第三話 しょんべん小僧よ・・・お前の意志は継いだぞ
お母さまの危機を救った俺は一日中<ニュースサイト>表示を繰り返しMPの消費鍛錬をした。ふぁ~あふ・・・ちょっと頭が重い気がするが(アルスロットは夜に気絶するまで<ニュースサイト>を使用)・・・チュンチュンとスズメ?の鳴き声と気持ちの良い朝を迎えていた。
ふ~ん、スズメがいるんだね食べると美味しいのかなっ鶏もいるといいなっ。
<ニュースサイト>何故か何度目かの表示で<ステータス>表示からの<ニュースサイト>表示は必要なくなり、直接開くことが出来ていた。
鍛錬によってはもっと簡単に表示や、もしかしたら拡張機能的なものがあるかもしれないと思いながら今日の最新ニュースを見ていく。
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異世界ニュース
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630 今日のアルスロット
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おっ早速俺の記事が出てるわっ!
俺は視線を記事に合わせ開く・・・。
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630 今日のアルスロット
今日の朝6時30分 グリナダス王国5-6番地カイラス家 長男の
アルスロット・カイラスは 少し頭が重いものの快適な朝を迎えた模様。
チュンチュンと泣くチュンスズメに起こされ興味を持ったようだ・・・。
ちなみに肉は筋張っており味付けを濃く付けないと美味しくない。
この世界には鶏がいるが、脅威度Gランクのモンスターに指定されている。
オムツのアルスロットではつつかれて餌にされて終わりだ。
肉は上質で初心者冒険者の稼ぎの一つになっている。
そんなアルスロット・カイラスはスクスクと驚異的な成長を見せており
昨日の時点でのMPから今朝までに約4倍の数値を伸ばしており
このまま成長すれば未来は大魔法使いへの道は確実と思われる。
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お~すげえ俺の事が記事になってるよっ!
しかも、直前にスズメ?と美味しいのか疑問に思ったことに回答してくれている・・・。これはすごいかもしれないぞ・・・。
たとえば、あのモンスターの弱点は?と疑問に思えば記事に出てくるってことだ・・・。しかも1分後の変化もかかれるし、緊急性が高ければそれが記事の題名にもなる。
昨日の、お母さまが怪我をすることを教えてくれた記事には本当に助かった。
ほかにもいろいろ可能性がありそうだと、今日も訓練をやっていく。
<ニュースサイト>F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!F5っ!アタックっ!!!
はっ、なにをやってるんだ・・・なんか俺に負荷がかかりすぎ最後はトリップしていた・・・。
だが、このF5アタックのおかげでまた少しわかったことがある。それは・・・お母さまは?とどこにいるんだろうと思ってからF5で再読み込みをすると・・・。
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異世界ニュース
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658 アルスロットの大事なお母さまの今は
644 アルスロットが悪い子ちゃんに、F5アタックを掛ける
630 今日のアルスロット
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こんな感じで記事が作られ表示される。2番目の記事は見なかったことにしてくれ・・・。
俺のお母さまはっと、一番上のお母さまの記事を思考操作で開くと・・・
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658 アルスロットの大事なお母さまの今は
今日の朝6時59分 グリナダス王国5-6番地カイラス家 嫁の
ライラ・カイラス 17歳は最愛の夫 ラング・カイラスを仕事に送り出し
アルスロット・カイラスの寝室へパタパタと可愛らしく向かっている模様。
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という風に、知ることが出来た。
お母さまが来るため俺は普通にコロコロとベビーベットの上で寝返りを打ち鍛錬を始める、すると1分後にはパタパタと音が響いてきてお母さまがこちらへとやってくるのが分かった。
「は~いアルちゃ~んもうおっきしてるかな~、あっああああああああ!!!!アルちゃんっアルちゃんっすごいすごいすごいっ!!!寝返りしてるっわっわっラングは・・・あ~かわいそっふふっでもアルちゃんの1番は私よねっアルちゃん」
ん~かわいっかわいっと繰り返し言われながら抱っこされギュギュと抱きしめられる俺・・・寝返りの鍛錬はどうやらお母さまを大興奮させ、お父さまのラングが楽しみだった一つを自分が最初に見れたと大喜びしたようだった。
ん~、最新の記事だけ見たい・・・<ニュースサイト>と思考すると・・・。やったっ!最新記事が開かれた状態で表示された。
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712 やったねっアルスロット!!!初めての寝返りにライラ・カイラス大興奮っ!!!
