先祖
君たちは昔の偉人たちを知っているだろうか?この人たちがいなければ今のこの世はないだろう。
俺の名前は杉下勇人、偉人の話をしているが別に俺の先祖が偉人というわけではない。
「ちょっとー!勇人まだ~?」
「少し待てよ・・・」
こいつの話をするためにこの話をした。こいつは織田美長少々めずらしい名前だがこれは歴史的有名人、織田信長の子孫で信長から1文字とったらしい。
「遅いなー!学校に遅れるじゃない!」
「悪い悪い・・・」
「帰りに何かおごりなさいよ!」
「なんでそうなる・・・」
信長の性格を受け継いでいるのかけっこうせっかちだ・・・。しかしホントに時間がギリギリだ。
「急ぐか、遅刻する」
「だから最初からそう言ってるじゃない!」
・・・朝からうるせーな
なんとか学校に間に合い、朝のHRが終わった。ちなみに俺たちは高校1年、大東高校に通っている。
「今日もギリギリね。ホント進歩なし・・・」
ため息交じりに言ってきたのは豊臣実理、織田の次は豊臣だ。さすがに今は昔の家来の関係はないし、親友ぐらいの仲良さだ。
「あっ!実理~!」
「おはよう、美長」
2人の話を聞きつつ俺は帰りになにをおごらされるのか・・・と考えていた。
特に今日は何も無く学校が終わり、いつもどおり美長と家へ向かっていた。ちなみに俺たちは俗に言う
幼馴染というやつだ。
「さすがに少し寒くなってきたね~」
と美長が言い出したので俺も答える。
「そうだなぁ、さすがに10月、もうすぐ11月だからな」
そろそろ夏服しまって冬服にしなきゃだな~
「・・・勇人?」
考えていた俺を美長が見ている。っていうかこいつ小さいなぁ~、150cmあるか?ぐらいだし。・・・知ってたけど。
「こ、今度は何ジロジロ見てんのよ」
「いや~、美長はやっぱり小さ・・・」
ドガ!
「ぐっ!?」
いきなり俺の腹部に激痛が走った。なにごと!?
「小さくて悪かったわね!」
美長はなぜか怒ってしまった。身長が低いことを気にしてたっけ?というか身長のこと言ったのになぜ胸を手で覆っているんだ?
まだ痛む腹をかばいつつ帰宅。
「ただいまぁ~」
と俺。
「ただいま~」
と美長。なぜ美長がただいまなのかは、深い、深い、ふか~い事情があるのだ。で結局俺と美長は
『同居』という形になっている。このことがクラスの連中にバれると少々、というか普通にやっかいだ。
この織田、性格はあれだが見た目は・・・まぁ俺が言うのもなんだがすごくかわいい。普通にそこらの雑誌に載っているモデルよりかわいい。小さいからキレイというよりかわいいのがいいと思う。
「ねぇ勇人、今日のご飯何?」
「ん?今日は・・・何がいい?」
まぁ何かはわかってるけど・・・
「グラタンがいいな!」
「はいはい・・・」
やっぱり・・・こいつに聞くと絶対『グラタン』だ。
「早く作ってよ!」
ちなみに家事は全て俺がやっている。さすがにもう高1なので洗濯物ぐらいは自分でやってほしいんだが・・・
もう一つ。美長の家事スキルは0に等しい。前にゆで卵を作らせたら電子レンジが大爆発を起こした。
なぜレンジなのかは予想がつくだろう・・・
俺がグラタンを作っている間、美長はと言うと・・・自由そのものだ。好きなTVを見たり、ゲームをしたりと遊んでいる。まぁそっちのほうが静かでいいんだけどな。
そろそろできるから食器などを美長に用意してもらおう。
「お~い美長、そろそろできるから準備して・・・?」
「スースー・・・」
美長のやつ寝てるし・・・。こいつ寝てるとホント美少女だなぁ。・・・何も言わなかったらだけど。
などと考えていたら・・・
「ん~、ふぁ~」
かわいいあくびと共に美長が起きた。そして俺の顔を見ている。
「・・・何よ」
急にしゃべられたので俺はびっくりして・・・
「い、いやなにも・・・じゃなくて!夕食できたぞ?」
しかしずっと一緒に住んでたからあんまりわからなかったけど、最近美長って急に女っぽくなったよな・・・
胸のほうはまだまだだけど・・・
「ふっ!」
「ぐはっ!」
いきなり溜め0のフックを俺に決めてきた。なんだ!?
「な、なんだよ・・・」
「いやらしい目でどこ見てんのよ・・・?」
少し顔を赤らめてこっちを見ている。俺ってそんなにいやらしい目をしてますかね?
