第三十九話 決まらないパーティー名
「このたびは、アスハブ陛下との謁見の名誉を頂き恐悦至極でございます。エルランダ教国は今、大規模な食糧危機に瀕しており国民は飢え、悪いことに・・・伝染病も流行っており薬も足りない状態でございます。今日は恥を忍んで、こうしてエルランダ教国と友好のあるグリナダス王国へアスハブ陛下の元へとまかり越したのでございます・・・」
「ふむ・・・食糧と病か・・・食糧の方は、我が王国民が食べる以上の物は支援もすることは可能じゃが。残念ながら病の方は、我が王国は魔法薬の研究の強化はしたのだがまだまだじゃ」
「そうでございますか・・・我が教国も伝染病などの病に効果のある薬が無く広がるのを押さえ、沈静化するのを待つのが精いっぱいでございます・・・」
「む、そうじゃのお・・・魔法薬に詳しい者に聞いてみることはできるのう・・・もしかしたら、伝染病に効くような魔法薬を知っておるかもしれぬ」
「おお、それは是非に・・・少しでも可能性があるのならば」
「ふむ、ヒルダっ後の調整は任せたのじゃ。出来うる限りのエルランダ教国の民が救えるようにのう」
「はっ、承知いたしましたわ・・・今のグリナダス王国は食料自給率は180%以上を超えております食糧の方は、陛下のご指示通り事を運ぶことが出来ます。しかしながら伝染病に効果のある薬、魔法薬は・・・残念ですが・・・」
「ありがとうございます。食料の支援だけでも・・・飢えが無くなれば体力も回復し病にも強い体を取り戻せます。薬の方は病を知らなければ難しいでしょう・・・もし、何かしら効果のある薬があるのならば・・・」
私は、アスハブ陛下の命によりエルランダ教国の食糧支援の話を詰めるため謁見の間から、応接室へと使者殿と移動していた。
「ヒルダ殿・・・食糧支援なのですが、どれほどの支援を頂けるのでしょうか?」
「そうですね、、エルランダ教国に支援できるのは・・・ざっと40万トンですわ」
「そんなに・・・もしそれが実現できるのなら、次の小麦の収穫まで十分耐えることが出来ます」
「ただし、問題もありますわ・・・それは輸送です。我が王国とエルランダ教国は隣同士ですが・・・地続きで荷馬車での輸送となりますとエルランダ教国首都につくまでに10日はかかり・・・正直あなたのやせ細った姿を見て10日後の食糧支援はどうなのかしら・・・ひどいことを言うけど間に合わないのではなくて?」
「・・・・・・その通りです・・・私は今日このようにグリナダス王国に支援のお願いをするため、少ない食事を頂き今ここに居ます・・・教国民は飢えて餓えて・・・10日は持たない民もおるやもしれません・・・」
んーまずいわね~アスハブ陛下も優しいお方だから食糧支援を了承しちゃったけど。間に合わずに餓死者が出まくっていたら意味はないわ・・・どうしたら・・・。あっこれは聞いておかなきゃ・・・。
「それで・・・今回どうしてここまで追いつめられるまで、グリナダス王国に支援の要請に来なかったのです?」
「そっそれは・・・、エルランダ教国は宗教で成り立っております・・・そして今回の食糧危機は・・・神よりの試練だと上位の大司祭以上の者の中に支援を受けるべきではないと言う勢力がおりまして・・・食糧がまわらなくなったとたん、ようやくその勢力もだまり。このように恥をさらしお願いに参った次第でございます・・・」
「それは・・・心中お察しします・・・」うわ~最悪だよ~神を信じるのは悪くないけど・・・何かあったら神の試練だ我慢しろなんて言われたらたまったもんじゃないわ・・・教国の上の連中の中には頭がとても固い厄介なのがいるみたいね~。となると時間は無いわね・・・いえもう今日にもバタバタと餓死する教国民が出るんじゃないかしら・・・。解決策が出ないまま、間に合わないでも荷馬車の手配と支援食糧の手配を指示していく。
「私は、この食料を準備出来次第に出発いたします。グリナダス王国民の皆様とアスハブ陛下の暖かなお心、決してエルランダ教国民は忘れません・・・そしてこれからも良き隣人として共に手を取り合いましょう」
わたしは、エルランダ教国のやせ細った男に手を熱く握られる・・・「細い・・・あっごめんなさい・・・あなたは精一杯頑張ったのですね・・・」私の言葉に照れるやせ細った使者は名前はタンテスと言った。
「面を上げよ・・・ふむ、どうやら一つ冒険を終えてきたようじゃな。わしの耳にもお前たちセラフィムの成し遂げた偉業は昨夜遅くだが報告を受けたぞ。カトリナも満足いく冒険が出来たようじゃの」
カトリナ様の紅潮した顔を見たアスハブ陛下はうんうんと俺のパーティーに入れたことに満足していた。
「アスハブ陛下、よろしいでしょうか?今回の謁見は冒険で得た真のボスドロップの献上をしようと思い来ました」
「ふむ、アルスロットやお前はホントに・・・いいのかのう?真のボスドロップは値段をつけるのが難しいほどの高値が付く貴重な宝じゃが・・・。ふむ、なにか・・・」
「はいっ、僕たちはFランクダンジョンを攻略するにあたり一人の冒険者システムを悪用する男と会いました。そしてその男は僕たちがボス攻略を成し遂げたことで王都で凶行に至りました・・・。そして、その男の凶行で家を失い着の身着のまま路上に放り出された人たちがいます」
