裏の裏まで・・・
「実は・・・。後、もう1つあるんだ」
ん?なんだろう?しかしエイミって2人きりだとよくしゃべるよな。
「私は・・・。明後日、本国へ帰る」
「な、なんだって!?」
転校してきてからまだ1ヶ月も経っていない。一体なぜ・・・
「本来、私はお前を殺すために日本に送られた。それが失敗したのだから連れ戻されるさ」
・・・連れ戻される?
「・・・しゃべりすぎたな。ではもう会う事はないだろう・・・」
と言うとエイミは後ろを向いた。
「お、おい! エイミ!」
引きとめようとするが、エイミは何のためらいも無く去っていった。
「え~・・・。実はエイミさんがアメリカに帰国することになりました」
あれから2日経ったHR。エイミの姿はもうない。少しだったとは言え、クラスメートが居なくなるのは少し、寂しい気がした・・・。エイミは夜の便で帰るらしいと言う話も聞いたが、言いたかった事はもう全て言ったつもりだ。
帰り道、いつもの4人で歩いていると・・・
「あ、あれ? あれってエイミさんじゃ・・・?」
比較的目の良い実理が林の方を指差して言う。
「はぁ? どこだよ?」
「居るわけないでしょ? 今頃は空港・・・」
と美長が言うと・・・
ダンッ!
『!?』
銃声にその場に居た全員が驚いた。このとき俺はすでに反射的に林へと向かって走っていた。
「エ、エイミ!?」
林の中には腕を押さえて座り込むエイミの姿があった。そこからは赤い・・・。血が出ていた。
「くっ・・・。す、杉下!?」
驚くエイミの前には見た事の無い大柄の男が居た。年は30代前半。筋肉質な体をしている。
「誰かな? 君は・・・」
その男は片手に拳銃を握っていた。
「お、お前! 何してるんだ!」
俺は叫ぶが・・・
「友達か? エイミ?」
「い、いえ・・・。ただのクラスメイトです・・・」
エイミはなぜか敬語で答えた。なんだ・・・?この違和感は・・・。
「ほう・・・。本当か?」
「ほ、ホントです・・・。お父様・・・」
!?お、お父様!?ってことは父親か?一体どうなってんだ・・・。
「おい・・・。なんで自分の娘を撃つ・・・?」
俺は湧き上がる怒りを必死に抑えつつ聞く。男は・・・
「・・・娘か。失敗作は必要ないのでね」
失敗作・・・?こ、こいつがか?俺は衝動的に殴りかかろうと走りこむ準備をした。しかし後ろから
「まって! 勇人!」
いつの間にか3人が来ていた。まったをかけたのは朝日だ。