市立病院にて
~その数時間後、市立病院~
「・・・ん」
こ、ここは・・・?病院みたいだな・・・。外を見るともう空は赤く染まっていた。
「おや、目を覚まされましたか?」
「? え~と・・・」
誰だろう?この人?
「私はここの院長ですよ」
「はぁ・・・」
いかん。まだ頭がボーとしている。たしか・・・。!
「み、美長は!? ・・・っ!」
体を起こそうとしたら背中に激痛が走った。きっと刺された所だろう。
「おやおや。まだ安静にしていてください。・・・美長とは、あの小さい少女のことですか?」
「え、えぇ・・・」
あいつはどうなったんだ?まさかあいつもエイミに・・・
「ご安心を。あの子は何もされていませんでしたよ」
「よ、よかった・・・」
ふぅ、と安堵のため息をつく。すると・・・
「しかしその大ケガなのに他人の心配ですか? その美長という子が止血をしていなかったら本当に危なかったんですよ?」
そ、そうなのか・・・。たしかに刺されたんだから相当な出血だったのだろう。しかしあいつが止血までしてくれてたのか。
「そうですか。でもあいつは他人ではありませんよ」
「失礼しました。・・・ご兄弟ですか?」
「・・・まぁ、そんなもんです」
なんと説明したら良いかわからなかったのでとりあえずそう言った。
「しかし、いったい誰に刺されたのですか? 美長さんにも聞きましたがひどく混乱しておられ、見ていないと・・・」
そうか。あいつは見ていないのか・・・。ならここは
「実は俺も見ていません。すいません」
と答えた。
~そしてその夜~
「勇人! 大丈夫!?」
ガラッと勢い良く病室のドアを開けたのは美長だった。その後ろに実理と朝日も居る。
「おぉ。もう平気だ」
実際、けっこう深くまで刺されたのだが運良く臓器などに傷はつかず美長が止血してくれたおかげで失血死も逃れている。
「ほ、ホント? 勇人がそういうなら・・・まぁいいけど」
「うん。大丈夫だ」
「あ、あのさ・・・。来てすぐ言うのはなんだけど・・・」
と実理が言い出した。
「ん? なんだ?」
「勇人は誰に刺されたか見たの?」
こ、この話か・・・。ここはとりあえず・・・
「それがわからないんだ。いきなり後ろから・・・」
「でも、勇人。私に『来るな!』って言ったよね?」
なっ!こいつは何でそこだけ覚えてるんだ!?
「い、いや~・・・。それは・・・」
と俺が戸惑っていると実理が
「美長。男子には男子の事情って物があんのよ」
「そ、そうなの?」
いや。ないだろ。別に。
本日2話目ですが
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