第二十四話 チャトラアーマーが生まれた日
「アルスロットにカトラよ良き仲間が出来たようだな・・・さて・・・」
アスハブ陛下は俺達に声をかけた後にチラッとチャトラさんを見る・・・と、俺たちに向けた優し気な目は消え真剣な表情で促す。
「アスハブ陛下との謁見のお許しを頂け恐悦至極でございます・・・本日は、献上品をお納めいただきたく・・・まずは、このマジックレイヤーシールドをお納めください・・・」
「ふむ・・・お主の事だから服だと思ったのだがこれは・・・盾とは・・・少し残念じゃの・・・分かっておると思うが献上品と言ってもすべてを受け取るわけではない・・・ワシが認めた物ではないといけないことは分かっておるな?」
「はい、もちろんでございます。今回この献上いたします盾は私の技術と、アルスロット・カイラスとの共同技術の結晶でございます・・・是非とも献上しアスハブ陛下には見ていただきたい、その一心で今日はやってまいりました」
「わっはははっそうかっ!!アルスロットとの・・・なるほどそれで今日そなたたちも一緒に居るのだな?なるほどなるほど、面白くなってきたわっ!!!それで、この盾はどのようなものだ?チャトラよお主の事だ、しかもアルスロットも絡んでるとなると・・・ただの盾ではあるまい・・・うむ、ワシはワクワクが止まらなくなってきたぞっ!!」
チャトラお姉さんはアスハブ陛下の様子に背中でガッツポーズをしながらも表では冷静を保ちながら、王の剣にこの盾を打ち試していただく提案をしていた。
「ふむっなるほどの・・・ワシの護衛の王の剣の二人なら最高の剣士じゃ試すにはふむ・・・いや・・・アルスロットが居る事だ、ここは剣聖ラングに試してもらおうかの・・・うん、それがいいアルスロットやお前も父の剣聖としての姿も見たいじゃろう?」
俺は、アスハブ陛下からの提案に元気よく「はいっ!!!」と返事をしていた。
軍の訓練場に向かうと剣の指導をするお父さまが見え、アスハブ陛下と一緒に近づいてゆくと・・・ラッパが鳴り一斉に軍人たちがアスハブ陛下の前に集合し首を垂れる。
そして、お父さまがアスハブ陛下の前に来ると「アル・・・その姿・・・」どうやらお父様は俺が装着しているマジックレイヤーアーマーを一瞬見ただけで、チャトラお姉さんが完成させた防具を陛下に献上しに来たのだと分かったようだった。
「皆の者、日々の鍛錬ご苦労。今、ワシがここに来たのは新しい防具の性能を見るためである。訓練を中止させた以上の物と信じて今から剣聖に性能限界を測ってもらうつもりじゃ・・・これは、日々モンスターの脅威から市民を守る軍強化につながるものとして皆の目からも今から見る新しい防具を測ってほしい」
アスハブ陛下はチャトラさんの防具(テストするのは盾だが)に厳しい目で見てくれと発破をかけると、お父さまの方を見る。
「剣聖ラングよ、お主の力でこの防具(盾の)性能を限界まで測れ・・・遠慮はいらんが性能を測るのを忘れずにの」
王の剣士より、チャトラさんのマジックレイヤーシールドがお父さまに渡されると。
「はっ、お任せください。ガンダーっ!!!この盾を持ち俺の攻撃に耐えよっ!!!」
「おうっ」
お父さまの呼びかけに出てきたのは、見上げるほどでかい筋肉モリモリのマッチョマンだった・・・。
チャトラお姉さんは、お父さまとガンダーというマッチョマンに盾の使い方を伝えるとすぐに戻ってきた。そして王の剣士の2人がアスハブ王の前に出て盾を構えると・・・周りに見学をしている軍人たちも大楯を構え壁を作り始める、俺たちはアスハブ陛下を先頭に横に並び一段高い所から見学していた。
シンと静まり返る見学席から50mほど離れた軍の訓練場の中心では、訓練用の刃を丸めた剣を持ったお父さまとマジックレイヤーシールドを装備して前面に構えたガンダーが向かい合っていた。
