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第38話

「私をバカにしているのですか?」


 レナドは表情こそにこやかだが額に青筋を浮かべている。

 まあ信じられないよなそんなこと俺でも絶対に信じないもん。


「一応その神様の名前を聞かせもらえますか?」


「ミカサって言って、ヘレン様の弟にあたる転生の神様だよ。って言っても知らないよな。」


 地球からこちらに転生するときにお世話になるヘレン様がほとんど知られてないのだからミカサのことを知ってるひとなんてほとんどいないだろう。


「ヘレン、転生、たしか勇者アキトも似たようなことを言ってましたね。」


「勇者アキトと話したことがあるのか?」


「ええ、勇者アキト、賢者リン、戦士ゼロ、盗賊クリスの四人でここに来たことがあったのですよ、それ以来その四人とは知己になり今でもリンさんはよくお茶を飲みに来るんですよ。」


 おばあちゃんと友達だったのかこいつ、まあ知ったこっちゃないがな。


「もしかして君も転生者なのかい?」


「そうだけど。」


 実は両親やエミリーにも言っていないことをつい言ってしまった、まあそんな問題はないけど。


「それならなにか異世界の知識を教えてもらえませんか?」


「何でそんなことをしなくちゃいけないんだよ。」


「いいからなにか一つお願いしますよ。」


 レナドはまた深々と頭地面につけて土下座をしている。

 うーん、見せるにしても何を見せればいいんだ?もとの世界で理科は割と得意だったけど今できることと言ったら、そこで僕は閃いた。


「わかった、異世界の科学の力を見せてやる。」


「それはよかった、それで何を見せてもらえるんだ?」


「水蒸気爆発だよ。」


 俺の言葉におお!と顔を明るくするレナド、

 水蒸気爆発

 異世界転生ものでよく見かける科学現象で火山なんかでよく起こるものらしい。俺が地球にいた頃に家で熱したフライパンに水滴をたらすとそれが起こるのでやったところ、大ダメージを受けた忌まわしき現象だ。


 今回の実験には熱伝導の良いらしい大きな銅の板と水を使います。

 まずレナドの前に火属性魔法で熱した銅の板を置きます。


「この熱い銅の板がどうなるのですか?」


「見てのお楽しみだよ。」


 そして俺の周りに『シールド』を張り、魔法で出した水を銅の板に叩きつけた。

 瞬間、激しい衝撃が『シールド』にぶつかり爆音が轟いた。


「どうだこれが水蒸気爆発、異世界の科学の一端だよ。」


 我ながらなかなかゲスなことをしている自覚はあるがまあ俺あいつに殺されたし別にいいよね!地球の科学力は世界一ィィィイイイ。 

モクモクと煙が立ちこめるなかこの状況に似つかわしくない声がした。


「おお!これが水蒸気爆発、あの程度のことでこれほどまでの威力が出るとは君の世界は素晴らしいものだ!」


 煙が晴れるとそこには、服がわずかに汚れているだけで怪我のようすが全くないレナドが立っていた。


「無事だったんだ。」


「ええ、『硬化』のスキルがあるのでこのくらいの衝撃なら大したことありません。」


 勘違いしてもらいたくないのだが水蒸気爆発が起こったところは地面がめくれ上がり銅の板はどこにも存在しなくなっている。

 あー、防御7850000+レベルMAXの『硬化』がある化け物には水蒸気爆発も意味が無いのか。


 俺が呆けているとレナドはなにか考えるそぶりを見せるとなにか決心がついたように頷くと、


「ケイト君いやケイト様、ぜひ私をあなた様の従魔にしていただけないでしょうか?そして出来たら異世界の科学と言うものを教えていただきたいのです。」


「はい?」


 なに言ってのこいつ、突然すぎるからメガネの相棒みたいな声が出ちゃったじゃないか。


「確かに私は先程まで戦っておりそして命を奪ってしまいました、しかし従魔としての契約を結べば決してあなた様に危害を加えることは行いません。」


 この世界で従魔を作るには二通りあり一つは『テイム』のスキルを持っている人が魔物を瀕死まで追い込み『テイム』するもの、つまりゲームであるボールに動物を詰め込んで戦いの時にだけボールからその動物を出し戦わせるアレみたいなものだ。

 そしてもう一つが魔物と契約を結ぶものだ、これはおもに精霊とかドラゴンなどの人とそれほど変わらない知力をもつ魔物との間で行われる方法だ。これなら契約の内容にもよるが従魔は主に嘘をつけなくなったり、牙を剥こうとすると体に激痛を走らせることが出来たり、殺すことが出来たり『テイム』より色々と決めることが出来る。


「でもなー。」


 俺こいつに殺された訳だし、エミリーも殺されそうになってたし、進化したスキルや魔法を試してみたいし。


「私を従魔にしてくだされば『神眼の持ち主』『無創魔術師』『時空魔術師』『覇王』の使い方でしたら以前に持ち主と戦ったことがあるのでそれを参考にして教えることができますよ。」


「まじで?」


「まじです。それに今は人の姿をしていますが私の本当の姿はドラゴンなので背中に乗って空を飛ぶこともできます。」


 む、それは憧れる。少年なら誰しも夢見ることだよな。


「そして夜の満天の星空の下でそちらのお嬢さんと一緒に天体観測なんかを楽しむこともできますし、プロポーズならこれ以上ないほどの良いシチュエーションですよ。」


「レナド、俺の持つ異世界の科学に関する全ての知識をお前に授けよう。」


 なんだよ、チョロいって?俺はただ無駄な争いを避けただけだ。決してエミリーとの空中デートを楽しむためなんかじゃないからな。


読んでいただきありがとうございました。

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