第24話
お姉ちゃんとの模擬戦から約二年がたった。
箒での戦闘スタイルに初めは戸惑いもしたがそれなりに扱えるようになった、おばあちゃんいわくレベルで表すとだいたい5か6くらいにはなったらしい。
お姉ちゃんとの模擬戦は毎日の日課になり勝率は3割と言ったところだ、ちなみに僕のステータスこんな感じだ、
ステータス
名前 ケイト・パルティナ/7歳/LV4
種族 人族
体力 2040/2040
魔力 4040/4040
攻撃 1040
防御 1050
素早さ 1100
スキル
鑑定眼 LV MAX
獲得経験値50倍 LV MAX
魔力吸収 LV MAX
記憶操作 LV9
全言語理解 LV MAX
魔力制御 LV8
魔法
火属性 LV8
水属性 LV9
風属性 LV9
土属性 LV8
闇属性 LV7
光属性 LV8
空間属性 LV8
無属性 LV MAX
称号
不動の精神
魔導王
スキルや魔法のレベルが上がっているのに対し僕自身のレベルが一切上がってないのはおばあちゃんの教育方針のようで、ステータス値よりスキルや魔法などのテクニックを先に上げた方が良いらしい。
そして今日もまたいつも通り箒の練習をするために箒を片手に庭に出ると、お姉ちゃんが剣を持って準備体操をしていた。
僕もお姉ちゃんと一緒に準備体操をしているとおばあちゃんが少し大きめのサイズのかばんを持ってやって来た。
「ほれ、ケイト。」
そう言うとおばあちゃんは手に持っていたかばんを僕に放り投げた。
「え?これなに?」
「容量無限のかばんじゃ中にはテントや食料、水それと手紙が入っとるからの。」
おばあちゃんは僕とお姉ちゃんの肩に手を置くと、
「頑張って帰ってくるのじゃぞ。『テレポート』」
僕とお姉ちゃんはどこかへ飛ばされた。
以前に『テレポート』でこの島に来たときと同じく、一瞬で見馴れた庭の景色から木々の生い茂る森の中に飛ばされてしまった。
「「え?」」
僕とお姉ちゃんは全く状況についていけずただ唖然とするばかりだ。
だって考えて欲しい、いつも通り庭で訓練をするのかと思ったら突然かばんを渡されて『テレポート』で飛ばされる。誰でもこうなるだろう。普通慌てて「ママ!」とかどこぞのギザギザヘアースタイルをしたお坊っちゃまみたいになるだろう。
だがしかし、
そこは二人でお揃いの『不動の精神』を持っているのでそこまで慌てることはなかった。
「とりあえずかばんの中身を確認しよう。」
大人な7歳児である僕はすぐに冷静になりやるべきことを行った。ちなみにしゃべると同時に『サーチ』を使って周囲に魔物がいないか確認もした。
これはヤバイ。何がヤバイかと言うとこんな状況でパーフェクトな対応をする自分が怖い。これが異世界マジックか、ヤバイな。
「うんそうだね、さっき手紙も入ってるって言ってたからそれに詳しいことが書いてあるかもしれないしね。」
かばんの中身を出してみると中には、少し小さめのテントとだいたい一週間分の食料と水、それに手紙と布団と服とタオルと石鹸と桶とシャンプーハットとオセロ(僕が作った)とetc.…っておい!
絶対こんなに要らないだろ!なんだよシャンプーハットまで出てきたじゃないか初めて知ったぞ、こっちにもシャンプーハットがあるなんて。
「無駄に色々あるな。」
「そうだね、お風呂もないのに何でお風呂グッズがこんなにあるんだろ?」
和気あいあいとかばんの中身を確認していると、
「『シールド』」
僕が『シールド』を発動すると、
「ガツン!」
飛んできた何かが『シールド』にぶつかった。
どうだ!すごいだろ!
実はさっきから猿っぽいヤツが『サーチ』に引っ掛かっていてたのだ、そんでそいつがが何かを投げてきから『シールド』で弾いてやった。
きっとお姉ちゃんは何が起きたのかわからずあたふたしているのだろう。と思ってお姉ちゃんを見ると、
「なんだ、ケイト君も気付いてたんだ。」
お姉ちゃんは腰にかけた剣に手を添えていてすぐに反応できる状態でいた。
「まあね、さっきから『サーチ』を発動していたから攻撃に気が付いていたんだよ。お姉ちゃんはどうして気付いてたの?」
「向こうから風を切る音が聞こえたからだよ。」
そんな音全然聞こえなかったんだけど、お姉ちゃん耳良すぎ。
「って話してる暇は無さそうだね。」
ヤツがもうすぐ近くまで来ていた。
「お姉ちゃん、ちょっとさがってて僕が戦うから。」
「ケイト君だけに戦わせない、私も戦うわ。」
僕たちが口論になりそうになっているとそいつは現れた。
「ぐぎ」
そいつは手の長い身長2メートルくらいある大きな猿だった。
鑑定眼で見てみると、
ステータス
種族 ハロモンキー/LV67
体力 70000/70000
魔力 18000/18000
攻撃 19000
防御 13000
素早さ 23000
スキル
投擲 LV7
採集 LV5
ヤバイな、ステータス値だけで言えばお姉ちゃんや僕なんかより圧倒的に強い。
それがわかっているのか、猿はニヤニヤして僕たちの行動を見ている。
「お願い、3分だけ時間をちょうだい。あとでなんでも言うこと聞くから。」
「…わかった。3分だけ待ってあげる。約束、忘れないでよ。」
お姉ちゃんは全く納得していない表情で承諾してくれた。
「ありがとう。」
僕は短く言うと猿の方を見た。相変わらず気色悪い笑みを浮かべている、そして何よりあの目が気に入らない、あれは相手を見下した目だ。前世で幾度となく向けられた目だ。
あの目で見られると相手のことを殴り飛ばしたくなるが、前世ではそんなことをすれば警察沙汰になりかねないので我慢していたが、こっちではそれがない。
そして僕は人生初の命の奪い合いを始めた。
今日は私の誕生日です。
べ、別にプレゼントなんて欲しくないんだからね!




