表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/74

第21話

 おばあちゃんの家に来て一週間が過ぎた。

 この一週間であったことを説明しよう。


 まずここ一週間は『魔力制御』を覚えるために四大属性の火水風土のボールを作りジャグリングの練習をした。『魔力制御』は同時平行で複数の魔法を使用すると経験値が得られやすいらしい。

 そこで僕はあることに気がついた。

『獲得経験値50倍』マジでヤバイ。何がヤバイかと言うととりあえずステータスを見てください。


  ステータス


  スキル

 鑑定眼 LV MAX

 獲得経験値50倍 LV MAX

 魔力吸収 LV1

 記憶操作 LV5

 全言語理解 LV MAX

 魔力制御 LV5


  魔法

 火属性 LV5

 水属性 LV4

 風属性 LV4

 土属性 LV4

 光属性 LV1

 闇属性 LV1

 空間属性 LV3

 無属性 LV1



 どこがヤバイかと言うと『魔力制御』のレベルが5になっているところと、四大属性の『壁』をいつの間にか越えていることだ。

 まあ、『壁』の方はその属性の魔法を精密なコントロールができるようになれば越えられるから、あのジャグリングでそれができるようになったのだ。それを見越したおばあちゃんスゲー。

 そしてこの『魔力制御』のレベルだが、1年以上特訓しているお姉ちゃんと同じレベルだと言えばわかってもらえると思う。

 もちろん、おばあちゃんより同時に操っていた魔法の数は多いけどそれでも異常だ。まあおかげで楽で良いけど。



 次に僕とお姉ちゃんは未だに一緒に寝ている。

 二日目の朝におばあちゃんがベッドを買いに行こうとしたら、お姉ちゃんが一緒に寝たいと駄々をこねて当分の間は同じベッドで寝ることになった。

 それともう一つ、これは昨日気がついたのだが、お姉ちゃんが寝ている僕に『チャーム』をかけていた。

『チャーム』とは相手を自分の虜にする闇属性の精神干渉系の魔法だ。

『不動の精神』を持っているからいまのところ大丈夫だが、そのうち大変なことになりかねない、今夜辺りにやめてもらうつもりだ。


 まあ大体この一週間であったのはこれくらいで、あとは遊んだり、美味しいご飯を食べたりしていた。



 今日はこれからいつも通り訓練を始める、昨日は同時に操った球の数は四属性10個ずつで計40個までできた。今日は60個くらいまでやるのかな。

 そんなことを考えながら庭に出るともうおばあちゃんとお姉ちゃんは準備万端で待っていた。

 訓練は基本的にお姉ちゃんと一緒で、この一週間はお姉ちゃんも『魔力制御』の訓練をしている。


「ケイトよ、今日からは『魔力制御』の訓練は終わりにして、別のことをやるぞ。」


「あれ?まだ一週間しかしてないけどもう良いの?」


 僕が聞くとおばあちゃんは呆れながら答えた。


「お主が予定よりも成長するのが早すぎるのじゃ、わしもあと3、4ヵ月はかかると思っとったぞ。」


 確かに『獲得経験値50倍』があるからたった一週間訓練をしただけで、普通の人の一年分の経験値が手に入るからね。


「じゃから今日からお主はこれを使って訓練をするのじゃ。」


 そう言いながらおばあちゃんはステータスを見る魔道具くらいの大きさの白い石を渡してきた。


「これは?」


「魔法石じゃ。」


「ガチャでも引くの?」


 ちょっとふざけたことを言うとおばあちゃんは驚きながら、


「なんじゃ、お主にもわからぬことがあったのじゃな。」


「魔法石が何かは知ってるけど、僕にだって知らないことくらいあるよ。」


 魔法石とは、ある一定の量まで魔力をためることができ、魔力の溜まった魔法石は魔道具のバッテリーとなる。


「ではお主、この魔法石で何をやるかわかるか?」


「『魔力吸収』の訓練だと思ったけど。」


 恐らく、魔法石に魔力を流し込み、満タンになったら今度は『魔力吸収』でその魔力を吸収して回復をする。

 これを繰り返し行ってスキルのレベルを上げる気なんだろう。


 そうするとおばあちゃんはかわいいドヤ顔で、


「ほれみろ、やはりお主は何でも知っとるの。」


 教える立場の人が何を言っているんだ。


「ケイト君って物知りだよね!」


 あー、かわいい。こんなにかわいいのだから『チャーム』なんて使わなくても良いのに、


「何でもは知らないよ。ただ『記憶操作』で得た知識を忘れないようにしてるだけだから。」


 これで何度目かになることを言って僕らの訓練は始まった。ちなみにお姉ちゃんはおばあちゃんと剣術の訓練だ。


 僕は一人木陰に腰を下ろし魔法石に魔力を流し込んだ。そしてちょうど2000の魔力が溜まったら今度はそれに、『魔力吸収』を行い魔力を回復した。

 吸収するのには、魔力を1吸収するのに1秒かかったので吸収するのに大体30分かかった。

 ただ黙々と魔力を流し込み、それを吸収する。単純な作業だがこれが結構面白い。

 前世で読んだ本で「何も考えない時間ほど贅沢なものはない。」と言う内容の本があったが、確かに何も考えず無心で作業するのは心が洗われるような感覚になる。


 少し経つとお姉ちゃん達がやって来て、


「もう昼の時間だから戻るよ。」


 言われてみれば、太陽の位置がだいぶ高くなっていてお腹も適度に空いていた。時間にすると4、5時間ほどやっていたようだ。


「わかったよ、お姉ちゃん。」


 立ち上がるとお姉ちゃんが、手を握ってきた、まあ僕も大人だし?もっとディープでアダルトなことじゃないとどきどきしたりしない大人の男性だからね。嘘だけど。


 家に戻り昼食を食べると訓練に戻った。

 お姉ちゃんは闇属性魔法の練習をし、僕は午前に引き続き『魔力吸収』の練習だ。


 さっきと同じ木陰でしばらくまた無心でやることにした。そのうち無我の境地に達して百練自得したり才気が煥発したりできるのかな。と無駄なことを考えるのをやめて練習に打ち込んだ。


 十何回かやっていると、お姉ちゃんがお菓子を持って走ってきた。


「もうおやつの時間だよ、一緒に食べよ。」


 この世界でも3時はおやつの時間で、おやつはいつもおばあちゃんが作っている。今日のおやつはマドレーヌだ。


「新しい訓練の調子はどう?」


 調子か、確かに午前中より吸収するのが早い気がするからレベルは上がってると思うけど。

 ステータスを確認してみるとレベルが6に上がっていた。


「はぁ!?」


 お姉ちゃんがビクッとして、


「どうしたの?」


「ごめん、ステータスを確認したらレベルが6に上がっていて驚いたんだよ。」


 とりあえず僕はおばあちゃんにそれを伝えに行くと、


「ホント教えがいがないのー、教育者殺しじゃ。」


「そんなこと言われてもどうしようもないよ、このまま続ける?」


「もうそれは暇なときやってくれ、新しい訓練に移るからの。」


「次は何をするの?」


 おばあちゃんはニカっと意地悪な笑みを見せ、


「エミリーとの模擬戦じゃ。」



読んでいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