第12話
僕とメストはそのあと、魔物と遭遇することもなく無事森から出ることができた。
村に帰っている途中で、
「メスト、何でお前森に入ったんだ?」
「えっと、俺『武才』って称号を持っててさ、今まではこの称号が何なのかわからなかったんだけど、昨日俺のステータスを見た父ちゃんや神父さんが大はしゃぎこの称号はすごいって、この称号があれば魔物にも負けないって言われたから試しに森に入ってみたんだ。」
『武才』って何だろう、教えて、鑑定眼!
ステータス
名前 メスト/5歳/LV1
種族 人族
体力 600/600
魔力 90/90
攻撃 200
防御 300
素早さ 400
スキル
魔法
称号
武才
武才
武に対する極めて高い才能の持ち主に送られる称号。武術系スキルのレベルが上がりやすくなり、本人のレベルも上がりやすくなる。レベルアップ時のステータスの上昇率が大きくなる。
うーん、確かに良い称号だとは思う、メストの父さんや神父さんが騒いだのもわかるが、
「メスト、この『武才』の称号は持っているだけで強くなるようなものではなく、強くなりやすくなる称号だよ。」
「知ってるよそれぐらい、だから魔物を倒してレベルを上げて強くなろうと思ったんだ!」
「武術系スキルを一切覚えずに?」
「うっ、それは、そうだけど…。」
「はー、そもそも何で強くなろうと思ったの?」
その質問にメストは不思議そうな顔をして、
「強くなれる力を持っているなら強くなろうと思うのは当たり前じゃないのか?」
言われてみれば確かにそうだ、前世とは違い、この世界にはステータスが存在し自分の才能の一部が見えるのだから、ステータスが恵まれている人はその長所を伸ばそうとするだろう、この世界では強さが特に重要なのだから。
「そういえば、ケイトはどうだったんだ?」
「どうだったって、何が?」
「ステータスのことだよ、さっきの火の玉とか火の壁って魔法だったんだろ?」
うむ、ステータスを教えるべきか否か、まあ別に隠す必要もないか。
「僕はスキルで『鑑定眼』なんかがあって『魔導王』って称号も持っていたよ。」
あえて全部は教えなかったが良いだろう。
「ん?なにそれ?」
「『鑑定眼』は相手のステータスを盗み見ることができて、『魔導王』は全ての魔法を使うことができるようになる称号だよ。」
「へぇー。凄いなそれ。」
あれ?もうちょっと驚いてくれてもいいんじゃないのメスト君。
「なあメスト」
「何だ?」
「強くなりたいなら僕の父さんに剣術を習ったらどうだ?」
「え?」
「だから、僕の父さんに剣術を教えてもらえば良いんじゃないか?」
「でもケイトの父ちゃんってたしか、英雄って呼ばれているすごい人何だろう?」
「そうだけど、それがどうかしたの?」
「そんなすごい人が俺なんかに剣を教えてもらえるわけないよ。」
「それは、聞いてみるまでわからないと思うよ。」
話しているともう村に着いた。もうすぐ昼ごはんの時間帯だから一度家に帰るのだがメストは父さんに剣術を教えてもらえるように頼むために、僕の家に来た。
「ただいま!」
「お邪魔します。」
メストは少し緊急しているようだ。まあうちは王様が用意した家なので当たり前だが村で一番でかい。
「お帰りなさいませ。ケイト様、メスト様。」
「ただいまメイヤさん、メストのこと教えたっけ?」
「昨晩奥様が、泣きながらケイト様に友達ができたと話してくださいました。」
やめてよ母さん!友達ができたぐらいで泣くの!それにメイヤさんも友達の前でそれを暴露しないで。
「そ、そうなんだ。ところで父さんはいる?」
「はい、今は書斎におります。」
「じゃあ、お風呂に入ったら2人で行くって伝えてといてくれる?」
「畏まりました。」
「よし!メスト一緒にお風呂に入ろう!」
するとメストは本日2回目の不思議そうな顔をして、
「お風呂って何?」




