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第三十六話 Fランクの解放ー逃げる者ー

俺は登り切ったタイミングを狙いゴブリンに切り付けると面白いように堀の中に落ちていく。


「あ~でも、浅いか・・・」落ちたゴブリンはすぐに起き上がると登るを繰り返す・・・。


「アル様、わたくしも手伝いますわっ。<エアブロウ>っ」普通のロッドで空気の塊をぶつけるエアブロウでゴブリンを堀の下へ叩きつける。


油なんかあると滑って上がれなくなったりしそうだ。今度は油を用意してみようかなと思いながらミスリルショートソードで切り付けていく。




「ふうっ、37匹かこんなに数が増えたらFランク冒険者では対処は無理ですね・・・」


「ほんとですわっ何を考えてこんな事をするんですの?」


俺は転んで身動きが取れなかった冒険者を助け起こすと何人かは通路の曲がり角から男の所へと戻ってきていた。


「大丈夫か?すまない・・・逃げるだけで精いっぱいだったんだ・・・」


「全く、仲間がモンスターに襲われそうになったのに。荷物なんか捨てなっ・・・仲間がピンチになっても捨てられないようじゃダメだね」「んっんっ」ルーチェさんもウンウン首を振る。


「しょうがないだろっ!!Cランクのダルガンが命令して大量のドロップ品を持たされ俺たちは地上まで逃げるように荷物運びだっ!!!Fランクの俺達にはどうにもできないんだよっ!!ここはCランク冒険者が支配するダンジョンなんだよっ!!!」


「はあっ、まったく。ダンジョンに行きたいというお前たちを利用するダルガンは許せないけど、口車に乗るあんたたちもいい加減にしなっ!!私らがすぐにこのFランクダンジョンは攻略しCランク冒険者の足かせから解放するつもりだよっ!!今日はこのままダンジョンから出て攻略するのを待ってなっ!!いいねっ!!!!」


「はっ?!はい・・・すいませんでした。助けてくれてありがとうございました」

転んだ冒険者達はカルマータさんの攻略宣言にすっかり勢いを殺され丁寧に頭を下げるとトボトボと地上へと向かっていった。


「さっ、行くよ・・・こんなダンジョンはとっとと開放するんだよ・・・」




ここからは、階段を見つけるのが簡単になった・・・何故かと言うと大量の荷物を持たされたFランク冒険者達に何度も出会い、そのたびにモンスターの集団から助け階段の場所を聞き出し進むを繰り返したからだ。


「7Fか・・・階段の場所を知ることが出来たから大分早く進むことが出来ましたね」

時間もニュースサイトで見ると12時45分と、お昼にはここまで進むことが出来ていた。


「アル君の能力のおかげもあるわっ。いくら階段の場所がある程度分かっても全く迷わずに進めちゃうんですものっ」


「でも、さすがにお腹がすきましたわっ。携帯食でもいいですけど・・・」


「んっ」ルーチェさんはいきなりジェスチャーを始める・・・、なになに?


ぐぐ~としゃがんで・・・背伸びして・・・横に移動して・・・またしゃがんで・・・ははっもうカトラお姉さまは気が付いたようだ。


「カトラお姉さま、マジックドアで俺の家に繋いでください。ライラお母さまの美味しいご飯が食べたくなりました」

俺の声にルーチェさんはやったーとピョンピョン飛び上がって喜びを表す。


「そうだね、悪いけど頼むよ。ライラさんのご飯を食べて英気を養いたいね」


「いえっ、私もおいしいご飯が食べたいです。それにマジックドアは開いてる間だけ魔力消費が激しいだけなので遠慮しないで下さいねっ」


ドアを開けたらすぐに移動すれば、問題ないとカトラお姉さまに俺の部屋へとつないでもらい一時帰還する。


「あっ、やばいっ。みんな直ぐに体をきれいにする基礎魔法を使ってっ土と埃だらけだとライラお母さまに怒られちゃいますっ」


「あっそうだったね・・・これはこちらが気を使わないといけないことだ。さっ皆体をキレイにして」


皆それぞれ基礎魔法で体を奇麗にしていると・・・。




「アルちゃん?あらっ皆も?もう冒険は終わったの?」


「お母さま、お昼ご飯と休憩の為に一時帰還しました」


「そうだったのねっ!!じゃあママがとってーもおいしいお昼ご飯を作ってあげるわっ。疲れてるでしょう?狭い家だから台所しか皆が座れるところは無いのさっさっこっちに来て」


お母さまは先頭に立ち狭い家を台所へと案内してい行く、ははスープの良いにおいがする。みんなもいい匂いにお腹がグルグル鳴っていた。





「今日のお昼は、アルちゃんから教えてもらった酵母だったかしらで練り上げたフカフカパンに、コケッコ鶏の野菜たっぷりスープにコケッコ鶏のモモ肉のソテーよっ。ソースは、またまたアルちゃんに教えてもらったタママを細かく刻んでレーモンを少し多めに入れたサッパリシャキシャキとしたとっても美味しいマヨネーズソースよっさっ皆召し上がれ~」


「アルが考えたソースか・・・ふわあっわシャキシャキとしたタママとレーモンの酸っぱさにマヨネーズのまろやかさがコケッコ鶏に合うなっ美味いよっ。それにパリッとした皮も実にうまい・・・」


「皆さまっ!!パンがパンがふわっふわっですわっこんな柔らかいパンは食べたことありませんわっ」


「うわっアル君すごい柔らかいよっ!」


「んっんっんっ~」ルーチェさんはバクバク口の中に詰め込んで夢中で食べていた・・・。


「ふふっ、美味しいでしょ~?アルちゃんが教えてくれたのよ~酵母の作り方なんて不思議なのよ~瓶の中に基礎魔法で浄水した水にハチミツと果物を入れて蓋をして置いておくだけで出来る不思議な物なのよ~」


