第四十三話 飛んでます
「わあああああっアルちゃああああああんっ」俺は家に帰るとすぐに出迎えてくれたライラお母さまにぎゅーと抱き着かれていた。
「ライラお母さま・・・とっても心配を掛けました」
「うんっ、とっても心配したわあ・・・もうっ!!アルちゃん遅くまではまだ冒険はダメよっめっ!!」
ライラお母さまはとっても心配してくれて涙目で今日はコツンとオデコを合わせるだけで許してくれた・・・とても暖かな心が俺のオデコ越しに痛いほど伝わってきて少し涙が出てしまっていた・・・。
「ふふっ。アルちゃん今日もまた大冒険をしてたのねっ、それでこの後も?」
ちょっと心配顔のお母さまは、この後もすぐに大冒険へと行かなければならない俺を心配してくれていた。
「はい・・・ヴァンプ族の救出と、たぶんそのまま何日か家を空けることになりそうです・・・」
「え~~~~~・・・・・何日も?アルちゃん帰ってこないの?」
目に涙をため始めるお母さまに・・・。
「ほらっ!!アル君っそれは大丈夫よっ。私のマジックドアがあるじゃない・・・」
「あっ・・・そうです、ライラお母さま出かけますが毎日帰ります」
なんとか、毎日帰るという事でこの場は落ち着いてくれたお母さまに、ヴァル・フレイア様を紹介する。
「アルのお母さまなのじゃ~とってもやさしいのじゃ~アルにそっくりなのじゃ~」
「まあっ!!ヴァンプ族の子ね~可愛いっ。もしかして初心者ダンジョンの集落の子かしら?」
「そうなのじゃ~ヴァルは初心者ダンジョンのフレイア集落の子なのじゃ~」
「そうなのねっ!!ヴァンプ族は香辛料や珍しい植物をいっぱい品種改良で生み出すので有名なのよ~。今度は王都に引っ越してくるのねっ大歓迎だわっ!!!それにヴァルちゃんはとっても可愛いわっアルちゃんのお嫁さんに来ないかしら?」
「「「!!!」「んゅ」」」」ライラお母さまの声に一斉に皆が硬直して、一瞬へんな空気が漂う・・・。
「アルはヴァルがお嫁に、その来てもいいのじゃ~?」
お母さま・・・俺をチラッチラッと見ながらもじもじするヴァル様に断りの言葉など贈ることもできるわけがなく・・・。
「その、俺にはすでにお嫁さん候補が沢山いますが・・・それでも宜しければ・・・」
「えっ?アルちゃん?それは別に普通の事よ?何も問題ないわねっ」
俺はお母さまの言葉に、皆を見回す・・・顔が固い・・・。
「アル様・・・ほら、ちゃんとお返事をしてあげませんと・・・」
「アル君っ、むやみにお嫁さんを増やすのは反対なだけだからねっ」「んっんっ」
「そうだね、アルがヴァル様を好きなら構わないよ。それに今の状況で断るのは無いねえ」
はは・・・たしかに・・・ライラお母さまがヴァル様にお嫁に来ないかしらと言っているうえに、ヴァル様は来てもいいかと俺に聞いてきている・・・これに断れるわけないよね・・・。
「ヴァル様・・・俺はまだまだ半人前以下の男です、そしてここに居るパーティーの皆は順序や位など関係なく俺のお嫁さんになるために花嫁修業中です、その中の一人に来てくれますか?」
なんだろう・・・言ってて。俺最低じゃね?みたいな前世では5股で殺されるパターンだよね。
「ハイなのじゃ~アルは一目見たときから優しいところが気に入ってたのじゃ~わらわにもやっとダーリンが出来たのじゃ~」
ぶわっと翼を広げ俺に首から抱き着くヴァル様は・・・チュウと首にキスをしてきて血を吸っていた・・・。
「わっヴァル様っ!!!」
そして俺に抱き着くヴァル様は・・・大人の美女になっていた・・・。
「ふふっやっぱり・・・アルは最高にわらわと相性がいいのじゃっ!!!ヴァンプ族は夫となる者の血が無ければチビッ子から成長できないのじゃっ!!!」
ぶほっ、ヴァル様に詳しく聞くとすでに成人しており、さっき言った通りヴァンプ族は番いになる者の血が無ければ成人の体になる事は出来ないそうだった。
「あっ!ちっこくなっちゃったのじゃ~3分ぐらいしかまだむりなのじゃ~」
美少女も約3分でパワー切れみたいだ・・・。
「それにしても、ヴァル様・・・いやこれからはヴァルと呼ぶよ。私と同い年とはねえ・・・」
「んっんっ!!」そう、ルーチェも同い年だよとヴァル様をツンツンしている。
成人はたしか16歳だっけ・・・。
「皆、アルちゃんのお嫁さんなんだからっ仲良くしてねっ。こんなにいい子たちがアルちゃんに・・・ママ嬉しいわあ~」
アルちゃんをよろしくねと、皆の手を取りぎゅうぎゅう抱き着くライラお母さまは本当にうれしそうだった。
「ヴァル様・・・そろそろ、虚栄の水晶の所有者登録と起動をしましょうか。いまはラングお父さまが先頭に王国軍が初心者ダンジョンのモンスターを無力化しているはずですので、今のうちに新しいヴァンプ族の住処を用意しましょう」
「うんっなのじゃ~。それで、わらわはどうすればいいのじゃ~?」
俺はヴァル様の前で初めて神の宝箱を使う、右手をショルダーバックのベルト部分に当て魔力を流すと・・・3つの無色の水晶球が台所のテーブルの上にパッと現れていた。
「わっ!!!すごいのじゃ~アルっどうなってるのじゃ~パッとでたのじゃ~」
俺の手を取り、どこに仕掛けがあるのじゃ~とぺたぺたと触りまくるヴァル様に。
