が分からなくなってしまいませんか?」
「あー確かに・・・もしかしたらこちらの門を使うこともあるかもしれないしな・・・」
「そうなると・・・困ったな・・・」
「そういえば・・・エルヘイブで設定してた時にガーディアンって設定があったのじゃ~」
「へっ?!そんなこともできるの?じゃあそのガーディアンに閉ざされた門を守らせて許可のあるのも以外は排除するようにしようか」
「ヴァルちゃんっ!!カッコイイガーディアンにしましょうっ!!」「んっ!」
カトラお姉さまとルーチェさんは一緒になってこんなの~と体を使ってヴァル様に指示を出すと。
「わかったのじゃ~、ん~むむぬっ!!!それじゃ~。こうして~あ~して~んんんんっそこじゃ~!!!」
早速門の設定をはじめたヴァル様は10分ほどで設定を終わらせると虚栄の水晶の指輪を付けている指を門を設置する大きな入り口に向けていた。
「光がきれいだね・・・」「ん~~っ!!!」
キラキラとヴァル様の虚栄の水晶の指輪からこぼれ落ちる光は集まり凝縮し門の重厚な形をした壁を作り出し、左右には・・・はは、俺に似てる巨人の像が左右にそびえたっていた。
「アル君に似てるねっ!!」「アル様にそっくりですわね・・・」「んっ!」
「は~こりゃあすげえな・・・こんな巨大な門番に、こちらからは許可された者しか通ることが出来ない門?壁なんだろ?」
「これはすごいね・・・残念だが私たちは出入りが出来ないのかな?」
「今はヴァンプ族とセラフィムだけなのじゃ~」
「すいません、お父さま・・・俺たちは時間がありませんのでこのままヴァンプ族の集落に入り大貴族のフレイア家と話し合いをします」
「ああ、大貴族ドノヴァ・フレイア様は話の分かるお優しい方だ。ヴァル様との事もちゃんと話してくるんだぞ?」
「うっ、そうだった・・・これから会う方はヴァル様のお父さま・・・」
「大丈夫なのじゃ~、アルの事は父上もきっと気に入るのじゃ~」
大丈夫だとヴァル様は俺の首に飛びついてくるが・・・やっぱり緊張するよね・・・。
「なんじゃっ!!!入り口は何処へ行ったっ!!!それに、なんなのだっ・・・あの巨人は・・・」
ゾンガの連れる私設軍の前には、閉じられた壁の門とその左右に守るかのように直立する巨人の像が静かに立っていた。
「ゾンガ様あの2体の巨人が立っている場所に以前は入り口がありました・・・」
「なんだと?じゃあなぜ今は壁とあんな巨人が2体もいるんじゃっ!!!」
ゾンガは唾を盛大に飛ばしながら文句を飛ばすが・・・。
「初心者ダンジョンは真の姿に変わったと聞きます・・・その時にヴァンプ族の出入り口も姿を変えこのようになったのかもしれません・・・。下手をするとあの巨人はボスモンスターや罠の類の可能性があります」
「ぐぬぬぬっ!!!どういうことだっ!!!剣聖からは真の初心者ダンジョンを解放したと報告を受けてここまで進軍してきたんだぞっ!!!!」
「すでに、王国軍剣聖部隊は役目を終えたと撤退いたしました・・・。この後の事はご自分でどうにかされよとのことです・・・」
「くそっ!!!はかられたかっ!!!あの、すまし顔の剣聖っ!!!次は八つ裂きにしてくれるわっ!!!」
大絶叫するゾンガの声はダンジョンに響き渡り、巨人を刺激する・・・。
オオオオオオオオオオオオオオォォォォォッ。巨人の目に光がともると威嚇の声を上げ戦闘態勢に入る巨人はそれだけで、地響きが起こり不気味に響き渡る威嚇の声は恐怖を呼び起こしていた。
「うっわあわわああああああ、巨人が動き出したぞっ!!!!」
「はわわわわっ、あっあんなの無理だ・・・腕の太さだけで俺達よりでかいぞっ!!!」
「ぎゃあああああ、たすけてくれーーーー!!!」
ゾンガの大絶叫が引き金になり動き出し戦闘態勢に入ったアルスロットに似せた巨人に一瞬で私設軍は混乱崩壊していた。
「そっそんな、、、わしの最強の私設軍が・・・ただ逃げるだけ・・・」
ゾンガの最強軍はカネだけの、うわべだけの軍なのを動き出しただけの巨人2体の前にさらけ出していた。
「アル~やったのじゃ~、逃げていったのじゃ~」
嬉しそうに事の次第を見守っていた俺たちはホッと一安心していた。
「アルスロット殿、今回のご助力大変感謝する。それに・・・娘も君を夫として認めているようだな、これからもよろしく頼むよ」
俺の肩の上に手を置きニッコリと微笑むイケメンなドノヴァ・フレイア様の指は俺の肩に食い込むほど力が強かった・・・。
「まあ、この子がヴァルが夫に決めた子なのね~。ヴァルよりも年下かしら?」
