第四話 男にはハイハイとやらねばならぬときがある 公園デビューは〇×△□
「火のチェックは良しっ!戸締りも良しっ!さーアルちゃんっ公園に日向ぼっこデビューよっ!!」
あ、どもこんにちは皆さん。お風呂の入り直し離乳食も無事食べ終わり昼寝を終えた俺は、公園で日向ぼっこデビューを迎えることになりました。
なんでもお母さまの話では、各地区ごとにある公園ではこうやって子供を日向ぼっこをさせに出たついでに奥様方とのコミュニケーションを取るそんな習慣があるそうだ。
何方かと言うとお母さまの大事な奥様コミュニティデビューでもあるんだな・・・。
そうであるならば、俺は全力でお母さまをサポートするっ!!そんな使命感がメラメラと燃え上がっていた。
公園までは歩いて10分と少しだろうか、気持ちいいそよ風にポカポカと洗濯物が揺られる路地の風景を眺めながらお母さまに抱っこされて歩いていく。
ちなみに、ベビーカーは無いようだ・・・下を見ると固いボコボコとした石畳で・・・おうっこれはベビーカーがあったとしてもとても実用できないだろうという道だった。
「アルちゃん~ふふっそんなにキョロキョロしてっ珍しいのかな~風も気持ちいいねえ~公園の日向ぼっこも、とっても気持ちいいはずよっ」
るんるん、らんらんららんっと機嫌よく歩くお母さまからは俺にいっぱいの愛情を注いでくれているのが嬉しいほど伝わってくる・・・神様は意地悪な奴だったけど・・・良かった。
「さっ着いたわよ~ここは王都グリナダスの中でも一番大きな公園なのよっあ~楽しみっ」
アーチ状の門をくぐるとそこは・・・公園というより・・・森だよね、ただし人の手が入った森だった。例えば歩きやすい道がちゃんと整備されている日光で明るくなるように木の間隔が開けられているなど入り口には中央に噴水が描かれている真円状に広がる公園の地図が描かれていた。
「ん~日向ぼっこできるところは・・・あった!中央噴水の右上ねっ」
指をさしながら確認するお母さまによると、そこには日向ぼっこの会と書かれた張り紙がしてありどこで何が開催されているか分かるようになっているみたいだ。
「こんにちわ~初めまして~代表の方はいらっしゃいますか?」
日向ぼっこが出来る噴水右上の大きな木の下に到着したお母さまと俺は10数組のお母さま方の輪の中に入っていた。
「初めまして、私はライラ・カイラスと言います。そしてこの子が長男のアルスロット・カイラスですよろしくお願いします」
お母さまに抱っこされた俺はそのまま一緒に軽くペコリんとお辞儀をすると。わっと一斉にようこそっや初めましてとか挨拶合戦になって行く。
そして一通り挨拶が終わると・・・代表らしき人から。
「はいっそれでは簡単に今日の情報交換のお題をお知らせします。今日のお題は初めての言葉です、皆様のお子様の初めての言葉はどんな言葉だったのか?お隣同士での交流の足掛かりにしてください、それではよろしくお願いします」
するとまたすぐにわっと隣同士しゃべりあい輪が出来ていく・・・。俺のお母さまは・・・うん、完全に取り残されちゃってるな・・・よしっ。
俺は完全にぽつ~んと一人になってしまったお母さまを助けるべく言葉を発していくことにした。
「ま まん ま まん んま」
「えっええっアルちゃん今なんてっっ!!!きゃああああ、うんっほらもう一度っ頑張ってっ!!!」
「まん まま」
「きゃあああ、アルちゃんママよっありがとうううううっアルちゃん~ママを一番に喋ってくれてありがとうっ!!」
俺は興奮したお母さまにぎゅぎゅ~とされて喜びと幸せが痛いほど伝わってきた・・・。
「わっ、ライラさんもしかして今の・・・初めての言葉ですか?わっ羨ましい私の所はパパだったんですよ、それもあやしい感じで・・・パパじゃなくてパンとも聞こえた気もして夫と喧嘩にまでなったんですのよ」
うわ、そんなことで喧嘩しちゃだめですよ・・・。
