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将来の夢

作者: 青井新司

 僕の将来の夢は、小説家になることだ。

 といっても、これだといえるような具体的なビジョンはない。がんばれる高校へ行って、就職率の高い大学へ行って、自分の生活を支える仕事に就職して、合間合間を縫って小説を書いて小説家を目指す。そんな未来を想像している。


 この夢を持つようになったきっかけはとたずねられても、一言では答えられないだろう。いくつかの段階を踏んでこの夢を持つに至ったからだ。


 僕は幼いころから、空想をするのが好きだった。暇さえあればというほどではないが、結構頻繁に物語を考えていた。アニメを見ながら「自分だったらこうするのになあ」「ここに自分がいたら、この人をこんな風にして助けて……」といった空想をしていた。小さいころはそれで満足していた。


 小学校高学年になると、自分の空想を内にとどめておくのがもったいなく感じるようになった。そこにタイミングよく、文章を書く授業が入ったわけだ。自分の作った物語が、先生に「面白い」とほめられたときは本当にうれしかった。


 さらに、そのとき図書室で借りてきた本に「黒ねこサンゴロウ」というものがあった。その本の持つ不思議な魅力に心惹かれ、「毎日小説を書いて生きて生きたい」「自分の物語をたくさんの人に読んでもらいたい」と思うようになった。


 以上が、この夢を持ったきっかけだ。



 書き始めは本当にへたくそで、文は登場人物の会話ばっかり。物語りもめちゃくちゃで、クライマックスがあっさり通り過ぎたかと思えば死んだはずの父親が見つかって、気づけばなぜか船が空を飛ぶ。


 ただ、これはこれでとても楽しかった。だからその物語は、およそ半年くらいは書き続けたか。途中でいつの間にかやめていたけれども。


 今になっては、うまく書こううまく書こうと思ってあまり楽しく感じることがなくなってきた。少し考え直して、好きなものを書きながら楽しんでもらえるようにしてみるのがいいのかもしれない。



 さて、将来の夢といえど、いろいろなものがある。


小説家、医者、弁護士、警察官、役者、声優、パイロット、遊園地の係員、宇宙飛行士、スポーツ選手、車掌さん、ケーキ屋さん、漫画家、その他もろもろ。


 どれを選ぶかは個人の自由で、何も選ばないのも個人の自由。夢を持たないのが夢だ、といえなくもないかもしれない。


 夢によって、高校も大学も変わる。もちろん人生も変わる。そのとき夢が薄いものだと、ふとしたことであきらめてしまう。


 あきらめられるなら夢じゃない。絶対かなう。

 夢をかなえた人はたいていそんな風に思っていただろう。だからといって同じように考えても夢がかなうわけではない。理不尽なものだ。みんなの夢がかなえば良いのに、と時々思う。


 夢をかなえた人ばかりが目立っているが、その周りにはたくさんの人々がいる。夢を実現できなかった人たちが。


 夢というものは一種の呪いなのかもしれない。叶うかもわからないものに心を奪われるのだから。



 自分の夢が、まわりに「夢を持っている」という称号として使われているのか、それとも本気の思いなのか。それは自分自身ではわからないけど、とにかく信じて目指してみるしかない。そう思った。


 自分の思いが形になるのは本当に楽しい。だから、小説を書くのが好きだ。


 好きだから、実現するかもわからない夢にかけられる。

 最後はやっぱり、それが理由になる。


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― 新着の感想 ―
[一言] 若いうちは夢を可能性で追いかけて、年を重ねると確率と消去法で追いたてる。確率を上げるための行動は裏切らない。見上げろ若人。
[良い点] >文は登場人物の会話ばっかり 会話が書けるという事は小説が書けるという事です。 会話が書けない人は、ノンフィクションやエッセイなどに 転向してしまいます。 逆に想像で登場人物設定でき会話…
2015/10/28 21:11 退会済み
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