今日の朝7時12分ごろ グリナダス王国5-6番地カイラス家 嫁のライラ・カイラスは息子の様子を見に寝室に行ったところ。
息子のコロコロっと可愛らしい寝返り姿を発見、「初めての寝返りは俺に見せてくれよっ!」と深夜に帰ってきて一方的に寝ているアルスロットにお願いしていたカイラス家の当主ラング・カイラスを出し抜き初めての寝返りを獲得したことにより大興奮する。
しかし抱き上げられギュギュと抱きしめられたアルスロットはふわふわ~とそのまま夢の世界へと旅立った模様。
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あ~俺はどうやらこのま・・・ま・・・・・・。
ライラ・カイラスの朝
「ふふっ行ってらっしゃいっ。あなたちゅっ」
私はいつもの朝の見送りをし最愛の息子、アルスロットの寝室へと急いでいく。パタパタと音が響き渡る廊下はいつも掃除をしてぴっかぴっかよっ。
ふふっアルちゃ~んと思わず口に出しながら寝室へと向かってしまう私、首が座り離乳食が始まりどんどんどんどん可愛くそして元気に活発になるアルスロットに毎日が楽しみで仕方がなかった。
今日はどんなアルちゃんの成長が見れるんだろうと少し小走りになっていた私は今日最高の幸せとアルスロットの成長を実感して大喜びしたのだった。
ふんっふふんっふんっふふんっふふふんっ今日の私は絶好調っ!!!アルちゃんの汚れたオムツを洗って~干して~たたんで~また洗うの~~~よお~~~~。
あっいけないっ、離乳食も作らなきゃっあと、アルちゃんもお風呂に入れてあげて・・・お湯お湯~あったかいお湯~ふふっ。
私は台所の外の井戸の横にアルちゃん用の小さな小さなお風呂を用意した。
さっアルちゃんを起こしてお風呂、その後は離乳食に日向ぼっこっ!さ~いそがしいわよっ!!!
私はアルちゃんを可哀そうだけど・・・おっきしてね~と揺り動かしながらゆっくりと起こしていく・・・と、パチっと可愛いお目目が開いてっぱあっと可愛らしい笑い顔を向けてくれる。
ああっ私はなんて幸せなんでしょうっ、かわいいかわいいアルちゃんっ今からお風呂に入りましゅよ~とオムツを脱がしてさっき用意したお風呂に入れ、きゃっきゃっとアルが笑った~!!!と思った次の瞬間にはアルはアルは・・・。
はっ!!!俺はいつの間にお母さまに抱っこされてるんだ・・・。これから何を?と思っているとどうやらお風呂とその後にまんまよ~と台所の方へと連れていかれ、そして外に出ると・・・。
「あ~きゃきゃぶふーあううあうあうあう~ぶぶ~あうぶ~あうあた~ああたあた~あふあふ 」
おっあの小さな桶が俺のお風呂かっ!!!「きゃっきゃっ」お母さま湯加減はバッチリですっ!
そんな時だ俺にこの日最大の試練を<ニュースサイト>の新しい機能が教えてくれたのは・・・。
『944 緊急速報!!!カイラス家から出火!!!』
突然に緊急速報が俺の目の前に表示され俺は硬直する、なななななっなんだってええええええっ。はっあああすっすぐに記事を目を緊急速報の記事に合わせ思考操作で開く。
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944 緊急速報!!!カイラス家から出火!!!