「ライラお母さまの料理の腕あってこそです。とっても美味しくて俺は幸せです」

俺はガチガチのパンに歯が痛くなり、ニュースサイトから情報を貰いお母さまに天然酵母を使ったフカフカパンの作り方を教えていた。


そんな、幸せで美味しい食事を終え1時間後にはダンジョンへと戻ってきていた。








「全く、ダルガンの奴どれだけのFランク冒険者をこき使ってるんだい・・・」


俺達は、食事休憩後も3組のFランク冒険者たちと出会っていた。その誰もが皆下を向き無言で歩いて大量の荷物を持っていた。


「そうですわね・・・」「こんな冒険には何の価値もないと思うわ・・・」「んっんっ」


「それで、どうするんですか?すれ違った冒険者たちに聞いた話では、ダルガンはボス階層の前にいるとの事ですが」


「そのまま行けば、ボスを攻略するという私たちと奴との戦闘になるかもしれないね・・・」







「おいっお前らっこの階層をくまなく調べるんだっ」


「ダルガンさん・・・ボスの部屋はその階段を降りた先じゃないんですか?ここまできて俺たちに何を調べさせる気なんですか・・・」


「うるせえっ、お前らは黙って俺の指示に従っていればいいんだっ!!いいか?Fランクダンジョンと言えど初攻略されるボスは強い・・・現に何度も全滅するパーティーが出て今じゃ誰も攻略する奴は居ねえっ!!!そんなに行きたきゃ止めねえぜっ?!」


「あっ・・・いえ・・・俺だけじゃ・・・皆でボスを攻略するものだと・・・」


「いいか?それを判断するのはCランクの俺だ、お前たちは指示に従って動けばいいんだ。いいな?」


ギロリとひげ面の厳ついダルガンににらまれ黙り込んでしまうFランクの冒険者たちはすごすごと言われた通りに、長い棒などで罠を解除しながら隅々まで調べて行く。



「くそっ!俺たちはこんな棒を突いて罠解除に、大量のドロップ品を運ぶだけのポーターをやりたかったわけじゃねえっ」


「ああ、そうだな・・・俺やっとFランクになれて、本当の冒険をなんて思ってたんだけどな・・・」


「そうだな、だけどダルガンたちは何を探してるんだ?罠があるのに隅々まで部屋を調べさせられて・・・」


俺達は、ダルガンに言われた通りに罠が無いか棒でつつきながら慎重に部屋やら通路を調べて行く。モンスターはゴブリンが数匹単位で出るだけだから数十人で囲って袋叩きにしていた。


「んっなんだ?壁に小さな穴が開いてる・・・それに何か周りに書かれてる、文字か?ダルガンさんに知らせた方がいいか?」


「そうだな、何かあったら知らせろって言ってたしな・・・」







「おうっなんか見つけたんだって?それでどこだ?時間がもったいねえ案内をしながら話せ」


「はい、ここから右奥の通路を進んだ先の突き当りの部屋の壁に小さな穴を見つけました。それと穴の周りに文字が書かれていました」


「文字?その辺にある模様じゃねえのか?」


「模様とは違う感じだったので・・・文字かと」


「ほーう、大体そんなもんがあったら2年間放置されるか?なにかの罠が動いて出た物だと考えるのが妥当だろうな、お前らその壁の穴は部屋に入った時からあったのか?どうだ?」


「あっ俺が罠を棒で発動させていたんですが最初壁には穴は無かったと思いますが・・・どの罠を触った時に出たのか分かりません・・・」


「いいかっ?!お前らだらだらと罠を突いてるだけだから変化が分からねえんだっ!!次からはしっかりと何をしたら変化したのか覚えておくんだっいいか?!」


「あっあの奥の突き当りの部屋です。中に入って左側の壁に小さな穴があります」




「あんっ?なんじゃこりゃあ・・・文字のように見えるな・・・穴は真っ暗だ。お前ら中には入ったのか?」


「入ってません、ダルガンさんにまずは報告しようとすぐに戻りましたので」


「はんっそれは良い判断だったなっ。ふむ文字は読めねえ誰か読める奴は居るか?」


この場にいる冒険者たちを見渡すが誰もが首を振る。


「ちっ、おい誰かこの穴に入って調べてこいっ!!おい、おまえいけっ!!!」


「わっそっそんな、こんな所に入って行って何かあったらどうするんですっ!!棒で調べれば十分でしょう」


「仕方ねえ・・・棒をかせっ!!」

ダルガンは罠係の冒険者から棒を乱暴に奪い取り穴の中を叩き始める・・・。






「アル君っ、またゴブリンが横の通路からっ!!」


「なんだいっ全くモンスタートレインかい?」


「なんか、おかしいですわ・・・私たちを無視して素通りしています・・・」


9Fにたどり着いた俺たちは先ほどからゴブリンの襲撃を連続で受けていたが、中にはそのまま逃げるゴブリンも現れ様子がおかしいことに戸惑っていた。


「明らかにおかしいです・・・どんどんゴブリンがこちらに向かってきてます。それに冒険者?も・・・」

そして俺のニュースサイトのワイルドカードで表示された地図には先ほどレベルが上がったのか表示範囲が劇的に伸びて先ほどから赤マーカーとグリーンマーカーが入り混じった集団がこちらに向かっているのが表示されていた。






「くそっ!!!!!俺の腕がああああああっ!!!!!しかもあいつらっ俺を置いて逃げやがってっ!!!ああああああああっちくしょうっ!!!!」


俺は右腕を食いちぎられたあまりの痛みと、背後から追いかけてくる穴から這い出てきた何かから逃げるしかなかった・・・。












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