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第四十六話 エルヘイブ 後

「よし、上手いこと罠のチェックに来たね・・・」


ゴブリンアーチャーを殲滅後に俺たちは静かに土をかぶせて無効化したトゲピがある街道へと戻ってきて監視をしていた。

時間をおいてチェックに来るのか、遠くから罠の異常を確認したゴブリンシャドウが騒ぎ立て罠の手前まで本隊がぞろぞろと来ていた。


「ヴァル本当に大丈夫かい?」


「うん、まかせてなのじゃ~。夜はわらわの世界なのじゃ~誰にも負けないのじゃ~」


ヴァル様はそう言うと夜空に天高く羽ばたいて上昇していくと・・・漆黒の翼を広げ先ほどゴブリンアーチャーを殲滅させた矢を放っていた。



ギャッ!!と嫌な声を出しバタバタと倒れて行くゴブリンシャドウに、ゴブリンナイトは自身もヴァルの矢を受け巨体を膝まづかせていた・・・。


「今だよっ!!ああああああああっ!タイタンっ力を見せなっ!!<グラビティフォール>っ」

カルマータさんがグレートソード・タイタンを上から下へと剣を振り下ろすと、さっきまで膝をついていたゴブリンナイトがブチブチと嫌な音をさせて潰れる音が体のあちこちから聞こえていた。


「カルリダーナっあなたの美しい姿を見せてっ<ユニコーンピアス>っ!!!」

カトラお姉さまの細剣・カルリダーナはその美しい細い刃を眩しく輝かせシャーンと澄んだ音を鳴り響かせ光の速さで伸びた剣がゴブリンナイトの胸を貫いていた。


「あなたたちにこれ以上時間を割くわけにはいきませんわ・・・テネルトーナっすべてを燃やす原始の炎を<プリミティブフレア>っ」

カトリナ様の魔法ロッド・テネルトーナからは1m程の真球の原始の炎が、ゴブリンナイトの足元にゴウゴウと轟音を立てながら赤から青白く燃え盛りほとんどを燃やし尽くす。


そして・・・「んーーーーーーーーーーーーーーーんっ!!!」巨大ハンマー・トールのハンマーヘッドを巨大化させ真上から振り下ろしたルーチェさんに頭をぺっちゃんこに潰され止めを刺されると、脅威度Bランクのゴブリンナイトは沈黙した。



俺は・・・皆が倒したゴブリンシャドウの黒メガネ?10本、シャドウナイフ8本、魔石12個。ゴブリンナイトの盾、魔石1個の回収をしていた。


「ゴブリンナイトのドロップは外れだねえ・・・ナイトソードなんか出てたら騎士から人気があって高かったんだけどねえ」「んっんっ」


何度か倒したことがあるみたいなカルマータさんとルーチェさんはゴブリンナイトのドロップにガックリしていた。


「それにしても、皆よく頑張ったね。宝の武器が凄いってのもあるけど使いこなせなければどんな武器も同じだからねえ」


うぐっ・・・武器を使いこなせて(声を聞けて)ない俺はカルマータさんの言葉に小さくなるしかなかった・・・。




「さっだいぶ時間を使ってしまったしエルヘイブへ急ぐよっ!隊列は変わりないからねっ!!」


レアゴブリンの大きな群れを倒した俺たちは街道を順調に進み、エルヘイブへ後すこしと言うところで。平原に大量のたいまつがたかれ、人々があわただしく動き回って隊列を組んでいるのが街道から見えていた。


「なんだい?ありゃあ・・・」「ひとがいっぱいなのじゃ~」「アル君っなんだろうねっ?」「なんか慌ただしそうですわね・・・」「ん~~~」


「あれは・・・エルヘイブの・・・わたくしの私設軍ですわっ?!なぜ?こんな所に・・・こんな夜中の訓練の報告は受けていませんし・・・アル様、たぶんあの軍を指揮しているのはメリダとヒルダの父でエルヘイブの代官を務めているガハム・トリニテのはずですわ」