今日の9時46分ごろ グリナダス王国5-6番地カイラス家 台所より出火。
ライラ・カイラスは料理途中に息子のアルスロット・カイラスのお風呂に入れるために台所から離れてしまったようだ。
その後、近くに置いてあった手ぬぐいから出火し現在は火の勢いが強く危険なためライラ・カイラスは息子を抱え避難中の模様。
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ふう、命は助かるのかな・・・。んっでもこれは・・・避難中・・・火は勢いが強く・・・危険・・・はっ!!!これはお隣さんにも燃え移るかもしれないほどの大火になる可能性もあるってことだっ!!!
まっまずい・・・記事通りに逃げるのは握手だっ、ち違う・・・悪手だ・・・お落ち着け俺・・・俺の家と大好きなお母さまと、俺が人格を持ってから会ったことが無いお父さまのためにも何としてでも消火して火を消さなければ・・・。
俺は固まった体を動かしお母さまの方を見る・・・あっやべ急に黙りこくって固まった俺に完全にびっくりしているわ・・・。
いや、それよりも消火だまだ今なら間に合うはずだっ!!!
俺は精一杯の言葉でお母さまに料理中だったこと手ぬぐいに火が移ったことを伝える。
「しっ・・・しっ・・・しっ・・・」俺は必死にお母さまに台所の手ぬぐいから火が出ていることを伝える。
「えっえっアルちゃん・・・どうしちゃったの?ひっひきつけかしら・・・どっどうしましょう。アルちゃん分からないわっうっうっうううう」
あっやばっお母さまが泣き出しちゃった・・・俺の当然の変化にびっくりしてパニックになりかけてる・・・。
今度は言葉にイメージを乗せる感じでそして、さっき鍛錬した俺のコロコロ寝返りで台所の方にっ!!!
俺はもう一度、今度は声は普通に、そしてコロコロ~と寝返りで台所の方にローリング寝返りで向かうっ!。
「ひ ・ ・ ・ ひ ・ ・ ・ ひひ ー ー ー ー」
「きゃっっああっアルスロット大丈夫っ?!!!ごっごめんねお母さんがしっかり支えなかったから・・・えっ?ひ・・・台所・・・火・・・台所・・・炎・・・台所っ!!!あっっ!!!きゃああああああ火が出てるのねっ!!!!」
ふっふう・・・伝わった俺は小さな風呂桶から転がり体はすっかり泥だらけになっていた。そんな泥だらけの俺をお母さまが抱っこし台所へと飛び込んでいくと・・・。
あ~火が移って燃えてましたよ手ぬぐいが・・・お母さまは必死になって燃える手ぬぐいを叩き落として火を消そうとするが中々に消えない・・・。
「ああっ消えない消えないっアルちゃんっ消えないわっどうしましょうっ!!!ああ、こんな時に・・・」
必死に足で消そうとするお母さま・・・俺を抱きかかえながら必死に消火しようとしてるが一向に消える気配が無い・・・な。
お母さまを助けなきゃ・・・俺は恥を捨てたっそれに今はマッパッだ丁度いいじゃないかっうははははははははははっ。
俺は抱きかかえられたまま、お母さまに伝える想いよとどけっ!!!
「しーーーー ぷーーーーしーーーぷぅーーーっ」
カクカク・・・ぱおーんと俺の腰の動きに連動しプランプランと伝われっこの想いっっ!!!
「あっあっあっっ!!!アルちゃんわかったわっ!!!」
そう叫ぶとお母さまは俺を燃えている手ぬぐいの方へと向け、ちーーーーーーでるかな~~~っと。無事に消火活動を終えるのであった・・・。
火が消えた後には・・・泥んこだらけになった俺の笑い声と、お母さまのくしゃくしゃになった笑顔と笑い声がいつまでもいつまでもカイラス家に響き渡っていた。