第四十五話 エルヘイブ 前
エルヘイブまでの地図、モンスターを表示しろ<ニュースサイト>∞開示。俺は、ワイルドカードと開示で皆とVR表示される地図とモンスターを共有する。
「わらわは、夜目が効くのじゃ~。でもアルのにはかなわないのじゃ~」
ワイルドカードのレベルはぐんぐんあがり今では80m先の地図と、モンスターをVR表示することが出来ていた。
「暗闇でも関係ないねえ、丸見えだよ」
「ですが、明かりが無しでは走るのは厳しいですね・・・地面が全く見えません」さすがに俺の能力も景色をワイヤーフレームで可視化すると言ったことは出来ず・・・いつかできてくれたらいいけど・・・。
「<ライト>X6」俺は基礎魔法なのか魔法なのか分からない<ライト>を6個唱えて出していた。もちろん昼間のように明るくなるLEDの強力な光だ。
「あっしまった!!!ヴァル様大丈夫ですか??」俺はヴァル様が光に弱いことをライトを出してから思い出してしまう失態を犯していた・・・。
「あれ?これはだいじょうぶなのじゃ~?太陽の様にチカチカしないのじゃ~なんでじゃ~?」
あらっ・・・以外にもヴァル様は平気だった・・・よかったあ。
「アル君っこれは魔法の光だから太陽とは違うイメージで作り出していない?」
「ああ、なるほどね。ヴァンプ族がダメな光は強烈な太陽の日差しなんだね」
「んっんっ」ルーチェさんは俺が出したライトの丸い光を触ろうとジャンプをして・・・あっ!
「ルーチェっ!!!何してるんだいっ!!!」
ルーチェさんに叩かれた俺のライトは激しく一瞬光りながら消えていた。あっ、でもこれ・・・ルーチェさんの意外な行動も、全く無駄ではないんだよね。
「まあ、ルーチェ様いけませんわよ。せっかくのアル様のライトが・・・でも、弾けるときに物凄い光でしたわね・・・」
「ぴかっとしたのじゃ~」
別の意味で、皆まぶしかったのか目をパチパチとさせていた。
「走るよっ!!カトリナっ道案内をアルはカトリナの護衛だよっ」
南城門を出て、ライトを出し自分たちと一定の距離を先行させているライトの強烈な光に照らしだされている街道を身体強化で全力疾走をして駆け抜けて行く・・・。
「ふうふうっアル君っちょっと休憩っ。カルマータさんいいですか?」
「そうだね、もう半分以上は進んでるかな。カトリナっあとどれぐらいだい?」
「まだ、森を抜けていませんけど半分以上は来ていると思います・・・いつもは馬車でゆっくりと向かうので景色が違って見えて正確ではないです・・・わ」
幾ら俺のライトで照らしだされて明るくても昼間の景色とは全然違う、しかも全力疾走をしてるんだし分かるわけないよね・・・。
「んっ」俺を引っ張りルーチェさんが指をさす先には・・・なんだ?細かいトゲトゲのいがぐりの様な物が街道いっぱいに落ちていた・・・。
あっやべ、もしかしてこれ・・・罠じゃないか?ダンジョンじゃないから必要ないと思って罠のワイルドカードを起動していなかった・・・。
「こりゃあ・・・罠だね珍しいこの罠は見たことあるよ。ルーチェありがとうね、気が付かないでこのまま進んでいたら、トゲピのトゲで足をやられて大変な事になっていたよ」
どうやら、こいつは触れると破裂し棘が足を中心に刺さるとの事だ。すぐに死ぬことは無いが棘を抜いて治療しなければ、とげが刺さった部分から痛み痒みから始まり最後には肉が腐り大変な事になるそうだ。
「この罠があるという事は・・・運がいいのかねえ、こんな忙しい時じゃないともっと嬉しかったんだが」
「カルマータさんそれはどういう・・・」
「んーーーーーんっ!!」ルーチェさんが突然、巨大ハンマー・トールのハンマーヘッドをさらに巨大に変形させ地面の土を削り取るようにフルスイングする。
「さっこれで、トゲピの罠は大丈夫だよ」
ルーチェさんはトゲピの上に土をこんもりとかぶせ、道を作り出していた。
「こいつは、ゴブリンアーチャーの罠だなかなか見ることが無いモンスターなんだが・・・どうやら、さらに運がいいみたいだね・・・」
カルマータさんの視線が街道の先を見る。
「あーまるみえなのじゃ~かくれんぼにもならないのじゃ~」
ヴァル様が指をさす先には、俺のスキルでクッキリと輪郭が縁取りされたゴブリンが映し出されていた。
「あれは、ゴブリンシャドウだね暗闇の中かから突然襲ってきて厄介なモンスターなんだけどね・・・」
「アル君のスキルの前ではただのゴブリンだねっ」
「わたくしも初めて見ますが・・・ゴブリンアーチャーとゴブリンシャドウの連携モンスターは確か脅威度Cランクでしたわ」
「そうだけど・・・どうやら、今回はさらに上みたいだね・・・脅威度Bランクのゴブリンナイトがいるね・・・」
普通のゴブリンと同じ体格のゴブリンシャドウの後ろに1匹だけカルマータさんよりもでかいVR表示で縁取りされたゴブリンナイトの姿が見えていた。