「それでは、エルヘイブの実質のトップがあそこに?」


「ええ、成人をしていない私の代わりにガハムが代官としてエルヘイブを治めていますわ・・・ですが。いえ何でもありません・・・」


途中で何でもないと言うカトリナ様は・・・そういえば、姫なのは返上したいと言ってたっけ・・・。


「じゃあ、あの私設軍が集まっているところに行けばいいんだね?」


「はい、お願いいたしますわ」


カトリナ様を先頭にずんずん進んでゆくと・・・。


「失礼っ!!!そこの方た・・・ち・・・ひっ・・・姫様っ!!!!!!」


物凄い大声で俺たちの歩みを止めた主は先頭に立っているカトリナ様を見ると一目散に駆け寄り目の前で膝まづいていた。


「ガハム・・・1ヵ月ぶりぐらいですわね。いつもお元気そうで何よりですわ・・・それでこの、私設軍が動いているのはどういう事ですの?」


「はっ!!それはこの街道に・・・レアモンスターの・・・姫?もしか・・・夜のエルヘイブへの街道をお進みに?」


「ええ・・・緊急の用事があったので王都から走ってまいりましたのよ」


「その・・・道中はなにも?ご無事にここにおられるという事は出なかったのか、ようございました・・・この騒ぎは、実は夜の街道に大きな群れのレアゴブリンが出没するようになり被害が大きな隊商に及んだため冒険者に討伐依頼を出したのですが・・・」


「なるほど、そういうことでしたか・・・確かにゴブリンと言えどレアゴブリンの群れしかも大きいとなると脅威度は最低でもCランク以上ですものね・・・しかし・・・」


「まっ、安心しな。そいつらなら私達セラフィムが来る途中に全滅させたよ。街道いっぱいにトゲピの罠を仕掛ける厄介な奴らだった上に脅威度Bランクのゴブリンナイトも討伐したからね」


「なんっ!!本当でございますか姫様っ!?」マジマジと姫様のカトリナ様を見るガハムさんは、信じられないと言った顔で冒険者カードの討伐履歴を確認するまで信じてもらえなかった。



「まったく、これで信用できたかい?」何度言っても信用しないガハムさんにカルマータさんはあきれ顔だった。


「姫様、カルマータ殿・・・セラフィムの皆様、疑ってしまい申し訳ない・・・」


「ああ、謝罪は受け入れたよ」


「ええ、分かっていただければいいのですよ。Bランクのゴブリンナイト、ゴブリンシャドウ12匹、ゴブリンアーチャー16匹と正直に言いますと私たちのランクでは討伐は無理と判断するのが賢明ですわ」


「そっその規模ですと・・・脅威度Aランクに格上げされますな・・・」


「街道のレアゴブリンの群れは討伐いたしましたわ、私設軍を直ぐに解散させ。この後、わたくしたちが夜を徹してエルヘイブへ来た理由をお話ししますわ」






「ヴァンプ族が・・・そんな事に・・・、もちろん受け入れはお任せください。エルヘイブは王都の台所で小麦を中心にした農業都市です、そこにヴァンプ族の方たちが加われば更にエルヘイブは豊かになりますぞ」


「ええ、アスハブ陛下は後でこの決定を悔やむことになると思いますわ・・・」


「ヴァンプ族の方たちは直射日光に当たるのが苦手と聞いておりますが・・・そうなると、昼間は人族に夜はヴァンプ族に畑を任せ、様々な種類の作物を育てる事となりましょうな」


「そのことなんだけど、ヴァンプ族はココでは無い所に住むことになるわ」


「それはいったい・・・?」


カトリナ様の説明にさすがにガハムさんは理解が出来ずにいた。





「アルっ!!起点都市の設定をしようか、説明をいちいちしていたらいつまでも終わらないからね」


「城の前の大広場に門を設置いたしましょう、ここなら交通の便もよろしいですわ」


「ヴァルたちエルヘイブに住んでもいいのか~?」


「うん、ヴァルちゃんたちヴァンプ族の新しい住処はエルヘイブだねっ!!」


「んっんっ」「うっれしいのじゃ~」背が似通ってるルーチェさんとヴァル様は手を取り合ってヴァンプ族の受け入れ決定に門の設置に大喜びして二人してぴょん飛びで嬉しさを表していた。