「なるほどのう。アルスロット本当に良いのか?べつにお前が何かしなくともワシはちゃんとこの者たちに家を与え、日々の生活に不便を掛けないように動くつもりじゃが?」
「はい、もちろん存じています。ですが今回の元には冒険者が関わっています・・・生意気をいいます・・・僕は、素晴らしい仲間に恵まれとんでもない宝を手に入れました。ギルドの受付嬢に鑑定してもらったところとても鑑定できないほどのお宝と聞いて、すぐにこれを献上してアスハブ陛下のお力で明日にでも焼け出された人たちに家をと・・・」
「フハハハっ、いやっすまんのうアルスロット・・・ワシは嬉しくてたまらない・・・お前にカトリナとカトラを託したのは間違いではなかったようじゃな。そうと決まったら、セラフィム達が冒険の末、勝ち取った宝を見せてもらおうかのう」
俺は事前に取り出し、お父さまの剣を受けてぴんぴんしていたマッチョな男ガンダーさんに巨大魔石を渡していた。
「失礼いたします。アルスロット殿がFランクダンジョンにて討伐されたゼレインよりドロップした宝の巨大な魔石でございます」
ガンダーさんは、軽々と100cmはある巨大なゼレインの魔石を手前に持ちアスハブ陛下の前に運ぶ・・・。
「ガンダーご苦労じゃ、すまぬなこれほどの大きな魔石お主のような屈強な男でないと運べぬからのう」
「はっ!!!」ガンダーさんは運び終わると横に待機する。
「ふむ、すばらしいのう・・・お主の父も、高ランクのダンジョンを攻略しておるが・・・。親と子で成し遂げるとはのう・・・」
「いえ・・・僕だけではありません仲間全員です」
「ふむ、仲間全員で勝ち取ったものだったのう。わしからはもう気が付いておると思うが・・・セラフィムとアルスロットたちにパーティー名を贈ろう、この先も名に恥じぬ活躍を期待しておるからの」
「はいっ、セラフィムのパーティー名に恥じぬよう精進しますっ!」
「うんうん、カルマータ、ルーチェ、カトラ、カトリナもアルスロットとこれからも良き冒険を活躍を期待しておるからの」
「「「「はっ!!」んっ!!」はいっ!!」もちろんですわっ!!」
アルスロット達がアスハブ陛下に謁見をしているころ、冒険者ギルドでは・・・。
「どうしましょう・・・アルさんたちのパーティー名が・・・いまだに決まりません」
「ははっ、まいったねえ・・・。君らいいパーティー名は浮かばないのかい?」
「ギルドマスターそんなこと言ったって・・・だいたい私達もパーティー名が無いんですけど?」
「ティタ君たち12人のパーティー名か。ん~~戦乙女たち・・・バルキリエでいいかな~うん、いいねー我ながらカッコイイ名前が思いついちゃったよっ」
「あっギルドマスター・・・そんなことしたらパーティー名を付けてくれって大変なことになりますよ・・・あーあしりませんよ~」アシェルはこの後、ティタたちFランクパーティーにイオスギルドマスターが名を付けてくれたとうわさが広まった後、押し寄せる冒険者たちを想像して震えていた。
「やったっ!!!私達のパーティー名はバルキリエっ!!!すごいかっこいいっ!!!きゃあああああやったあああああっ」Fランクパーティーではなかなか名前を付けてもらえない名無しパーティーが当たり前な現状に、イオスギルドマスターから名前を貰えたことにティタはあまりの嬉しさに気勢を上げる。
いま、ギルドマスターの執務室にはアルスロット達のパーティー名を付ける為に色々と関わりのあった者に高ランクのパーティーリーダーが集められていた。
「ふんっ、名前は一度ついたら無くすことは出来ねえからな・・・だがお前たちはまだひよっ子なのを忘れるなよ・・・」
「ふーんだ、ガイルさんのいじわる~チッタに言いつけてやろうかな~ガイルさんがいじめた~って」
「なっ、それは・・・ちっ分かったよ。俺もティタ達のパーティー名に戦乙女たちバルキリエと名を刻むよ。まったくこれでイイだろっ!!勘弁してくれ・・・」
「ふふっふふふふっバルキリエっ!!!」
「はいはい~、もう今日はアルさんたちパーティー名を考える為に皆さん集まったんですからねっ!!」
「じゃあ、私達のパーティー名が決まったし・・・一つ名前を出しますね・・・ブランブルなんてどうでしょうか?アル君以外は女性だし実質はカルマータさんがでしょ?もうピッタリなパーティー名だと思うんだけどな~」
「あっいいですねえ~ブランブルかあ~」
「あん?そうか?ちょっと地味じゃねえか?」
「ちょっとガイルさん私の考えた名にケチ付けるんですか?じゃあガイルさんもイイ名とやらを教えてくださいねっ!!」
「あっああ・・・そうだな、ブレイブフォースとかいいじゃねえか?今回の事も含めてあいつらにはピッタリな名だと思うが」
「うぐっ・・・思ったよりもまともな名を出してきましたね・・・」
「おい・・・俺をなんだとおもってやがる・・・これでもBランクパーティー・ガンブルグのリーダーなんだが・・・」
「ははっごめんなさい。チッタののろけを聞いてるとね~」
「ぶっ、おいそれをここで出すなっ!!!」
そんな、イオスギルドマスターの執務室ではアルたちのパーティー名の緊急会議が開かれていたが最後まで決まりの名は出てこなかった。




