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第37話

 目が覚めた俺はミカサの言っていた通り一糸まとわぬ姿で倒れていた、一本の右腕から人が生えてくる光景ってどんな感じなんだろ。

 隣には黒い衣服が置いておりそれに『テレポート』を発動すると、瞬く間に着ている状態になった。フッフッフ、おばあちゃんからは上品さが足りないから止めろと言われていたが流石に今の状況なら許してくれるだろう。

 ミカサの用意してくれた服はザ・中二病って感じの黒いマントだった。なにこれ超かっこいい、あと二、三着欲しいんだけど。


 日はすでに沈んでいたが、天井に発光している苔のようなものがあり部屋の中は幻想的な光に覆われていた。


 剣が地面に落ちたような音がした。

 音のした方を見るとレナドの前で膝を地面につけたエミリーが目に入った、死んでもう二度と会えることがないと思っていた少女の姿を見ると俺は無意識エミリーの方へ走り出していた、『テレポート』を使えばもっと早くついていただろう、しかしそんなことすら思いつかないほど僕は夢中で走った。

 ヴァンパイアになったからだろうか、以前に比べて確実に速くなっている。


 レナドはエミリーに俺と同じく『手槍』を放とうとしていた、そこでようやく魔法を使うことを思いつき『ブースト』を発動した。

 俺はエミリーとレナドの間に滑り込み、


「『アダマンタイトシールド』」


 レナドの手を阻むように鈍く光る鋼色の金属の板が出現した。


 アダマンタイト

 言わずと知れた魔法金属で優れた硬度を持つが魔力伝導率が悪くとても重いため、武器としても防具にしてもぶっちゃけあまり人気のない代物だ。

 だが、魔法で操っているので重みも感じず、その高い硬度により相手の攻撃を防ぎ、魔力伝導率が悪さから相手の魔法をも防ぐため『シールド』に使うにはもってこいの金属だ。


 エミリーの方を見ると目には涙を浮かべ、体のいたるところに傷があり『神眼』でみた体力も残りわずかしかない。


「守り続けるって言ったろ?」


 俺はエミリーの頭を撫でながらエミリーを安心させるため、そして自分への戒めのために言った。

 そしてレナドに『覇王』の渾身の威圧を与え『時空魔法』でレナドにまつわる全ての時間を遅くし、自分とエミリーにまつわる全ての時間を早めた。感覚でわかるが今の俺じゃあまだ時間を止めることは出来ない。


 俺はエミリーを抱き上げ部屋のすみにある岩まで転移した。ここなら多少暴れても怪我の心配はないだろう。

 岩にもたれるように下ろしたエミリーは俺の頭や瞳などを忙しく目を動かして見ている、きっと混乱しているのだろう。当たり前だむしろこんなことが起きて混乱しない方がおかしい。

 ただ混乱させておくのは危険だ、俺はエミリーを安心させるために、


「すぐに終わらせるから待っていて。」


 そして俺はエミリーに『ハイヒーリング』をかけてそして転がっているおばあちゃんから貰った世界樹の箒を拾ってレナドの元へ向かった。



 レナドはゆっくりとしたペースでこちらに向かおうとしているのかと思ったらさっきの場所から一歩も動いていなかった。

 俺は『時空魔法』を解除してレナドの元へ向かった。

 歩いている途中にレナドのステータスを『神眼』で確認すると、


  ステータス

 パンディットドラゴン/LV486

 体力 7565000/18000000

 魔力 10000000/12000000

 攻撃 6560000

 防御 7850000

 素早さ 7700000


  スキル

 人化 LV MAX

 鑑定眼LV MAX

 ブレスLV MAX

 飛行 LV MAX

 硬化 LV MAX

 武器化 LV MAX

 状態異常耐性 LV MAX

 見切り LV MAX

 威嚇 LV MAX

 自己再生 LV MAX


  称号

 達成者

 ペテン師



 やはり最初に見たステータスは偽物だった、さらにレナドは達成者で、恐らく『ペテン師』は進化させたスキルだろう。


 俺とレナドとの距離は10mくらいまで近づいた、けどやはりやつはさっきの場所から動かずただ目を見開き立っていた。


「さっきからずっと突っ立っているけど、もしかして待っていてくれたのか?」


 俺の言葉でようやくレナドの目には正気が戻った。


「な、何があったのですか。あなたはあの少女に嬉々として食べられて死体すら残らず死んだはずでしょう!」


「死体ならお前が切り落としてくれた右腕があったからな、それのお陰で何とか生き返れたよ。』


「右腕からの復活なんて、そんなのハイヴァンパイアの中の最上位に位置するベクトリア家の吸血鬼でも無理なはず、仮にそんなことができるのなんて伝説の……まさか『鑑定眼』」


 するとレナドの顔は真っ青になり、数歩後ずさりすると頭を抱えだした。


「あ、あり得ない、そんなこと。4つのスキルと魔法が同時に『覚醒』することは限りなく0に近いがまだ可能性はある。だが、人族からオリジンヴァンパイアになるなど不可能だ、眷族化したとしたら格が下がるはず、偽装系スキルも保有していない。何故そんなことが。」


 一人フラフラとした足取りをしていたレナドは俺の方を向くと、


「お願いします!教えてください。どうやって人族からオリジンヴァンパイアになったのか、そしてどのようにして同時に4つのスキルと魔法が『覚醒』させたのか、お願いします。その対価としてこのダンジョンにある財宝、武器、防具、全てを捧げても構いません。だからどうかお願いします、どのようにしてそうなったのか聞かせてくれださいませんか。」


 俺は今激しく動揺している。

 なぜなら、さっきまでの嫌みっぽいものではなく心から誠意を込めた敬語を使いだしたこと、そして僕が最も驚いているのはレナドが土下座をしていることだ。

 この世界の生物の頂点に君臨する龍種が土下座をするなんて、まずあり得ないだろう。


「何故そこまでするんだ?」


「私たち龍種にとって知識はどんな高価な宝石や財宝などよりも価値のあるものとして考えているのです、そして今回のようなこと見たことも聞いたこともありません、ここ千年近くの間新しく知識が増えることはありませんでしたので、なんとしても知りたいのです。」


 なんか物騒なしりとりをする種族みたいな考え方だなぁ。

 まあ別に隠すつもりもないからいいけどね。


「神様のお手伝いをしたらバイト代でもらったんだ。」


 レナドは何とも言えないポカンとした表情を浮かべている。

読んでいただきありがとうございました。

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