「わたくしの、ブータちゃんはカネだったんですのよっ。将来はとってもお金持ちな子になるんですのよっホホホホっ」
うわあ、もう一方の隣の人は・・・なんだろうお金持ちなんだろうか・・・。
「はいっ私のアルちゃんは今が初めての言葉だったんです。今日は幸せな日です朝も可愛いコロコロと転がる寝返りが見れたし、それに初めての言葉がママ・・・まま・・・まま・・・」
あ・・・お母さま・・・嬉しすぎてちょっと意識がどっかに飛んでしまったようだった。
そんなお喋りしながらの日向ぼっこは30分ほどで終了し解散した。
「アルちゃんっ帰りましょうね~ぽかぽか気持ちよかったね~また来ましょうっ!」
「あ~う~」
「あっやっぱりっ!!!アルちゃんさっきから良くおしゃべりが出来るようになったねっママ嬉しいっ。いっぱいいっぱいママに喋りかけてねっ」
「うーる~まま」
「まま、ママ・・・ありがとうアルちゃん・・・。もう嬉しすぎて・・・言葉が出ないわっ・・・」
あ~やりすぎちゃったかな・・・さっきの日向ぼっこが良いきっかけになったのか俺は単純な意味のある単語を少しだけしゃべれるようになっていた。
うん、子供の成長は早いね出来たらハイハイも出来るようになりたいな。
芝生があるけど流石にもう帰るよねお母さま・・・ハイハイの練習によさそうだけどね。
そんな、芝生をふと見ると一人の女の子がポツンと座ってうなだれているのが目に入った・・・。
『1534 緊急速報 アルスロット落下するっ!!!』
はっ!?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
1534 緊急速報 アルスロット落下するっ!!!
今日の15時36分ごろ グリナダス王国 中央大公園にてライラ・カイラスと日向ぼっこに来ていたアルスロット・カイラスが抱っこされた状態から落下し大けがを負う。
ちょうど、芝生にうなだれ落ち込んでいた魔法学校の生徒カトラ・バラスが助けようとするもの魔力循環後の魔法発動が上手くいかなくアルスロットの怪我の治療が出来なかった模様。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
はっ?俺が落下して大けが・・・なんでだ?そしてどうして芝生の君は魔法が使えないんだ?
俺はすぐにF5で再読み込みをして最新記事を表示させる。
@@@@@@@@@@@@@@@
1534 落下の原因とカトラの魔法
森カラスの巣の縄張りに入ってしまったライラ・カトラスの頭に排除行動をした森カラスの攻撃が当たりアルスロットは落下し大けがを負った模様。
カトラ・バラスは特別な魔法発動能力のため通常の呪文式発動は魔力を動かすことが出来ず魔法が不発に終わる。
彼女は〇×△□魔法と言う特殊魔法の使い手であり。通常の魔法は頭の中に浮かんできた個々の<呪文>で発動する。しかし彼女の魔法は特殊魔法のため通常のやり方では発動せず不発となっている。
〇×△□魔法は魔力を体中に循環させ指先で対象を囲うように始点から終点を結び発動する特殊魔法である。
単純形式3種
〇=回復
△=フリーズ
□=バリア
特殊形式1種
×=遠視
@@@@@@@@@@@@@@@
うわっこの人もしかしてユニークスキル持ちっ?なるほど・・・魔法学校の生徒らしいけど・・・特殊魔法だから普通の魔法の使い方を教えてもらっても発動しなくて、それでこんな所で落ち込んでいたんだな・・・。
あと2分も無い落下時間に俺はずっとどうしたものか・・・考えながら落ちる俺は走馬灯のように考えが加速し答えを出していた。
「きゃっっ」
ゴッ
「あっ・・・あっ・・・アルっああああ!!!!!あるうぅあああああああ」
俺はこの世界に来て初めて大けがを負っていた・・・そして。
カトラ・バラスの覚醒
「わっ私っ魔法学校の生徒ですっ。赤ちゃんを見せてくださいっ」