「まずは、ゴブリンアーチャーを潰すよ。このままナイトとシャドウとぶつかると四方からゴブリンアーチャーの弓の的にされるからね。カトラはマジックシールド、カトリナはストーンシャインで弓の発射を邪魔するんだよアルは回り込んでゴブリンアーチャーを攻撃するんだ」
「わらわも、攻撃してみたいのじゃ~カルマータだめか~?」
「ヴァル・・・空を自由に飛べるんだったね?夜目も効くしアルの補助を頼むよ」
「ヴァル様の武器はどうしましょう?」
「わらわは弓が得意なのじゃ~」
「ヴァルちゃんは弓か~ゼレインの宝は短剣だったっけ・・・」
「そうでしたわね・・・弓だと良かったんですが」
俺はゼレインの真のダンジョンボスドロップである宝の短剣を神の宝箱から取り出しヴァル様に渡した。
「うわ~ちっこくてとっても可愛い短剣なのじゃ~これを、わらわが使っても良いのじゃ~?」
「うん、弓じゃないのが残念だけど・・・宝の短剣だからきっと名がある立派な短剣だと思うよ」
ヴァル様は短く可愛らしい宝の短剣をとても気に入ってくれたようだ。
「右の森の中から調べるよ、カトラとカトリナは先頭を見つかるように歩くんだ。アルとヴァルはさらに回り込んで奇襲をかけるんだよ」
俺達はカルマータさんの指示通りに分かれて動いてゆく。
「ヴァル様行きましょう、先にカトラお姉さまたちが接敵して戦闘が始まったら俺は横からヴァル様は空から奇襲を掛けましょうね」
「うん、なのじゃ~ふふっこの子とってもいい子なのじゃ~ほらっ!!必要ない時は刃が引っ込むのじゃ~」
あっ・・・すごい、ヴァル様が持ってる宝の短剣は柄の部分だけになっていた。そして、どうやっているのか分からないが刃が出たり引っ込んだりを繰り返していた。
少しすると戦闘のはじまった音がしてきていた。うわっ・・・ガッガッとこれカトラお姉さまの□魔法マジックシールドが矢を受け止める音か?やばい、やけに受け止める音が多いしカトリナ様の魔法の声がしてこない・・・。
「ヴァル様は上空から様子を見るのが第一の役目です、その短剣で上空からの奇襲はなるべくやらないようにしてください。特にゴブリンアーチャーの数が多い間は奇襲後に他のゴブリンアーチャーから狙われる可能性が高いですから」
「わかったのじゃ~、アル~気を付けてなのじゃ~上から見てるのじゃ~」
俺はチャトラアーマーに少量の魔力を流す、うっすらと青白く色づくアーマーは不思議な事に暗闇の中では光って見えなかった。
いたっ!!木を盾代わりにカトラお姉さまたちがいる方に向かって弓を放っているゴブリンアーチャーが・・・10匹以上はいる・・・。防御だけに精一杯な皆を何とかしようと俺は奇襲をかける、VR表示でクッキリ映し出されたゴブリンアーチャーはしっかりと補足できている。これが暗闇の中、自分の目だけで奇襲をかけてどうにかしろと言われてもできないだろうなと思いつつ<身体強化>を戦闘レベルまで上げ<ラインスラッシュ>っ。1匹っ2匹っ3匹っと連続して切り伏せる・・・が、俺はこんな大事な時に足がもつれて転んでいた・・・。
なっ!!なんでズボンがっ、後ろを見ると切り伏せたはずだったゴブリンアーチャーの一匹が俺のズボンをずり降ろしていた・・・。
ふふっと~ても気持ちいいのじゃ~、わらわは上空からゴブリンアーチャーたちを見張り状況によっては奇襲もする役目なのじゃ~。
アルが、見えるのじゃ~わらわの目は夜目が効くから真っ暗闇の中でも昼間の様にくっきりと見えるしかもアルの能力の、ぶいあーる?というもので敵もクッキリと縁取りされて丸見えなのじゃ~。
かくれんぼしたら絶対に勝っちゃう羨ましい能力なのじゃ~。
あっ!!アルが青くなったのじゃ~、わらわのダーリンのアーマーと盾はチャトラアーマーと言ってとってもすごいアーマーでこの世界の宝と同じぐらいすごいものだよ、とアルから聞いていたのじゃ~とっても奇麗なのじゃ~普段は暗闇のようなアーマーが魔力を通すと青く色が変わってとっても幻想的なのじゃ~。ラインスラッシュっと青い剣線を出しながらゴブリンアーチャーを切り、順調・・・わっわわわっどうして倒れているのじゃ~アルが大変なのじゃ~。突然倒れ込んだアルに、わらわは混乱してしまっていたのじゃ~!!。
くそっ!!こんな間抜けなズボン下ろしで足をもつれさせて転ぶなんて・・・。俺は盾で頭を隠しながらズボンを降ろしてきたゴブリンアーチャーを思いっきり蹴り飛ばし吹き飛ばすが・・・、不味い・・・何匹かに捕捉され転んだ俺はイイ的にされて矢を雨の様に受けていた。
あっあっアルがピンチなのじゃ~矢が雨の様に降り注いでるのじゃ~・・・う~わらわの短剣ではあの数のゴブリンアーチャーを相手にするのは無理じゃ~・・・アルを助けたいのじゃ~。
お前は、ヴァルを助けてくれないか~アルがピンチなのじゃ~。
刃を出したりひっこめたりしたときの様に柄だけの状態の宝の短剣に心の中で話しかける・・・。
お前は・・・・・・・<アルテミス>なのじゃ~?