「アルっ、起点都市の設定と言うのはどうすればいいのじゃ~?」


「えっ?ヴァル様それは俺は分かりませんよ・・・ニュースサイトに聞けば分かるとは思いますが。とりあえず虚栄の水晶の指輪に意識を集中してみてください」

ふむ、正直言ってこれはヴァル様にしか分からないことだ。俺たちもエクステンドモードで門が一つ設置することが出来て、ある程度の広さを所有?カスタマイズする権限があるらしいけど・・・起点都市設定はマスターのヴァル様にしかできないだろうね。


「む~むむ~、あっ!!!でてきたのじゃ~アルのぶいあーる?というものにそっくりなのじゃ~」

その後も、ヴァル様はふんふんっ!!ほうほうっ!!にゃるなる!!など虚空を見つめながら操作しているのか、時たま「これじゃっ~!!」とか決定しているようなしぐさも入り、俺達はただその様子をずっと見ているしかなかった。




「つかれたのじゃ~できたのじゃ~とっても、かわいいのじゃ~」と、言いながらへちょ~んと座り込むヴァル様の前には虹のアーチ門が出来ていてとても幻想的で美しかった・・・。


「わっ!!!ヴァルちゃんとっても可愛い~こんな素敵な門見たことないわっ!!!」「んっんっ!!!」


「ええ・・・、こんな美しい門は見たことありませんわっ」


「たいしたもんだね・・・」カルマータさんが見上げる虹の門は美しく壮大で幻想的で、ヴァル様とカトラお姉さまとルーチェさんは可愛い?らしいけど俺たちの前には凄い門が出現していた。


「これは・・・おおお何ということだ・・・私は神の門の前に今立っておるのかっ!!!」

素晴らしい、おお神よっ!!と連呼するガハムさんはもうプチパニック状態だった。





「アル~ほめてなのじゃ~、がんばったのじゃ~」ほめてほめてと頭を差し出すヴァル様は大きな仕事をやり遂げた満足な顔をしていた。


「ヴァル様、とっても頑張りましたね・・・。それでこの虹の門はこのまま通っても?」

よしよしと差し出された頭をなでると・・・。


「んっ!!!」ルーチェさんもなでてと割り込んできていた。


「ヴァルっこのまま入っても大丈夫なんだね?」


「今は、ヴァンプ族とセラフィムだけしか入れないのじゃ~」


「すごいっ!!設定でそんな事も出来るのねっ!!」


「それなら門番は必要ありませんわね。ガハム、朝には虹の門が市民の目に留まりますヴァンプ族が移住する事と一緒に説明をお願いしますわ」


「姫様お任せください。しかし、市民の安全のためにも出入りの為にも門から10m以内は立ち入り禁止とし門番を置きたいのですが」


「そうですわね、突然出入りするヴァンプ族にびっくりした民が混乱することも考えられますわね・・・。虹の門から10m以内は立ち入り禁止とし門番を置くこととします」





「すごいのじゃ~~~~~~~~~」「んっんっ~~~~~~」ヴァル様とルーチェさんは仲良く一緒に虹の門をくぐると、目の前にはもう一つのエルヘイブが広がる光景に大はしゃぎをしていた。


「空が・・・夜の星空が美しいね・・・」星明りに気づいたカルマータさんが空を見上げると漆黒の絨毯の上に宝石のように輝く星空が広がっていた。


「大通りも凄いわよっ!!アル君のライトみたいな明かりの塔が道に沿って立ってるわっ!!!」

いわゆる街灯が一定間隔で立っていた、もちろん俺のライトの様にヴァンプ族には眩しくない仕様のものだった。


「すごいわ・・・」カトリナ様は街灯が立ち並ぶ明るい大通りと、宝石が散りばめられたかのような星空を見上げて言葉を無くしていた。







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