「ガンダーまずはいつもの壁訓練だ、少し盾が小さいがしくじるなよ・・・」
「おうよっ、ラングいつでもいいぜっ!!!」
50mほど離れたここまでお父さまたちの声はしっかりと聞こえてくる、まずはいつもの訓練形式で盾を使って性能を測ってみる様だ。
「シッ」
カカカカカカッカカカカカカカァアンと一瞬でとんでもない数の押し込まない突きと斬撃が打ちこまれる音がする。
「おっ、普通になんともないな・・・衝撃もほとんどなかったぞ・・・マジかよ・・・」
どうやら、魔力を使わず素の状態でお父さまの無数の斬撃を受け止めたようだ・・・。チャトラさんを見るとホッとしたような顔をしていた・・・。
「次は、訓練レベルの魔力を剣に流すぞ・・・通常の盾なら十数合で耐えられなくなり壊れる・・・気を付けろよ」
「おうっ、こいっ!!!」
今度はお父さまの剣に魔力を通してさっきの様に打ち込むみたいだ・・・。
「<ラインスラッシュ>」
ズガガガガガガガガガガガガガガアンと青白いお父さまの訓練剣が細かく切り返しを繰り返しながらライン状に繋がり魔力の剣線が盾を打ちすえるが・・・。
「ははっこりゃすげえっ!!!さすがに少し衝撃はあるがなんともねえぞっ!!!」
ガンダーはこちらに見えるように頭上に掲げて見せるが、まあ50mも離れているし見えないよね・・・それに気づいた王の剣士の片方が走って盾を受け取りアスハブ陛下の前に持ってくる・・・。
「ふむ・・・多少傷というか剣線が走ってるが・・・通常の盾では今ので使い物にならなくなる破損を受ける・・・なんという強靭さだ・・・」
アスハブ陛下は目の前まで持ってきた剣聖ラングに打ちすえられたマジックレイヤーシールド見て驚愕していた・・・。
「陛下、私にも想定した以上の性能でございます。さすがに剣聖ラングの剣をここまで耐えるとは思いもしませんでした」
「ふむ、そうじゃろうな・・・刃が付いていない訓練用の剣だが魔力を通して打ち据えてここまでなんともないとは、驚愕に値する・・・これは防具の歴史がひっくり返ると言ってよいぞっ」
アスハブ陛下が見た後は軍の見学していた人たちにも順に見せるが。チャトラお姉さんの盾の状態に「うそだろ・・・」「剣聖の斬撃を」「剣線が走った跡が付いてるだけだよ・・・」「いやっこれって魔力痕で傷にもなってないよ」とみな驚愕の声を出していた・・・。
こうして、納得がいく声が皆から出るが・・・。
「アスハブ陛下・・・最後にアルスロットにこの盾を持たせ魔力を流し真の姿を皆様にお見せしたいのですが・・・」
「なんだと?それはどういう事だ・・・アルスロットに剣聖ラングの父の剣を打ち付けよと申すのか?」さすがにチャトラさんの提案に目が鋭くなるアスハブ陛下に、俺は・・・。
「本当に良いのかの?アルスロットよ・・・お前はまだ子供じゃ大人の事情に付き合うことは無いのじゃぞ?ワシも許すっどうじゃ?」
なんか自分のお爺ちゃんみたいに優しいアスハブ陛下はチャトラの大人の事情に付き合うなと言ってくださった。が、魔力を通して簡単に剣をへし折ったこの防具の凄さをどうしても、チャトラお姉さんと同じようにアスハブ陛下と皆に見せたくなった俺は・・・剣聖ラングの本気の剣を受けると宣言してしまっていた。
「そうか・・・これ以上はアルスロットを侮辱することとなろうな・・・剣聖ラングの剣を受けてみよ」
その宣言に、ウオオオオオッと割れるような歓声が上がる。
そして、カトラお姉さま、カルマータさん、ルーチェさんからも気を付けてと気遣いを貰いながら訓練場の中心へと歩いていく。
「アル・・・」
「お父さま」
俺は盾を持ちガンダーさんと場所を入れ替わるとお父さまの目を見る・・・厳しい目だ、いつも家で見せるお父さまの優しい目ではなかった・・・。
