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第40話

「ケイト、なんでまだこいつがいるの?」


 あー、そうかエミリーは気を失っていたからさっきのこと知らないのか。

 ただ説明してもついさっきまで殺されそうになっていた相手だからな、反対されるかもしれないな。


「お早う御座います、実は私ケイト様の叡智の深さに感銘を受けケイト様の従魔にしていただくことになったのです奥様。」


「お、奥様だなんてそんな…、でも流石だねケイト、ドラゴンを従魔にするだなんて普通出来ることじゃないよ!」


 これは奥様につられてじゃないよな、だとしたらエミリーチョロすぎだよ、人のこと言えないけど。


「レナドはおばあちゃんの家を知っているみたいだからさ、もう家にかえれるんだよ。」


「ホント!」


「ええ、時間にするとだいたい30分程度で着くと思いますよ。」


「はや!」


 30分ってどんだけ近いんだよ、俺の『サーチ』には全く引っ掛からなかったのに。


「では、奥にある転移魔方陣でダンジョンから出ましょうか。」


「今更だけどダンジョンマスターがいなくなっていいの?」


「ダンジョンマスターもいなくなれば自然発生するので大丈夫でしょう、それにここに来ることができる人はほとんどいませんからね。」


 広い部屋の奥には淡く光る魔方陣が設置されていた。別に転移魔方陣なんて使わなくても『テレポート』なりなんなりでダンジョンから出ることはできるけど何となくダンジョンに入ったからにはこれを使わなくてはいけない気がした。


 ダンジョンから出ると矢張外は真っ暗だった。


「ポチも連れて帰った方がいいかな?」


「置いていったら可哀想だからね、呼んであげてよ。」


 未だに俺の背中に乗っているエミリーに笛を渡し吹いてもらった。これって間接キスじゃね。


 しばらくするとポチがやって来た。


「ちゃんと少女を戻してきたか?」


「ウォン!」


 こいつって人の言葉を理解しているのか?そう言えば俺は『全言語理解』を持っているのにこいつがなに言っているのかわからないよな。なんでだろ?


「その狼もケイト様の従魔なのですか?」


「いいや、ただなついているだけで契約とかはしてないな。レナドと一緒にこいつも従魔にしようかな。」


「ほう、では彼は私の同僚ですね。」


 ポチを従魔にするならエミリーと俺どちらの従魔にするべきかな、俺にはレナドがいるしやっぱりエミリーの方がいいか。


「少し私から離れてください、『人化』を解きますので危ないですよ。」


 レナド注意を受けて少しレナドから離れた。


「いきますよ」


 突然ボン!と音がするとレナドの体から煙が立ちこめて煙が晴れるも大きな緑色のドラゴンがそこにはいた。


「煙が出るならそういえよ、びっくりするだろ。」


「すみません、こう見えても私メスなので人前で変身するのは恥ずかしいんですよ。人で言う着替えみたいなものですから。」

 

「え?ちょっと待ってお前メスなの?男の格好してたのに?」


「それは『人化』は男女どちらにもなれるので、相手と対峙するときは女より男の方が威圧感も出ますし手足も長くなるので戦闘には向いているのですよ。」


 そういえばたしか、水を被ると女の子になる漫画でも似たようなことを言ってたよな。


「それに見た目に関しては人のことを言えないと思いますよ。」


「ん?」


「復活したりオリジンヴァンパイアになったりでツッコンでいませんでしたが。髪と瞳の色が変わってますよ。」


「ちょっと待てよ『ミラー』」


『無創魔法』で創った鏡には髪は焦げ茶色で瞳が紅くなっている俺がいた。

 こ、これは!


「カッコいい…!」


 ぶっちゃけ今までの明るい茶髪はあんまり好きじゃなかったんだよね、なんと言うかチャラチャラした感じがしてさ。

 けどこれなら服と合わさって中二病感丸出しだけどこれがまたいい。もう少し欲を言うなら紅くなるのは片方だけでオッドアイになりたかった。


「どうかなエミリー似合ってる?」


「うん!カッコいいよ!」


 カッコいいって言われた、カッコいいって……カッコいい…


「うへへへ」


「真面目に気持ち悪いですよケイト様。」


 おっといけない、本日三回目の冷たい?視線でみられてしまった。


「さっさと乗ってください、早くリンさんのところに行って契約を済ましたいのですから。」


「わかったよ」


 俺はエミリーを背負いながらポチの背中に乗り、ポチにレナドの背中に飛び乗ってもらい


「ありがとうポチ。」


「クゥン」


 撫でてやると猫なで声を出して甘えてきた。犬だけど、つーかドラゴンに対して全く怯えないなこいつ、意外と胆力あるんだな。


 ポチから降りると『ロープ』を創り二人+一匹の体を固定した。


「それではいきますよ。」


 レナドの掛け声と共に体を浮遊感が襲った。

 おお!ついに僕はドラゴンの背中に乗りながら空を飛ぶんだ、さっきから尻尾を振ってるワンちゃんがいなければ、いやせめて静かならエミリーとの空中デートができたのに、雰囲気ぶち壊しやがって。


「口を開けてると舌噛みますからね。」


「え?…うわぁぁぁあああ!」


 なにこいつ突然スピード上げてんだよ!せめてジョジョに上げろよ!


「スピード落とせーー!」


「急ぎたいので嫌です。それに奥様はこの速度がいいみたいですよ。」


 知ってるよさっきから後ろで「アハハハ!はやーい!アハハハ!」って声が聞こえてるよ!

 は!まさかこれは愛の試練?


「そんなわけねぇー!いいからスピード落とせ!従魔なんだから主人の言うことは聞け!」


「まだ従魔じゃありません。それに自分の方が上だから言うこと聞けなんて理不尽なこと聞けません、遅くしてほしいのなら遅くするメリットを教えてください。」


「俺が酔う、そして怖い。」


「却下です。完全に自分本意じゃないですか。ちなみに速いメリットはすぐにリンさんのところへ行ける、力量差を理解しない馬鹿に絡まれない、奥様が楽しいなどです。ケイト様がうるさいので気絶するような飛び方をしますね。大丈夫、辛いのは一瞬です。」


「ダレカタスケテー!!」


 そして蛇行運転、旋回などをされて俺は堕ちてしまった。

読んでいただきありがとうございました。

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