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第43話

「この一年色々あったみたいじゃが二人とも無事に帰って来て目標もクリアしたからの、約束通り二人には良いことを教えてやろう。まずはエミリーからじゃ。」


 おばあちゃんがわざわざ条件を出してまでもったいぶったこととは、いったいどんなことなのだろうか。

 俺とエミリーは固唾を呑んでおばあちゃんの言葉を待った。


「ケイトは恐らくおっきいおっぱいが好きじゃぞ。それからおっぱいよく揉んでキャベツやチーズを食べると大きくなるそうじゃ。」


「はは、その大きくする方法は本当かな、おばあちゃんが言っても全然説得力ないよ。ペチャだ、グハ!」


 な、なんて重いレバーブローだ。たしかに俺はどちらかと言うとMだが痛みではなく罵倒される方が好きだ。


「そ、そうだったんだ。任せてケイト!絶対ケイトが満足するだけ大きくして見せるから!」


「ま、待てエミリー、あんなものはただの脂肪の塊だ、聞いたところによると走りづらいうえに肩もこるらしい、まったく良いことなんてないぞ。だから無理して大きくしたくて良い、むしろ小さい方がいい!胸の小さい娘が『まだ成長途中だからこれから大きくなるの!』って言ったりとかこっそり胸にパットを入れてたりとかして、小さい胸にコンプレックスを感じている姿がすごくかわいいんだ!ただ逆に『胸が小さくても需要があるから』と開き直るやつなんかもいるがそんなやつに対しては死んでしまえとすら思う、貧乳とはそれを恥ずかしがったいるからこそかわいいわけで開き直ったらただのペチャでしかないからな。そして夜の営みをするときにその慎ましい胸を両手で隠して『気にしてるんだからあんまり見ないでよ』って顔を紅くしてもじもじとする姿に最高に萌えるんだよ!そして海に行った時なんかに……」


「ケイト様、その辺でよしといた方が良いと思いますよ。」


「む、なぜ止めるレナドよ、まだ海編、山編、祭編に家デート編とまだまだ貧乳の素晴らしさを語り尽くせてないぞ。」


「ケイト様、周りをよく見てください。」


 言われた通り俺は家の中を見回した、そこには一年前から配置の変わらない家具とドン引きした幼女とぶつぶつ言っている幼女がいた。ちなみに俺の感覚では12歳までは幼女だ。


「ケイトよ、お主本当に8歳児か?正直今のお主キモかったぞ。」


 あんたが俺を巨乳好きなんかにしようとしたのが悪いんだ。つまり『僕は悪くない。』


「ケイトは小さい方が好き、ケイトは小さい方が好き、ケイトは…」


 うん…将来が楽しみかな。


「それよりおばあちゃん、あれが良いことなの?おもいっきり間違えてたけど。」


「いや、あれはただのジョークじゃよ、本当のことは別にあるのじゃが、」


 なんだこの煮え切らない言い方は、


「エミリー、もしかしたらもう知っておるかもしれんが、『魔王』は魔族からは嫌われておらず、むしろ崇められる程に好かれておる。」


「それって本当、おばあちゃん!」


 あー、その事か、洞窟のなかで話したけどたしかあのときはエミリー寝てたよな、まず寝てなかったらあんなことできないけど。


「なんじゃ知らなかったのか、てっきり吸血鬼になったケイトがいるから気づいていると思ったのじゃが。」


「吸血鬼も魔族なの?」


「そうじゃよ、知力をもった人ならざる者が魔族じゃ。それからのエミリー、さっき好かれると言ったが『魔王』のそれは異性には特に顕著での、魔族の男はみな、エミリーの魅力にメロメロになるのじゃ。」


「それって…」


 エミリーは少し顔を紅くしながらこちらをみた。


「本当ですよ奥様、昨日もダンジョンの中で眠っている奥様の胸に顔を押し当ててこの変態は深呼吸してましたから。」


「バカお前なに言ってんだ、俺は偶然たまたま疲労で眠ってしまっただけだ、そのときに偶然エミリーの体の方に頭が行ってしまっただけだ。」


 我ながら苦しい言い訳だなまったく。


「そうなの、ケイト?」


 潤んだ瞳でこっちを見てくるエミリー、なぜ今さらそんな表情をするんだ。つい目線を逸らしちゃうじゃないか。


「ああ、でもそれも最初だけで今はいつも通りだよ。だって、」


 俺はいったんそこで言葉を切り、エミリーの目をみて続けた。


「死んでも蘇ってしまうほどエミリーのことが好きなんだぞ、たしかにあのときは反応してしまったけど、あれは死んでもう会えないと思っていたエミリーに会えてテンションが高くなってたからだよ。」


 言い終わると胸に何かが飛んできた、それは温かくて柔らかくて、甘い香りがして世界で一番かわいいものだ。


「私もケイトのこと大好きだよ!」


「俺の方が大好きだよ、もしエミリーが浮気なんてしてたら悲しさのあまり狂って暴れだしちゃうくらいに。」


「私だってケイトが浮気してたら相手の女をみじん切りにしてこの世界を壊しちゃうかもしれないよ。」


 二人が抱き合いながら愛を確かめあっているとき、外野の二人は、


「どちらかが浮気をしたら世界が滅びかねませんね。」


「うむ、エミリーならともかくケイトが本気で暴れたら確実に世界が滅びるぞ。」


読んでいただきありがとうございました。

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