高まる愛と⋯⋯
新キャラが、最後の3行で出てきます!!!
『美影はん。零様は、美影はんのことが大好きや。だから、自分が足引っ張ってるとか思う必要ないで』
基本的にふざけている夜叉だが、今は違う。
美影の気持ちを真っ直ぐ受け止め、彼女に寄り添う努力をしている。
神という超越した存在の中に、人間でいう“恋”や“家族の絆”などの概念は存在しない。
しかし、夜叉は本当に美影を慕い、家族のように大切に思っている。
美影によく話し掛けるのは、彼女の事が大好きな証拠だ。
愛しているのは零一人だが、美影も夜叉を大切に想っている。
過酷な日々の中で、彼の明るい性格と冗談に何度も心を救われてきた。
「ありがとう」と返事をすると、美影は夜叉が持ってきた麦茶を一口飲んだ。淹れたての冷たい麦茶は、稽古の後の疲れた体に沁みる。
「…⋯今の幸せを大切にしよう」
気持ちの整理をつけた美影は、桜のネックレスを丁重に取り出し、身に付けた。
首元でピンクダイヤと真珠が優しく光り、小さな桜が舞った。
零と二人で見つけた小さな幸せが、その優しい光の中で微笑んでいる。
苦しい十年を乗り越えて見つけた“希望”を映し出している。
美影は揺れる桜をそっと握った。
いつか零に素敵なプレゼントを贈りたいと考えていたその時、着信音が鳴った。画面を確認すると、「零くん」と表示されている。
「零くん。仕事は大丈夫だった?」
『ああ。俺も中学生たちも無事だ。……美影、今日は家でずっと一緒に過ごそう』
大好きな声に心が弾むと同時に、なぜか目が潤んでしまった。
『最近二人の時間をとれなかったから、今日は美影の話をたくさん聞きたい』
「ありがとう。でも、零くんの話も聞かせてね?」
恋人でもあり、神在の先輩でもある零に今の気持ちを話そう。
勿論、頼りたいからではない。
鬼化という制約がある中でも彼を支えて、神在として人々を救える方法を一緒に考えたい。
それが、一番の願いだった。
「ふわあ〜ねむいよ⋯⋯」
白銀色の髪をもつ何者かがあくびを一つし、気だるげ声でそう言った。
「美影ちゃんなのか、般若なのか、ちゃんと確かめないとね」