その横から話しかけるのはヴァル様の母上、ラトーリア・フレイア様だ。
「父上、母上~アルは気に入ったか~?とっても優しいヴァルの旦那様になるのじゃ~」
「そうだな、ヴァンプ族の新たな住処と、現集落の保護と莫大な利益と安全を我らに提供してくれた。アルスロット殿はヴァルの夫には合格だよ」
「もうっ、あなた厳しいわねっ!!!そんな事をしてくれなくてもヴァルが優しい所が好きだと言ってるんですから、その他はおまけですわ」
「ふむ、確かにな・・・。しかも、こんな門があっては攻めることもままならん最強国になるな・・・それに門は一瞬で繋いだ都市や国を行き来できるんだろう?」
「はい、一瞬で門を設置した都市、国へ行き来できますし。ヴァル様が設定した者以外は出入りは出来ません」
「そうか、虚栄の都市の名前はもう決まってるかね?」
「いえ・・・まだ決まっていません、それに急ぎでこの後にエルランダ教国へと行かなければいけません今日中に・・・」
「今日中にだと?それはまた・・・エルランダには門が設置してあるのかね?」
「門はまだ設置されていません、その・・・今回ヴァンプ族の救出の対価としてエルランダまで飛んでもらおうと思っていたのですが・・・」
「なんだっそんな事かっヴァルの夫になる者の頼みだしヴァンプ族の繁栄と集落の保護までしてくれたんだ、その程度の事はお安い御用だ」
「はいっ!!ありがとうございます。夜が明けないうちにエルランダまでよろしくお願いしますっ!!」
俺達は、ヴァンプ族の協力でエルランダ教国までの道のりを空から滑空することで数時間で終えることが出来ていた。
「この先に見える城壁がエルランダ教国だ、グリナダス王国とは友好関係にあるから冒険者カードや貴族章を見せれば問題なく入ることが出来る」
「それでは、門を一時的に設置しますので虚栄の都市を経由してヴァンプ族の集落へお戻りください」
俺はドノヴァ・フレイヤ様にエルランダ教国まで飛んでもらっていた。
えーと・・・指輪になってる虚栄の水晶に意識を集中して・・・魔力も必要か・・・少量の魔力を流すと俺のVR表示のニュースサイトと変わらないコンソールが出現する。
>アルスロット・カイラスを認識
>クリエイトorリセット
えーと・・・クリエイトを思考で選ぶ、なるほどヴァル様が「これじゃ~」と時たま叫んでいたのはこんな感じで選んでいたのか。
>クリエイトモードが選択されました。
>門の設置先に虚栄の水晶を向け、形成する門の形と大きさを決めてください。
じゃあ、門の大きさは縦200cm横90cmの木のドアで。
>光の粒子が出終わるまでそのままお待ちください。
俺の虚栄の水晶から光がこぼれ落ちて目の前に設定したドアが一瞬で形作られる・・・。ふつうの大きさなだけあって早かったな・・・。
「おお、すごいな。君たちは皆この門?ドアを作り出すことが出来るのか?」
「セラフィムの皆が出来ますね。ただ、行った先に門を設置しなければ虚栄の都市に繋ぐことが出来ないのが不便ですが」
「そうか・・・これは、君には言っておこうか・・・」
ドノヴァ様は俺に真面目な顔で話し始めると衝撃的な内容を話し始めていた。
「王の門・・・」
「そうだこれは王の門だ、君たちはこの門で各都市と国とそこに繋がれる虚栄の都市から一瞬で行くことが出来る、そしてエルヘイブにヴァンプ族の集落とグリナダス王国の台所を手に入れてしまったのだよ・・・。まあ、君にそんな気はないのは知ってるが・・・これを大々的に知られるとアスハブ陛下は国王として力を無くしてしまうと言っていい。もちろん君がアスハブ陛下を支持し支えれば別だがな、君の考え一つでこの国は君の物になるだろう」
「・・・・・・いえ、俺にはそんな気ありません。グリナダス王国を良くしようとは思いますが」
「そうかっふむっ、カトラ様とカトリナ様を君に託したのも・・・ははアスハブ陛下は分かっていたのかもしれないな」
ドノヴァ様はとてもうれしそうにそう語ると、俺が作り出した門をくぐりヴァンプ族の集落へと帰っていった。
「アル君っ」「アル様っ」「アル」「んっ」「アル~」
ドノヴァ様が門をくぐった後にはすぐにセラフィムの皆と、ヒルダさんが門をくぐってきていた。
「門の再設定は直ぐにできたのじゃ~簡単だったのじゃ~」
ああ、門の設定を変えないとヒルダさんが通れないからね・・・。
「カトリナ様・・・すごいです、一瞬でエルランダ教国に・・・あの城壁は見覚えがあります」
