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お宿は楽しいな事件

 止まり木旅館シリーズ(https://ncode.syosetu.com/s6387e/)とのコラボです。


 時空のはざまにある止まり木旅館は、いろいろな世界から、悩みを抱えたお客様がやって来るところです。旅館のおもてなしにより、お客様の悩みを取り除くことで、お客様は満足して自分の世界へ帰ります。

 そんな止まり木旅館に、カミィが迷い込んでしまったおはなし。



『「こんにちは ぼくは しろくま

 さむい ところから きたよ」


 「こんにちは ぼくは ねったいぎょ

 あつい ところから きたよ」


 いろんな ところから どうぶつが おとまりにくる ここは どうぶつの おやどです。


(ドアをあけてみよう!)』


 ここまで読んで、カミィはパタンと仕掛けのついた絵本をとじた。

 ベッドで絵本を読むと、すぐに眠くなっちゃう。今日はもうおしまい。仕掛けのドアをあけるのは、また明日。

 

 お目々を閉じれば、からだがふわふわ飛んでるみたい。


「おやど、行ってみたいな」

 

 おやすみの前に、お隣に居るジュンイチくんにちょっとお話してみたら、


「宿泊施設? いいよ。じゃあ近くのホテルを一軒買おう。手配してくるよ。ちょっと待っててね」


 って声がして。うんってお返事するよりはやく、カミィはすやすや夢のなか。


 今日の夢は、大きなドアの夢。眠る前に絵本のドアを見たから? 夢のドアはピカピカ光って、カミィがあけてあげなくても、勝手に開いた。


 あっちは何があるんだろう? ちょっと行ってみようかな。ぴょんってジャンプして、ドアのあっちへ!



*



「ようこそいらっしゃいました!」

「ほわぁ」


 ピカピカが終わったところで、ももいろのまるみたいな髪のお姉さんとごっつんこ。お姉さんは、ももいろのまるみたいにふわふわじゃない。


「ここどこ?」

「カミィ様、こちらは止まり木旅館にございます。カミィ様は、ご旅行されたことなどはございますか?」

「旅行?」

「旅行というのは、ご自宅から遠く離れたところへ、息抜き、気分転換、観光、見識を広める、など、さまざまな理由により、出かけることです」

 

 遠くにお出かけ、ピクニック!


「えっとね、それならジュンイチくんがね」

「あっ、その前に。お部屋へご案内しますね!」


 お姉さんとお手てつないではいったのは、茶色い木のおうち。お靴を脱いで、パタパタスリッパ。


「さて、旅館の説明の続きに入りますね。旅館というのは、先程申し上げました旅行の際に、眠ったり、美味しいご飯を食べてのんびりするための、仮のお家のようなものですよ。中でもこの旅館は少し変わっておりますので、様々なお客様がいらっしゃるのです」


 そこでカミィはちょっとストップ。

 遠くへ行って、ご飯を食べて、おやすみするところ。さむいところから来たしろくまさんと、あついところから来たねったいぎょさん。一緒におねんねしてたあの場所は。


「どうぶつのお宿?」

「動物とは限らないのですが、そうです!」

「ほわぁ~」

「さぁ、お部屋はここですよ」


 ドアをあけたら、絵本の世界。お菓子いっぱい。ふわふわいっぱい。とっても楽しい、どうぶつのおやど。

 しろくまさん、ねったいぎょさん、こんにちは。わたしはカミィ。一緒に絵本を読もうね。


 遊んでいると、なんだか甘い匂い。顔をあげたら、お姉さんがプリンを持ってる! ノビノビチップスもおいしいけど、やっぱり一番おいしいのはプリン! 


