表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

爆発

 正解はーーー引火させる♪



 手から滑り落としたライターは、見事にガソリンに引火した。

 凄い勢いで燃え上がる室内。ガソリンで濡れたありとあらゆる場所は、抵抗さえ出来ず炎に呑まれていった。

「ーーーーーーーーーーーーーーーー‼︎⁉︎」

 其れは生き物とて例外ではない。

 アステリウスの身体は、炎に包みこまれて焼かれていく。

 どれだけ転がっても、どれだけ叫んでも、どれだけ動きまわろうとも、炎が弱くなることはない。

 全てを侵すように、燃えていく。

 何者にも邪魔は出来ない。勝手に消えるのを待つのみだ。

 だが、俺が相手にしてるのは化物、人間ならココで終わりなんだがなぁ。

「ーーーーーーーーーーーーーーーー‼︎‼︎」

 焼け焦げた部分が回復し、そして焼かれても治りやがる。到底理解出来ないような激痛だろうに、其れでも足を前に運び、歩いてきている。

 その眼に宿るは化物の狂気。しかし、以外にも宿っているかもしれない。


 ーーー悲しみ、とかな。

 だとしてもな、俺は世界を救わせるわけにはいかねぇんだよ。

 お前の夢を知っているが、こんなやり方じゃあダメだ。

「『世界で一番愚かな罪人』(カイン)」

 目的の場所に辿り着き、其処にある物が出現した。

 俺の隣に出現したのは、鉄塊と呼ぶに相応しい身体、中に詰まるは大量の火薬、海上戦にて獰猛な牙、艦にとって最恐の武器ーーー魚雷である。

 mk46。其れがコイツの名だ。

 魚雷の其の破壊力は、戦艦の大砲に勝るとも劣らないほどだ。本来コイツは水中で使われるが、そんなもんしるか。

 体長は2mを超し、重さは200Kg以上する。

 どーかんがえても両腕を負傷した俺に扱えるものではない。

 だが問題はねぇ、もうすぐ来る。

「………来たか」

 炎上しながらも、アステリウスはオレに狙いを定め、突進しようと構える。

 しかし俺は警戒もせず、天井を見上げていた。

 微かに聴こえる不協和音。そして感じ取れる〈魔術〉の気配。終わりだな………夢は夢の中にしかねぇよ。

「……だから眠っとけよ」

 アステリウスが突進をする刹那、天井を突き破ってマロウがーーーバケモノ状態で降臨した。



「@aNd然傘g4242.♭●£<々々9′;間ノノノノgh0)]mw赤ラララmoe444;≒⇔$±溢シヤァAAAAAAAAAAAAAA‼︎‼︎」



 絶叫、衝撃。アステリウスは危険を感じてか、動きを止める。

 命取りになるとも知らずに。

「マロウ!」

 呼ぶと顔を向ける。其れくらいの知能は残ってるらしい。

 クイッと魚雷に視線を投げる。其れで察したのか、マロウは飛んできて魚雷を片手で持ち上げた。

 200キロあるのにィ………。

「arrRr195★;※kl魔羅&_"〉¿nx÷\\#≪…命高塙デデJLbbj*23∥^^晴音i###賄新ZanpT ̄_,ァアアアアアアア‼︎‼︎」

 大きく振りかぶり、天使がミノタウロスに向かって魚雷を投げた。 凄い絵面だな。

 音速で飛ぶ鉄塊は直線にミノタウロスを狙う。流石の化物様も避けれないようで、目をまん丸にしてる。

 魚雷は負荷がかかりながらもそのまま飛び、アステリウスに轟音をあげながら突き刺さった。

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼︎⁉︎」

 一瞬の閃光。 気が遠のくほどの爆音と共に、衝撃が身体を叩く。 痛い痛い!

 オレの前にマロウが立っていたから、衝撃は殆ど消えていたが、マロウは傷付いてるように見えない。 少し汚れただけだ。

 《魔術》の特性の違いとはいえ、オレのはホント使いがってが悪ィな。

 その分マロウの特性は、存在昇華と肉体強化だからな。

 存在昇華は、自分とゆう存在を高次元に置くコトだ。分かりにくいだろうから、天使を思い浮かべて欲しい。あーいった空想上の存在、人と比べ物にならない力を有する存在に自分を造り替えるコトだ。

 肉体強化は読んで字の通り、肉体を強くするものだ。 この場合、存在昇華したコトにより、容れ物の強度が必要になるから、肉体を強化している。

 こーいった点から、マロウは肉弾戦にかなり向いてると言えるな。

 っと、そろそろこんがり焼けた頃か。

 牛肉の焦げ肉を見つけるために、痛い身体を起こして爆発地を見てみる。

 見事何もかも消し飛んでて、真っさらな状態だ。

 床とかかなり頑丈なようで、表面は焦げてるが、傷一つない。魚雷に耐えるって硬すぎだろ。

 そーやって見回すと、動いてる物があった。

「おーー? 生きてた生きてた。まさか身体が三分の一になっても生きてるとわ」

 動いていたのはアステリウスだった。身体の三分の二が無くなり、殆ど身体が焦げているが、其れでも生きていた。スゲー生命力だと賞賛してやるよ。

 だが、コレでコイツは動けない。もう勝手に事件解決させてもらうぜ。

 直ぐにおさらばしようとしたら、マロウが立ち止まってた。ん?どーした?

 何故かマロウは〈魔術〉を解き、アステリウスに自分の〈魔術〉を使った。何してんの?

「………俺の『越門辿人殺界』(カナンロード)の肉体強化で、この男の回復力を高めてる。もともとこの男の〈魔術〉の回復力と合わせれば、この状態からでも回復出来るだろう」

 お前もお人好しだなぁ。ま、死んじまうかもって思ってたし、コレで心配ないだろう。


 さておさらばといこうとしたら、扉から放たれるように新人が入って来た。

「所長! 大変ですッ!」

「どうした。てかお前今まで何処にいた?直ぐそこにいると思ってたらいなかったな」

「マロウ先輩呼んでましたって、何で分かったんですか?」

「気配だ」

「嘘つけって感じですよ。 ってそんなコトしてる場合じゃないです!外出てください外!」

「なんだよ〜、外に全裸の美少女がいるのかよ〜」

「いません、セクハラで訴えますよ」

 やべぇ、新人の目が虫を見る目になった。話題変えよ話題。

「あー、分かった分かった。外に出ればいいんだろ」

 身体痛いのにな〜と愚痴りながら、玄関で靴履けねぇよ!痛ぇんだよ!そう思ってたら人が出てきて履かせてくれた。 やっぱ交換出来ねぇかなぁ。

 そんなポワポワな思考を一瞬で染めたのはーーー鮮紅。

 目の前に広がる光景は、狂気の産物にしか見えない。

 其処には、何人もの死体が転がり、其奴らの血で、世界を真っ赤に染め上げていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