柄はホンワリと光りヴァルの名の呼びかけに答える。
アルテミス~アルを助けてほしいのじゃ~。呼びかけながらギュッと柄を握って魔力を流すと闇の様に黒い弓が形成され弦が張られる。
弓なのじゃ~アルテミスどうすれば矢が撃てるのじゃ~。アルテミスからは答えるように勝手に矢が継がれる・・・。
すごいのじゃ~!!!あとはいつものように討てばよいのじゃ~。
翼を大きく広げ漆黒の闇世の中に浮かぶヴァルは夜の魔力をいっぱいに吸い込みアルテミスへと送り込んでゆく・・・。
アルテミス・・・全てを射貫く漆黒の闇を降らせるのじゃ~<ダークナイトレイン>っ!!!
アルテミスから放たれた矢は幾重にも空中で分れ、目に補足できる全ての敵を完璧に射貫き静かに残身を終えた後には全てのゴブリンアーチャーとの戦闘が終わっていた。
俺にあれほど激しく放たれていた矢がパッと止まった・・・矢切れ?と思った時には闇夜から舞い降りたヴァル様に抱き着かれていた。
「カトラ様っこれでは魔法も打てませんわっ」
「カトリナっ無理に魔法を撃っちゃだめよっ。撃ち込まれる矢が多すぎるわっ!!!」
先ほどから撃たれる矢の数は、補足した16匹のゴブリンアーチャーたちから放たれ。訓練されたかのように間隔を開けずにカトラのマジックシールドに止めどもなく接触して弾けていた。
「まいったねえ・・・16匹もゴブリンアーチャーがいるなんて、よっぽどデカい群れに当たっちまったようだね」
「んっ?!」
ルーチェが声を上げ指をさす方向には、青い剣閃を残しながら切り込んでいくアルの姿がちょうど見える位置にいた。
「アルも・・・奇襲をかけたようだね」
あの子たちに期待するしかないか・・・でも数が多すぎる、アルはチャトラアーマーがあるから矢なんか大丈夫だろうけど・・・ヴァルが心配だねえ・・・あの子、アルがもしピンチになった時に無理をしなけりゃいいけど・・・。
そんな心配は、現実のものになるのだがヴァルとアルテミスによりすぐにゴブリンアーチャーの群れは殲滅された。
「まったく・・・なんて恰好をしてるんだいアル・・・」
「もうっアル君っ何してるのっ!!!パンツがずり落ちてるじゃないのっ!!!カッコ悪いわっ」
「アル様・・・」「んっ・・・」
「うわっ!!恥ずかしいから皆あっちむいててよっ!!」
空からヴァル様が落ちてきた後、すぐに皆がこちらに合流して・・・俺のパンツずり落ち姿をマジマジと見られていた・・・いてて、思いっきり引っかかれるようにズボンを降ろされた姿は本当にカッコ悪かった・・・。
「アルっ、パンツを上げたらドロップの回収を頼んだよ・・・こいつらはレアモンスターだからね期待が出来るよ。回収後はすぐにBランクのナイトを潰しに行くよっ!!」
俺はすぐにパンツをしっかりとたくし上げ、ゴブリンアーチャーのドロップ品を回収してゆく・・・。あっすごい、弓が8本もドロップしてる・・・たしか弓は武器屋で見た限りでは剣なんかよりも10倍以上する物凄い高価な物だったはずだ・・・。その他はルビーのような真っ赤な宝石が大量にとマントが10枚に腰に括り付けるポーチ?の様な物に大き目の魔石が16匹分転がっていた。
「ふむ、まあまあだね・・・それにしても、どうやって倒したんだい?アルの剣閃が消えた後、オークアーチャーの矢が降り注いでるのが見えたが・・・パンツがずり落ちて転んでいたなんてね・・・」
「あっそれは、わらわのアルテミスが助けてくれたのじゃ~」
ヴァル様は誇らしそうに掲げるアルテミスは短剣の柄だけの形状になっていた。
「それがかい?柄しかない短剣に?」
「これは、ぐーーーーんと伸びてしゅっと弦が張られて、びゅんと矢が出てすごいのじゃ~」
ははっ、みんなヴァル様の必死の説明にちょっとハテナマーク出しながら一応うなずいていた。




