第十話 アルスロットの決断
『緊急速報 1944 アルスロット決断する時』
きたっ!!!俺はすぐに緊急速報を開く・・・。
「カトラちゃん、俺が突入して静かになってから入って来るんだ。すべて動けないようにするが、油断はしないようにね」
私の横をスッと音も立てず屋敷の中へと侵入していくラングさんは私の目では追うのが不可能な速さで消えていた・・・。
そして、大勢の人間の怒号が聞こえるだけだった。
「<ラインスラッシュ>」俺は鞘を刺したままの剣で線状に連なるスラッシュを発動し視界に入る者たちを一瞬で昏倒させてゆく・・・。
「んっ」俺は一人の男に目を向けるとラインスラッシュの魔力を止め停止させる。
「あなたは・・・こんな所で会うとは残念です・・・」
「ふっ、お前に負け剣聖に選ばれることのなかった私にはこんな所にしか居場所はなかったのだよ」
「残念です・・・ダルカン殿」
そして、剣が交差する。
ダルカンは2年前の剣聖御前試合で最後まで残ったツワモノだった・・・。俺の持ち味は虚を突き神速の剣で相手を倒す静の剣。そしてダルカン殿はいわゆる古い人間だった騎士道精神を前面に出す力の剣だった。そして、俺の剣をかわすこともできなかったダンカンは負けを認め俺が次代の剣聖を王から賜った。
「<神鋭>」騎士道然とするダルカンを俺はお構いなく神速の剣で叩き伏せる。
「すまんな・・・俺は息子を助けに来たんだダンカン殿を相手にしている暇はない・・・」
そして、グースの屋敷は静かになった。
屋敷が静かになってから、少したって私は×魔法を発動しゆっくりとアル君の元へと向かっていった。途中倒れている人たちは苦しそうに浅く呼吸をしていて全員生きているようだった。
庭の戦闘跡を抜けると巨大な屋敷が現れる、そして重厚で豪華な扉を抜けると広い吹き抜けが現れ2階へと続く階段が左右に伸びていた。
「2階みたいね・・・」
×魔法の誘導に従い上ってゆくそして・・・。
「おおっこれはこれは我が屋敷に何か御用ですかな?どうやら、庭で警備をさせていた者たちを倒されたようですが・・・これは私への暴力行為になりますぞ、剣聖とあろう方がこんな事をされてはアスハブ陛下に申し開きは出来ませんな?」
「グース・ブヒク殿、貴殿の屋敷に私の息子が囚われているとの情報を聞きつけ。父親として今ここに私は立っている・・・覚悟するんだな」
「なるほどなるほど、でその情報は確かなものですかな?その辺にいる輩の情報などあてにされてこんなことをされては私も大変迷惑なんだが?」
ニヤニヤを気持ち悪い笑みを浮かべるグースは椅子にどっかりと座り込み応対していた。
「その余裕の笑みがどこから来るのか分からないが・・・私の息子を返してもらおうか違法魔道具で作られた宝石の中に閉じ込められているのは分かっているんだ。今すぐに私の息子を返せっ!!!」
部屋をのぞくとラングさんは怒りが爆発し、闘気があふれだしていた・・・。すごい、でも怖い・・・。それにラングさんの闘気をもろに受けたグースって言う貴族は冷や汗を垂らして硬直していた、そして。
「あっアル君っ」
「フヒヒッ、こうもバレてしまってはもう隠すのは無理だフヒヒッ、そうだお前の息子はここにいるぞ・・・どうだ・・・これが目に・・・・・・はひっ?」
私の目にはグースの言葉の途中で突然・・・ラングさんが消え、そしてアル君が閉じ込められた魔道具が握られた手も消えていた・・・。
「ぐぎゃああああああっあああああああっ!!!」
ん~何が起こってるんだ。
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緊急速報 1944 アルスロット決断する時
今から2分後の19時46分 怒り狂ったラング・カイラスによりグース・ブヒクが殺される。
そして、命の鍵となっていたグース・ブヒクの死亡によりアルスロット・カイラスは無事解放されることになった。
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・・・と言うことは俺が成長して脱出しない限りは、お父さまが・・・・。
うん、決断なんて大層な事ではないよ・・・これは決まっていることだったんだ。俺は・・・。
「カトラちゃんアルスロットを頼んだよ」
「アル君っ」私はラングさんから違法魔道具に閉じ込められたアル君を受け取ると、絶対に落とさないようにしっかりと両手で包み込むようにして受け取った。
「グース・ブヒク殿ここに来るときに一人の男の死に際に出会いました・・・。その男はグースの命がカギだと最後の力を振り絞り謝罪の言葉とともに残しました・・・」