「どこも見てねーよ!それより早く食卓につけ」
「うん」
はぁ~、さっさと食べよ・・・
食べてる間、美長と今日あったこと・・・と言ってもほとんど同じ行動しかしていないのでテキトーな世間話をしていた。
「それでね~、実理がね・・・」
俺が作ってやったグラタンを食べながら学校で聞いたウワサ話をしている美長。ホント楽しそうだな。ここで1つ疑問があるだろう。家事は全て俺がやっていると言ったが親は・・・いない。俺の両親は俺が産まれて5年後に事故で亡くなった。新しい薬品の開発の仕事をやっていたのだが、その研究所がなぞの大爆発を起こした。爆発の原因は今もわからない。なにしろ研究所が全部ふっとんだからな。まぁ今となってはどうでもいいことだ。
「ねぇ、聞いてる勇人?」
「ん?あぁ・・・」
「ちゃんと人の話聞きなさいよね!」
「はいはい・・・」
お前が言うことか?と思うがもちろん口に出さない。またフックをくらいたくないし・・・。
「ごちそうさま~」
「ごちそうさま」
2人して食べ終わったので食器を片付ける。洗うのは・・・もちろんこの俺だ。
「お~い美長、先に風呂入れ」
「は~いよ」
よし。さっさと美長を風呂に入れて俺はゆっくりしよう。女の風呂は長い・・・と言うか美長は長すぎる。1時間以上なんて普通だしな。
「ふ~、少し寝るかな・・・」
ソファで寝転び目を閉じた。
・・・それから何分かたったころに
「うきゃー!」
「!?」
な、なんだ!?美長の声は・・・脱衣所から、か?イヤな思い出しかないがとりあえず行くか・・・
「お、おい!どうしたんだ!?」
脱衣所の扉の前(とうぜん閉まっている)から声をかけると・・・
「ゆ、勇人ー!!」
「!?」
な、なんと裸の美長が飛んできた!なにごと!?
「な、な、なんだよ!」
「む、む、・・・む」
なんだ?『む』?こいつ壊れたか?
「虫!がぁ!いるの!」
あ~、虫か。こいつ大っ嫌いだったな。とその前に・・・
「おい美長、いつまで俺にだきついてんだよ・・・」
「?・・・!」
一瞬考え込むなよ。美長はバッと手を離し、その場にヘナヘナと座り込んでしまった。
「虫ってどこだよ・・・?」
ってか女のシャンプーかなんかの香りがしてイヤなんだが・・・するとコソコソ・・・
「?」
クモ・・・だ。しかもすごく小さい。虫ってこれか?
「・・・」
俺はパタパタとクモを逃がすように窓に追いやって外へ出す。美長はと言うと、座ってボー然としている。
「おい、もう大丈夫だぞ」
「え?・・・あ、うん」
「ってかな、あんな小さいクモなんかで大声出すなよ」
近所迷惑だろうに・・・
「大きさは関係ないでしょ!あんな、む・・・昆虫を私のお風呂に入れないでよ!」
大きさ関係ないならあんなに驚かなくていいし、虫と昆虫を言い分ける必要があったのかと思うし、そもそも俺ん家の風呂だし、とまぁたくさん言いたいことはあるんだが・・・
「美長。いろいろと言いたいことはあるが2つ言う」
「な、なによ」
座ったまま美長はこっちを見上げてくる。しかも少し目が潤んでる。・・・そんな目でこっち見るな。
「1つ・・・まず服を着るかバスタオルをつけてくれないか?」
「!!」
ガス! ドン! ピシャ!
俺が殴られ 壁に激突 美長がドアを閉める音
・・・いってーな。こっちは見ないように必死でお前から目を反らしていたのに。
「あと1つ・・・」
「な、なによ!」
これはこれで大切だから言っておこう。
「クモは昆虫じゃないぞ?」
「今、言うことかぁー!」
バン!とドアを開き、俺に飛び掛ってくる。おい!や、やめろ!
「私はてっきり謝るとか、心配してくれるとか思ってたのにー!!」
な、なんだこいつ!?言ってることが意味不明だ!しかもあわてて着たのかパジャマが・・・すごくきわどい感じになってるぞ!?
「お、おい!美長!」
だ、ダメだこいつ何も聞いてねぇ!今、美長は小さい体を生かして倒れた俺に乗っかって叩いている状態だ。そして暴れているので・・・パ、パジャマが
「美長っ!」
大声で言ってもまだ続けるので・・・仕方が無く俺をを殴る美長の両手首を持ってひっくり返す。結果的に俺と美長はさっきと逆の位置になった。なってしまっていた・・・。
「あっ・・・」
そして今、俺は気付く。俺は美長の手首を押さえつけている。対する美長はもう半泣き、というか泣いてる。一言で言うと俺は美長の上に乗っかって美長を床に押さえつけているのだ・・・。
「あ~、え~とこれはだな・・・」
なんとか弁解しようとする俺。しかし・・・
「し、死ね~!」
見事に右ストレートが決まった。俺には弁解するチャンスも無いんですか?
「くっそ、いてて」
俺は気絶していたらしい。今は深夜の2時。ずっと脱衣所の前で倒れていたのでけっこう寒い。
「ソファで寝るか・・・」
今さら寝室へ行く気にもならないのでソファに向かう、が先客がいた。美長だ。
「はぁ・・・」
ため息をつきつつそばへ向かう。美長は小さく毛布に包まっていた。そして頭をなでてやると・・・
「ふにゅ~・・・」
こうして見てるとなんか妹みたいだな。こんな凶悪な妹はいないと思うが。そしてそのまま俺もそばに眠った。
初めて投稿させていただきました。野球人です。
書くのは予想以上に難しくいろいろと試行錯誤をしました・・・。
しかし読んでくださった皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。
更新は遅いと思いますがよろしくお願いします。