魔法が使えない私が・・・なんでこんなことを・・・。
とっ兎に角、魔法学校で習ったことを思い出すんだ。まずは魔力循環・・・よし・・・きれいに流れた。次は怪我を直す、赤ちゃんの切れたオデコを見る・・・ぱっくりと割れて血が垂れている・・・そして打ち付けたと思われる所々は赤く内出血をしていた。
オデコの傷を塞ぐバイ菌を水で洗い流しぱっくり割れたオデコは皮膚を寄せてくっつける・・・内出血は出血部分の血を元の場所に戻す・・・。
あ・・・だめだ何も呪文が浮かんでこない・・・よ。
「ごっごめんなさい、私では治せない・・・」
この子の母親は私のその言葉を聞いたとたんさらに泣き出してしまっていた。
「何でこんなことに・・・なんでっなんでなんでなんでーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」
さっきまでの私は・・・・・・何をしていたんだっけ・・・・・・・。
私は芝生で落ち込んでいた・・・ここは私が一番大好きな場所、良く子供のころから遊びに来てこの芝生の上で転げまわっては遊んだ・・・。
今日も魔法が使えなかった・・・みんなは頭に浮かんできた呪文を唱えると発動した、だけど私は呪文さえ浮かばない何度も何度も魔力を流して循環させるが呪文は浮かんでこない・・・。
先生は理解が足りない勉強が足りないと言っていたけど、何で火が燃えるのか私なりには一生懸命努力をして学校が終われば毎日のように台所の竈の前で火を見ながら魔力を流した・・・だけど結果はなにも付いてこなかった・・・。
ゴッ
「あっ・・・あっ・・・アルっああああ!!!!!あるうぅあああああああ」
えっ・・・突然の悲鳴と名前を呼ぶ女性が10mほど先で泣き叫んでいる・・・あっ赤ちゃん・・・。
私は落下したであろう赤ちゃんを見て勝手に体が動いていた・・・。
ああ・・・魔法が使えないと落ち込んでいた私はこの子を見て助けたいその一心で・・・
魔法が発動できない自分の手を見る・・・この手でこの子を・・・この小さな命を助けたかったっ!!!
「ううっあああああああああああああああああああああっあっあっあっ!!!!!」
何度も私は石畳に拳を打ち付けていた・・・。何度も何度も・・・なんど・・・も・・・「・」・・・「・」・・・えっ?・・・「・」・・「・」・・・・・・。
「・」・「・」・・・「・」「・」・・・。
聞こえる・・・赤ちゃん?から・・・ま・・・る。ま・・る、・・・指を動かしまるを作る。ま・る、・・・またまるを作る・・・循環していた魔力が反応する・・・できるっっまるっっ!!!
私の指は力強く動き赤ちゃんを〇で囲んでいた・・・。
そして奇跡が起こった。
ライラ・カイラスの驚き
それは奇跡だった・・・アルスロットの体が濃密な魔力の〇に囲まれ瞬時に大怪我が治ってしまった。本当に一瞬の事でおもわず私の涙が止まってしまったほどだ。
そしてしゃがみ込んだまま・・・アルスロットを抱きかかえる、暖かい・・・血は全部消えている・・・打ち付けて内出血していた場所も奇麗ないつもの肌の色に戻ってる・・・。
うん、呼吸も普通だ・・・苦しそうな痛そうなそんな事は全くなさそうにアルスロットは目をつぶって穏やかな顔で私になすが儘にされていた。
アルスロットの目覚め
ん・・・んんっ。あ~お母さま・・・俺は地面にしゃがみ込んだお母さまに優しく優しく抱っこされていた。そしてお母さまのお顔は、またくしゃくしゃになっていた・・・。
はっっ!!!お母さまっうううっどうしたらどうしたら・・・はっ!芝生・・・お母さまっ見ててくださいっ俺の元気な姿をっ!!!
「あう・・・うー・・・うー・・・あいっっっっ!!!!!!!!」
優しく抱っこしてくれていたお母さまをコロコロ寝返りで振りほどいた俺は、芝生の上をゆっくりとだがハイハイして無事アピールをしていたのだった。