「ひっひいいいいいいっくるなっっ、そんなのは嘘だっフヒヒッそんなどこぞの誰とも知れない男の言葉だぞ?フヒヒッどうしてそんなっ・・・ヒッ・・・」
そこには、先ほどとは全く逆の冷たく氷のような表情をしたラングさんが・・・グースの命の鍵を刈り取るため、息子を開放するため・・・えっ・・・。
「ラングさんっ!!!アル君がっ」
ラングさんが止めを刺そうとした瞬間・・・大事に持っていったアル君が閉じ込められた魔道具が光り輝き周りの宝石部分が崩れ落ちる・・・そして。
「お父さまっ・・・それ以上は必要ありません剣を収めてくださいっ!!!」
私の目の前には・・・私と同い年位の男の子が素っ裸で立って・・・叫んでいた・・・。
「お父さまっアルスロットです・・・剣をどうか収めてください。俺は無事に出られることが出来ました」
「アル・・・アルなのか・・・?」
「はい・・・お父さま、俺は大きく成長し魔道具を破り出てきました・・・」
「ばっばかなっ!!!成長だとフヒヒッそんなことありえんフヒヒッ」
「そうか・・・帰ろうアルスロット・・・」
「はいっお父さまっ」
「きゃああああああ~っ」
俺は振り向いたとたんライフがゼロに0に・・・なりました。
この後は、俺はカトラお姉さんに張り手を食らいお父さまに担がれカイラス家へと帰宅したようだ。
そして、グース・ブヒクには帰り際にお父さまがたっぷりと脅しをかけ、カトラお姉さんの〇魔法で切り飛ばした腕を繋ぎ合わせて今回の誘拐騒動は双方これ以上は干渉しないという事で幕を閉じた。
「んん~~んっ」俺は伸びをしながら目が覚めると、横にはお母さまが椅子に座りながら眠っていた。
そして、お父さまもベットにもたれ掛かり寝ていた・・・。
どっどうしよう・・・こういう時は・・・初めましてか?いや、それは無いな親に初めましては無いないよね。
そんな感じで俺はアワアワしてると・・・。
「アルちゃんっ!!!ああああっ良かった目が覚めてっママよ?わかる?」
「ああ、はいお母さま・・・それに横でベットにもたれ掛かってるのはお父さまです」
「良かったっ突然こんなに大きくなったアルちゃんがラングに担がれてきてママとってもびっくりしたのよっ!!それに目を覚まさないから心配したわっ良かったよかった・・・」
俺の事を心底心配してくれたお母さまは俺に抱き着くと頭をなでながら良かったを繰り返していた。
「ん~んんっ、おっ目が覚めたかアルっ。心配したぞ・・・あの後、気絶して全く目が覚めなくてな・・・。カトラちゃんも心配してた・・・それとごめんなさいって謝ってたなっはははっ」
「あっその、俺が悪いんです・・・。カトラお姉さんは怒ってませんでしたか?」
「ああ、怒ってはいなかったな・・・逆に顔を真っ赤にしてごめんねっアル君って言ってたな~」
はははっと爽快に笑うお父様に俺はつつかれ真っ赤になってしまう。
「ふふっアルちゃんカトラお姉ちゃんの事が大好きだもんね~」
「お母さまっ・・・ははっその大好きです・・・」
俺はお母さまの指摘に肯定するしかなかった。
「それにしても・・・アルちゃん大きくなったわね~言葉も問題なくしゃべることが出来るし・・・」
「そうだな、俺がグースに止めを刺そうとした直前に突然大きくなったアルスロットが現れてびっくりしたぞっ」
ん~これは・・・最低でも成長するスキルだけは伝える必要があるな・・・。
「はい、俺は成長というスキルが発現して大きくなり魔道具を壊して出ることが出来ました」
「成長・・・聞いたことが無いな・・・。そのっアル・・・お前はもうそのままに?」
「アルちゃんっまた赤ん坊に戻ることはできないの?・・・・」
「はい・・・残念ながら・・・戻ることは出来そうにありません。もしかしたら、何かしらの方法はあるかもしれませんが俺には分りません」
「そうっ・・・アルちゃんの成長は嬉しいけどママ少し寂しいわ・・・あっ、アルちゃんごめんねっママはアルちゃんが無事に戻ってまた幸せな生活があればそれでいいのっ」
俺の一瞬曇った表情を見たお母さまはすぐにフォローをしてくれた。
「いえ、お母さまのいう事はもっともです・・・」
「はははっ俺の息子はちょっと成長が早かっただけだっ。こうしてアルが無事に戻ってきたそれでいいんだ・・・」
俺はお父さまとお母さまに左右から抱き着かれ新たな人生のスタートを切ることになった。
『アル君っなんとかなったねっ赤ん坊の姿が見れないのはザンネンだけどっ、期待してるよ~じゃあのん~』




