第三十一話 ダンジョンにわな・・・。
「ダンジョンで一番恐ろしいのは罠なんだよ」
ドロップアイテムをすべてパーティーハウスへとマジックドアで繋ぎ放り込んだ後は、スタスタと歩きながらカルマータさんのダンジョン講座が始まっていた。
へーダンジョンの罠か・・・。そういえばカトラお姉さまと俺は罠に落っこちてひどい目に合ったんだ・・・入った時に思い出してブルったのに戦闘をしているうちにすっかり忘れていた。
「もし、はぐれても基本的には動くんじゃないよ・・・ただし命の危険があるときは別だからね・・・。私らのパーティーにはカトラがいるから必ず〇×△□魔法で見つけてくれるし、合流してくるからね」
うん、そうなんだよね~カトラお姉さまの×魔法が遠視魔法で、心の中で見たい人、居場所を知りたいと思いながら発動すると目をつぶれば頭の中にその場所の映像が、□魔法に×魔法を重ねれば誰でもその映像を見ることが出来。そのまま×魔法を発動すると×がある一定の距離を置いて思い人の所に案内してくれるとっても便利で凄い魔法だったんだよね。
「なんですの・・。その滅茶苦茶な魔法は・・・カトラ様・・・」もうカトリナ様は今日は何度目かも分からないぐらい能力を聞いて絶句していた。
「んっ!!!」ビシッと親指立てるルーチェさんはスゴイッテ表現してるのかな・・・。
俺は、罠表示もワイルドカードで立ち上げる。
罠の場所を知りたい<ニュースサイト>
「1303 罠表示∞」
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1303 罠表示∞
ダンジョンの罠を表示、ワイルドカードのレベルごとに+10mの範囲が拡大される。
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ダンジョンマップにさらに罠が表示されるが・・・毒、矢、穴、扉、モ、水、火、宝と1文字で表示されていた。マップではブロックごとにどんな罠かの表示でどこになんの罠があるのかさっぱりだが目を向けるとダンジョンの罠の部分に1文字が重なって見えそこがそうですよと示していた。
で、罠があるのが分かったんだけど・・・宝って罠なのか?
「いま、罠表示をしたんですが・・・なかに宝っていうのが表示されていて。宝ってなんですか?」
「えっアル君っ宝?財宝とかのことかな?」
「まあっ、カトラ様・・・でも罠表示をされたんですのよね、宝と言うのも変ですわね」
「んー稀にだが、ダンジョンには宝箱が出る事があるらしい・・・。まあ、私も噂程度で聞いたことがあるだけだからホントかどうかは分からんがな」
「んっんっー」
「んっ?ルーチェは見つけたことがある?へっ?細剣?ああっカトラが今所有主になってる細剣はダンジョンで見つけたのかい・・・」
へーと一斉にみんなの視線がカトラお姉さまの細剣へと向けられる・・・うん、普通では無い造形の細剣はパッと見ただけで価値の高い物だという事が分かる。正直、俺がお父さまから贈られたミスリルショートソードよりも質が高い物だと思う・・・。
「それで、その宝と表示されている場所は何処だい?」
カルマータさんに促されて俺は天井の隅に指をさす・・・。
「アル君、あんな所にあるの?とっても高くて手が届かないわ・・・」
カトラお姉さまが指摘した通りダンジョンは何もかも大きく広くそして高かった・・・まあ、あんなところに宝が本当にあっても普通じゃ絶対に見つかりはしないだろうな・・・。
「アル様っよく見ると、装飾がちょっと他の所と違いますわ・・・。何でしょう武器の意匠がされていますわ、金づちハンマー?みたいな物と・・・棒に剣でしょうか・・・?」
ほんとだ、よく見ると他の所には草木や幾何学系の訳の分からない模様で埋め尽くされているのに俺が宝と表示されていると指で示した所だけはカトリナ様の言うとおりに武器の模様?が他の模様に交じって描かれていた。
「しかし、あの高さ・・・まいったね、とてもじゃないけど届かないよ・・・」
10数メートルは軽くある天井に俺たちは遠くから見上げるだけで何もできないと思っていたが・・・。
「□っ〇っ×っ、わっ!!!みんな見てっ!!!」
はは・・・カトラお姉さまが小さなマジックドアを作り開けた先は天井の宝の場所だった・・・。
「んっ」ルーチェさんが親指を突き出してイイねしながら早速に模様をいじくりまわし・・・。
「わっ!!!ばっあdもいfじゃsじか」
次の瞬間には天井が崩れ落ち・・・ドーーーーンとレリーフと埃と色々落下してきていた。
「ケッホっげほっ皆大丈夫かい?ルーチェっ!!!あんたは何やってくれるんだいっ!!!!!」
「えっええ、わたくしは大丈夫ですわ・・・」
「カルマータさん私も大丈夫ですっ」
「んっ」
「みんなだいじょうぶ?・・これも罠だったんですね」