「ヴァル様・・・はしたないですわっ。アル様は神の宝箱の所有者で今はその一部の機能でアイテムを取り出しただけですわよ」
カトリナ様の説明にちっさなお口をポカーンと開けて、俺と水晶を何度も行ったり来たりするヴァル様はとっても可愛らしかった。
この後、何度も出したり仕舞ったりをしてもう一度見せてほしいのじゃ~とヴァル様のリクエストに応えていたが・・・。
「アルにヴァル・・・気持ちは分かるがそろそろ虚栄の水晶の所有者登録をしようかね?」
「もうっアル君っもヴァルちゃんも、子供みたいにいつまでも遊んでちゃダメっ!」
「んっんっ」ルーチェさんにも、今回はダメ出しを食らってしまった。
「「ごめんなさい・・・」ごめんなのじゃ~」
二人して一緒に謝るとふふっと笑いがこみあげてきてヴァル様と一気に距離が近くなったような気がしていた。
まずは・・・所有者登録の仕方から使い方を<ニュースサイト>開示。
俺は皆に開示をすると思いながらニュースサイトを開く。
「2000 虚栄の水晶の所有者登録、使い方」
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2000 虚栄の水晶の所有者登録、使い方
条件を満たしたものが3つに分かれている水晶を一つにする、その時に所有者登録もされる。
所有者登録後はその者以外、虚栄の水晶は受け付けない。
登録後は、虚栄となる都市の名前を魔力で登録し異空間に固定作成される。
出入りの門は最大6か所設置が出来る。
設置後には天候、気候、水源、道、建物、すべてをカスタマイズできる。
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使い方は簡単そうだ、一番難しい所は・・・最初の登録なんだろうな。チラッとヴァル様を見ると・・・大きく目を見開き虚空を見つめ・・・あれっ?それに皆も固まっていた・・・あっ、さすがにいきなりは不味かったか??
俺は突然VR表示されるコンソールなどにびっくりさせてしまったことに皆の顔を見るまで気づくことが出来なかった。
「びっくりしたのじゃ~アルはびっくり箱なのじゃ~」
「もうっアル君っ一言教えてほしかったわっ!!」「そうですわアル様」「んっんっ」
「全く、これがアルが見ているものなんだな・・・」
「えっえっ皆何が見えるの?アルちゃんっママには?」
ライラお母さまには見えなかったようで・・・ママにも見せて~と駄々をこねられるが・・・どんなものが見えてるのか説明するだけで許してもらった。
「アルっこわいのじゃ~」プルプルと震えながら虚栄の水晶に触ろうとするがあと一歩のところで止まってしまう。
「じゃあ、俺も一緒に・・・」
「えっ、アル君もやるなら私もっ!!」「そうですわ、アル様このような時は皆で一緒にですわっ」「んっ」ぱっと手を出すルーチェさんに、私もっとヴァル様の上にどんどん手を重ねて行く。
「そうだね、ヴァルみんなでやろう一人じゃないから大丈夫だね?」
「うんっなのじゃ~カルマータありがとうなのじゃ~」
ヴァル様、ルーチェさん、カトラお姉さま、カトリナ様、カルマータさんと手を重ね最後に俺の手が一番上に重ねられると・・・。
「う~ん、皆の手が重いのじゃ~」と言った感じでヴァル様の手が虚栄の水晶に触れる・・・。
目の前に俺のニュースサイトと同じようにVR表示がされヴァル様の登録がされる・・・あれ?そこに映し出されていたのはエクステンドモードと表示されたVRコンソールだった。
YES・NOと表示がある・・・どういう事だ?ニュースサイトの説明と全然ちがう・・・、皆を見ると俺と同じようで止まっていた。
虚栄の水晶のエクステンドモードとは?<ニュースサイト>開示。
「2017 虚栄の水晶・エクステンドモード」
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2017 虚栄の水晶・エクステンドモード
通常起動モードに追加で一定の条件を満たした者を所有者登録をするモード。
通常起動する者が心を許す者で、魔力のパスが出来ている者に限られる。
エクステンドユーザーは、それぞれ1つの門を管理し500m3までの空間を使うことが出来る。
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「皆・・・エクステンドモードで登録をしよう」
「アル君っ私達にも?」「アル様っ」「んっ」「使わせてもらおう」
「皆でイエスなのじゃ~」
>虚栄の水晶がヴァル・フレイアに登録されました。
>エクステンドモード起動
>・ルーチェ
>・カトラ・バラス
>・カトリナ・ファイス
>・カルマータ
>・アルスロット・カイラス
>5名のエクステンドユーザーが登録されました。
虚栄の水晶の所有者登録が終わると、重ねていた手に虚栄の水晶がまとわりつきグネグネと姿を変え水晶の指輪へと姿を変える。
「ふう・・・登録はこれで完了みたいですね・・・」
「わあああっきれいなのじゃ~指輪なのじゃ~」「ほんと奇麗だね」「んっ」「皆お揃いねっ」「そうですわねっ水晶の中を走る金の幾何学模様が・・・美しいですわ」
「皆いいなあ~ママもそんな奇麗な指輪が欲しいなあ・・・」
ははは・・・。




