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魔術士

初めまして、初投稿です。 どうかよろしくお願いします。 読んで頂けると幸いです。

 

  10年前


 ああ、ぁぁあああ、っぁあああああ。

 なんで、

 なんでなんだよ。 

 なんで、、、


 なぁぁあああんんんでぇぇぇぇええええええええええええ‼︎⁉︎





  現在


 俺は今、裁いてやった殺人鬼の親から賠償について、問われている。

「死刑は重過ぎるんじゃないか‼︎ 何故あんな判決をっ⁉︎」

 ダンッ、と机を殴る父親と。

「ウチの子が、そんな事するはずがありません! これは警察の罠です‼︎」

 と今だに現実を見れない母親。

 全く、馬鹿どもは。さっき言ったろぉが。

「いいですか。お子さんは、彼女にフラれてその腹いせに、刃物で刺した。それが快感になり、道端で会った女性を斬りつけ、刺し殺し、計10件。死刑以外ありえません」

「証拠は⁉︎ 息子が殺ったという証拠はあるのか?」

「現行犯で逮捕されましたし、凶器を肌身離さず持ってましたし、自供もしました。 ついでに証言が多数ありますが?」

「そんな事関係ないッ‼︎」

 ………関係ない訳ねぇよ。

 アレか、他人の意見は全部虚実で、自分の信じた妄想こそが真実ってやつか。

 くだらねぇ………。

 俺が呆れてものも言えないでいると、なにを感違いしたかニッコリ笑っていやがる。

「裁判長様、どうしたんですか〜。押し黙っちゃって〜」

 BBAが顔を近付けてくる。 化粧濃い顔近付けてくんじゃねぇ。

「おいおい、冤罪とかバレるとやばいだろ? 黙っててやるから、」

 カス男がその無骨な手を俺に出す。

「200万。とりあえず出せや」

 何がとりあえず、だ。 ほんと感違いも甚だしい。 〈術師〉だったら殺してたぞ。



「あの」



 突然、扉の方から若い女性の声がする。

 ………聞き覚えがある声だ。

 声が聞こえてきた方に視線を向けると、新人『執行裁判官』………ってまだだったか? がそこに立っていて軽く頭痛がした。

「そんな不当なことをしますと、貴方も息子さんと同じように逮捕されますよ!」

 新人はカス男とBBAに説教しようとしている。 おい、バカ。 そんな脳足りんにンなこと言うと………。

「うるせえよブス‼︎ 引っ込んでろ‼︎」

「なっ⁉︎」

 ほら、逆ギレした。 まぁ、新人はブスって言われたことの方が、ずっとショックだったようだがな。

「誰がブスですか! よく見なさい‼︎」

「だからうるせっ⁉︎」

 カス男が振り返り、息を詰まらせる。

 ショートの黒髪を輝かせ、童顔だがそのキリッとした目が幼さは感じさせず、起伏は乏しいが、髪に合わせた黒いスカートから伸びる長い足は、芸術品のようである。

 まるで職人が作る人形、そう思えるほどの美しさだ。

「さぁ、誰がブスですか?」

 新人は頬を膨らませ、クズ男の目に入るように顔を近づける。

「あ、ぁあ………あ。…」

 だが残念だったな。クズ男は頭を回すことさえ出来ず、謎の呻きしか出せてないぞ。

 ま、コッチの方が楽そうだ。

「ちょっと貴方! 何してるの‼︎」

 ちっ、BBAが! このままいけば勝手に自滅していたのに‼︎

 はっとクズ男が気付き、顔を真っ赤にしながら怒鳴り散らす。

「ゴタゴタすんな! さっさと200万出せやッ‼︎」

 クズ男は懐からナイフを取り出して、新人に向ける。

「ひっ⁉︎」

 新人は情けない声を出して、腰を抜かしている。

 ……仕方ねぇ奴だ。助けてやるよ。

「凶器所持確認。 脅迫確認。精神が不安定なため、説得は不可能と判断。以上により、 『執行権』が認められるため、〈魔術〉による強行を開始する」

 俺は〈魔具〉を取り出し、対象をBBAとクズ男にする。



「起きろ、『世界で一番愚かな罪人』(カイン)」

 


 〈魔具〉である俺の右腕を解放し、対象を動かした。

「あれ? さっきまでいたのに…」

 新人は周りをキョロキョロと見回す。

 だが、いない。

 俺の〈魔術〉でここではなく、べつの所に移動させたんだ。今頃あいつら、檻の中だ。

「フゥ…」

 俺は息を吐き出し、ギロリと新人を睨む。新人の顔が引きつっている。

「おい新人。 なにシャシャッて出てきて、勝手にキレて、俺の邪魔してんだ? ブチギレるからよぉく話せ」

「ブチギレると聞いて言うバカはいませんよッ⁉︎ 所長!」

「ンなこと知るか! さあ、どんな罰を与えてやろうか? 減給だけで済むと思うなよ‼︎」

「ひ、ひぃい⁉︎」

「おいゴラ逃げんな!」

 一目散に逃げ出す新人を、俺は全力で追いかけた。奴には必ず頭グリグリの刑に処す。


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