ん~どうしよう・・・門はあまり広く使えるようにはしたくないんだよね。特にグリナダスの人族にはあまり情報を漏らしたくない・・・これを知られると今回もめた大貴族たちに目を付けられるし。この情報を貴族たちのネタにされると先ほどドノヴァ様に言われたようにアスハブ陛下の求心力の低下も懸念されるしね。そうなると、三種の神の宝箱を使って支援物資を運び込むしかなさそうだな。
「アル様?支援物資はすでにカトリナ様から指示された通りに一か所に集めております。その・・・この後はどうやって支援物資を運び込むのですか?」
「基本的にこの門は誰にでも使えるようにはするつもりはありません。なので神の宝箱で支援物資を俺が運びたいと思います」
「なるほど、それではアル様がこの門を何度か行き来して?」
「ん~どうでしょう、1回で大丈夫じゃないかな?」尋常じゃない容量の神の宝箱なら一回で全部入るだろう・・・。
「すいませんが、ヒルダさん受け取りの為にまた門をくぐって案内をお願いします」
「アル君っ私たちのパーティーハウスの部屋の中に門を設置してあるからね」
「うんっありがとう、カトラお姉さま。それじゃあ急ぎましょう、皆はこの門の見張りをお願いするね」
「ああ、アル大事な支援物資だ。早く届けてやろう」「んっ!!」
カルマータさんとルーチェさんに背中を軽く押され門をくぐると・・・すでに、ヴァンプ族の集落の門に向かって食料が虚栄の都市を経由しエルヘイブから運ばれていた。
これで、ヴァンプ族の食糧事情は解決だな後は定期的にヴァンプ族がエルヘイブへと食料の買い出しに行くだけだ。距離もエルヘイブに到着後に少し歩くだけだから大した労力じゃないはずだし日が落ちた夕方に買い出しに出ても間に合うな。
俺が作った扉は虚栄の都市の中央広場に設定したけど・・・あった、ははパーティーハウス屋敷と同じドアだこれなら迷う事もないね。
「ヒルダさん、食料は何処に運び込まれているんですか?」
「アル様の屋敷ですわ、メリダ姉さまが指揮を執って庭にもう全て運び込まれているはずです」
俺はカトラお姉さまが設置した虚栄の水晶の門をくぐると、マジックドアで帰還する時に使う部屋の外へとつながっていた。
「メリダさんっ!!お待たせしました、支援物資の搬入作業ありがとうございましたっ!!」俺は、搬入作業を終えて俺たちを待ち状態で立っているメリダさんに話しかける。
「アル様、もうエルランダ教国へ??素晴らしいですわ・・・こんな短時間で、それでこの山となった支援物資は運べるのでしょうか?アル様の神の宝箱の事は知っていますが、不安ですわ・・・」
「今、神の宝箱の中には膨大な水と、王都の火災の炎、モンスタードロップが色々入ってますね・・・確かにこの山の支援物資はきついかも・・・」
俺は山になっている支援物資の前に入るのか不安になってしまっていた。
空間設定できなかったっけ・・・確か自動で空間が固定されてたな。
三種の神の宝箱の収納容量を増やすには?<ニュースサイト>。俺はアンサーでニュースサイトに聞く。
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313 三種の神の宝箱の空間拡張
初期設定時に設定する、初期値は200万m3で200万トンの物が収納できる。
初期値を解除しないと空間拡張は出来ない、解除すると収納されていたものは強制的に空間から排出される。
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あ~、これは解除して空間拡張するのはマズいな今はFランクダンジョンで収納した水が分からないぐらい入ってるはずだ・・・。
入るだけ持って行って、どこかで水を排出後か何度か往復して運ぶことにするか・・・。俺はとりあえず神の宝箱に目に入るものを手当たり次第収納していく・・・おおっ?ガンガンはいるな・・・と思ったっらある所で収納が止まってしまった。
「どうやら、これで収納場所がいっぱいのようです」それでも、半分ほどが消えていて水が神の宝箱の空間の大半を圧迫していることが分かった。
「すごいですわ・・・半分ほどが収納されています・・・。それを日常的に使われたら荷馬車の運送業は廃業してしまいます・・・」
「えっ!!そんな事はしませんよっ!!!それに、俺一人ではいくら何でも全部の荷物は運んでいられませんからね」
「あっそうでした・・・ふふふっ」
そんなやり取りの後には、俺はすぐにヒルダさんとエルランダ教国へと続く門をくぐっていた。