「プリンだぁ!」


 プリンを呼ぶと、プリンもお返事。


『こんにちは。カミィちゃん。あのね、ちょっと僕を見て。どう思う?』

「ホイップが無いねぇ」

『そうでしょう、そうでしょう。とってもさみしい。助けてちょうだい』

「うんうん。お洋服着ないと、寒いもんね」


 プリンとお話してると、お皿を持ったお姉さんが、ちょっと不思議な顔で、


「カミィ様? もしかして、プリン様とお話できるのですか?」

「うん」

「あの、カミィ様。プリン様はなんとおっしゃっているのですか?」

「あのね、お洋服が着たいんだって」


 プリンのことを教えてあげると、お姉さんはカミィとお手てつないで歩きだした。片手にプリン、片手にカミィ。まんなかにお姉さん。なかよしこよし。


 着いたのは、冷蔵庫があるお部屋。お姉さんはそこで、クリームの乗ったお皿をもってきた。

 おいしー。あまぁい。クリームペロペロ。


「カミィ様、プリン様にもクリームを乗せてあげましょう?」

「あっ、そうだねぇ」


 お姉さんはにっこり。プリンもにっこり(ぷるぷる)。カミィははだかんぼ(カスタードオンリー)のプリンさんが、どうすればもっとおいしくなるか考える。


「あのね、最初はね、ホイップでうさちゃんをつくるでしょ」

『やったー! うさちゃんだかわいー!』


 お姉さんはホイップを乗せるのがとってもじょうず。マリクとどっちがじょうずかな?


「ここはね、甘いのつけたいんだって」

『やったー! 甘いのだおいしー!』


 茶色くて甘い、でもショコラの味じゃない、不思議なソース。ときどき苦いのがあるから、甘いのだけつけないとダメなんだよ。


「カミィ様、ミントの葉も彩りとして乗せましょうか?」

『それはだめだめ! ミントは(から)いから好きじゃないよ! それよりチェリーを乗せて!』

「んーん。それは好きじゃないから。あとね、チェリーも乗せたいって」

「かしこまりました」


『プリンだけずるいよ! 私もお着替えしたいよぅ!』


 プリンのお着替えが終わったら、今度はお皿がおしゃべりしだした。喧嘩しちゃだめだよ。お皿にはフルーツを乗せてあげようね。

 もも、オレンジ、りんごとシロップ。プリンにクリーム、茶色いソース。てっぺんにはチェリーがツン。


「わぁ。おいしそー」


 カミィはもう我慢ができなくなって、ぷるぷるプリンを頭からぱくり!


『うわああああああああ!!』


 あまくてふわふわのホイップぺろり。


『うわあああああ!!』


 へこんだところに落ちてくる茶色いソースもぺろり。

 

『うわあぁ……あ!』


 のどが乾いたらフルーツをぺろり。


『うわ……ぁ……』

 

「おいしー!」


 お皿にいっぱいのプリンとホイップとフルーツは、あっというまに無くなって。ごちそうさまをしたあと、お腹のなかからプリンの声はしなかった。ばいばい、プリン。


 ちょびっと減っていたおなかに、おいしいプリンがはいったら、カミィはなんだか眠くなる。おうちに帰ろうかなと思ったら、来たときと同じピカピカのドアが、


『どうぞ』


 と、また勝手に開いた。


「この度はご利用ありがとうございました。もう二度とお会いすることがありませんよう――」


 お姉さんの声はだんだんちいさくなって。夢っていつも、おしまいがわからない。

 ベッドでおやすみしたら、また会えるかな?


*



 電話一本でホテルを一軒買収し、ジュンイチが寝室へ戻ると、妻は絵本を枕にして眠っていた。妻の鼻頭にはホイップクリームが付着している。部屋に備え付けている冷蔵庫から、プリンを取り出して食べたのだろう。


 妻を連れて行く前に、ホテルの客室冷蔵庫にもプリンを常備させるよう手配しておく必要がある。後ほど再度電話を入れよう。


 うさぎを模したホイップに苦味の薄いカラメル。チェリー、白桃、オレンジ、リンゴ。リンゴはホイップと同じくうさぎを模した形状にカットし、仕上げにはシロップをかけて。


 注文内容(妻の大好物)を脳裏に浮かべ、ジュンイチはベッドへ潜り込む。

 妻を喜ばせるため、今夜は、白桃にもたっぷりシロップを。



 おしまい



 同じ物語を、女将の楓さん視点で読めます(https://ncode.syosetu.com/n0169fb/1/)

 カミィ編だけではわけが分からないところやおかしなところが、とてもわかり易くなっています。

 コラボありがとうございました。

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