俺の目の前は天井がレリーフと共に崩れ落ち、宝を直接取ろうとしていたら取りに無理に上がった者ともども大量の落下物で押しつぶされる宝だけど罠だった・・・。
「はあ・・・ルーチェ頼むよ・・・次からは触る前に皆に必ず言うんだよ・・・カトラのマジックドアで遠距離からだったから・・・怪我がなくてよかった・・・」
カルマータさんはホントにほっとした顔で、皆を見回して安堵していた。
「アル君っ!!!宝物っ!!!凄い奇麗な箱があるっ」
天井が落下した場所にはレリーフの残骸の中に・・・宝箱だと思われる比較的大きな箱が落ちてきていた。
「こいつは、すごい・・・箱だけでかなり価値がありそうだね・・・」
箱には色とりどりの宝石が散りばめられ、それだけでとてつもないギルダになるだろうと予想が出来た。
「素晴らしい宝石ですわ・・・粒が大きくて色が濃い、それに見たこともない宝石?もついていますわ・・・」
カトリナ様でも驚くような宝石がどうやら色々とくっ付いているようだった。
「んっんっ」「なんだい?開けていいか?いいけど気を付けるんだよ?あっ待ったっ!!!アルっこの宝箱はどうだい?罠の表示はあるかい?」
あっそうか、罠がこれだけじゃないかもしれないしかも宝箱だ・・・開けたら何か仕掛けがなんてことがあるかもしれない。ん~じっと俺は宝箱を見るが特に何も表示はされなかった・・・。
「あっなんか何も表示されません、たぶん大丈夫そうですが・・・一応気を付けてください」
「んっ!!!」俺が大丈夫そうと言った時には・・・ルーチェさんが思いっきり宝箱を開けていた。
「きゃっっ!!!もうっルーチェさんっ!!!」
ははっカトラお姉さまはびっくりして飛び上がっていた。だけど、開けた先には・・・武器が3本入っているのみだった・・・。
「武器ですわね・・・、レリーフの中にあった意匠通りの物という事かしら・・・」
「武器かあ、でも私の細剣にそっくり・・・もしかして同じ人が作った武器かな?」
「そうだねえ、確かに・・・グレートソードに魔法ロッドとなんだいこりゃ?ハンマー?えらくでかいね・・・」
「んっ!!!んーんーー」ルーチェさんはそのハンマーを見たとたん飛び上がってピョンピョンしていて私にとジェスチャーしていた。
「なんいだい全くっ、そんなに急がなくてもルーチェあんたが使うのかい?」
ルーチェさんは自分の背ほどの巨大なハンマーを貰いなんともなく持ってブンブン振り回し始めた・・・。
「まったく子供みたいに・・・」カルマータさんは完全に呆れていた。
「あとは、グレートソードはカルマータさんですね・・・すごい・・・」なんとも言えない幾何学模様が刀身からびっしりと書き込まれただモノじゃない感を醸し出していた。
「あっその、魔法のロッドは宜しければ、わたくしが使いたいです・・・」
カトリナ様は同じように幾何学模様がびっしりと入った魔法のロッドを遠慮気味に欲しがっていた。
「アル君っ、カトリナが使ってもいいよねっ!?」
「うんもちろん、グレートソードはカルマータさんだし、魔法のロッドはカトリナ様が使うのがいいと思うよ」
ルーチェさんが振り回しまくっている巨大なハンマーも良くは見ていないが同じように幾何学模様で埋め尽くされているようだった。
「わああああっこんな凄い美しいロッドは見たことありませんわ・・・先端に付いている魔石も大きいし見たことないですわっきっとすごいモンスターの魔石なんですわっ!!!」
カトリナ様は魔法のロッドの美しさに完全に見惚れていた。そしてカルマータさんも・・・。
「うん、これは見事だね。このグレートソード私の背丈よりだいぶ大きい・・・200cmはありそうだね、しかもこれ・・・浮いてるのかい??・・・・・・・・持ってみても重さは感じないね・・・魔力を流すと、うっ!!!こりゃあすごい・・・軽く流しただけでとんでもなく重いよっ!!」
そして、ドーンドギャン、ドカッドガガと物凄い炸裂音をさせ始めたルーチェさんを見たら・・・ハンマーの形が色々と変わっていた・・・。
「魔力で大きな力を発揮する感じなんですね・・・カトリナ様も魔法を使う時は気を付けないと・・・」
そんな事を言い終わったと同時に・・・。
「きゃああああああああああああああああああっ!!!!」
カトリナさんの魔法のロッドからは光があふれ俺たちの前に落ちていた瓦礫に直径10cmほどの穴が開き中から灼熱の液体がポコポコと可愛らしい音を立てながら噴き出し強烈な熱を出していた・・・。
「わっちちちちっ、カトリナっ!!!なにしてるんだいっ!!!」
「あわわっ、ちょっと魔力を流して反応があったものですから・・・閃光を使ってみたんですわっ、そしたら・・・・・・」
「カトリナすごいわっ!!!やったわねっ!!!」
カトラお姉さまは自分の事の様にカトリナ様の魔法のロッドがやらかしたことに喜んでいた。