ふうっ、俺はお父さまの目を見て震えていた・・・武者震いじゃなくて・・・恐怖の方ね・・・。俺のお父さま、剣聖ラングの剣をこの新しい防具で受けたいと宣言したのは間違いだったと言いたくなるような恐怖が沸き上がっていた・・・。
ははっお父さま・・・剣聖ラングの本気が、こんな恐怖だとは思わなかった・・・。震えながら皆の方を見るとパクパクと口が動いてるのが見えるだけで周りの軍人たちの叫び声で全く聞こえなかった・・・たぶん応援してくれてるのかな・・・カトラお姉さまの魔法があるし最悪の事態でも大丈夫だよね・・・。
「アルっ今からその盾に訓練用の剣で全開の斬撃を当てるが・・・盾がもし耐えれなかった場合は・・・お前の腕を切り落としてしまうかもしれない、カトラちゃんがいるから魔法ですぐ何とかなると思うが・・・」
「はいっ、大丈夫です。剣も訓練用の剣ですし・・・お父さまの剣聖ラングの技のみの全開で本気ではないと分かっていますから、そうですね・・・息子に奥義を伝授するいい機会だと思いませんか?」
「おいっ、アルっ!お前・・・ははっ分かった。それにチャトラが作ったアーマーだったな、じゃ大丈夫だっ遠慮なく俺の全開をぶつける、アルも魔力を全開にしろよ・・・」
そういうと、お父さまは背を向け俺から離れ始める・・・。
お父さまの後ろ姿を見ると・・・揺らめいていた・・・なんだ?<ニュースサイト>
「1115 魔力蜃気楼」
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1115 魔力蜃気楼
魔力を全開で使うための前段階的な現象である。未熟な者は魔力が漏れ出すだけだが達人から湯気の様に漏れ出す魔力は蜃気楼のように揺らめく現象を起こす。
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なるほど・・・お父さまが本気?の魔力を使う前段階に持って行っているってことか・・・。緊急速報も今の時点で立ち上がらないし・・・大丈夫かな・・・。
俺も赤ん坊の時から気絶しながら練習をした魔力をこれでもかとチャトラさんのマジックレイヤーアーマーとシールドにつぎ込んでゆくと・・・魔糸の繊維の一本一本が青く輝きだし徐々に光が強くなってゆく・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・」ラングお父さまは俺に合わせ訓練剣が耐えられる限界まで魔力を収束高め、魔力蜃気楼も揺らぎは今はシンと静まり返りゾクリとする鋭さがピリピリと伝わってくる・・・。
「うわああああああああああああっ」すでに俺の精神は限界まで高ぶりなりふり構わず魔力を盾と鎧につぎ込んでいた。
アルスロット・・・この子が元気に生まれてきたのはほんの8ヵ月前だ。ホントならライラの腕の中で眠り食べ笑い・・・赤ん坊としての仕事をこなしてたはずだが・・・。
今は俺の訓練剣でだが全力を受け止めようと数十メートル離れた先であり得ないほどの魔力を噴き出しチャトラが作り出した盾と鎧は激しく魔力の粒子をまき散らし輝いている・・・。
ははは・・・さすが俺の子だと喜べばいいのか・・・この子の今後が気になるも、アルスロットの魔力のピークが迎えたのを感じ取り俺は・・・。
「きゃっ!!!!!!」私が叫ぶ声が出る前にはラングさんは一筋の彗星のように盾を持つアル君にへと激突し収束された彗星はアル君を中心に拡散し流星となって訓練場を光の粒で蹂躙していた。
「アルは大丈夫なの・・・か?」「んっ・・・」カルマータさんとルーチェさんもアル君とラングさんが重なるシルエットを凝視しながらチラチラと流星の魔力残滓が漂う訓練場のあまりの惨状に硬直していた。
ん・・・んー、何度か読み直して手直しをしてみるも・・・。微妙感がどうしてもぬぐえないのと、薄いな~。




