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百妖の桜巫女 ~神宿し乙女は、愛を知る~  作者: 今際ゆき
零れ桜は、恋人たちを祝福す

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26/39

高まる愛と⋯⋯

新キャラが、最後の3行で出てきます!!!

『美影はん。零様は、美影はんのことが大好きや。だから、自分が足引っ張ってるとか思う必要ないで』


基本的にふざけている夜叉だが、今は違う。

美影の気持ちを真っ直ぐ受け止め、彼女に寄り添う努力をしている。


神という超越した存在の中に、人間でいう“恋”や“家族の絆”などの概念は存在しない。

しかし、夜叉は本当に美影を慕い、家族のように大切に思っている。

美影によく話し掛けるのは、彼女の事が大好きな証拠だ。


愛しているのは零一人だが、美影も夜叉を大切に想っている。

過酷な日々の中で、彼の明るい性格と冗談に何度も心を救われてきた。



「ありがとう」と返事をすると、美影は夜叉が持ってきた麦茶を一口飲んだ。淹れたての冷たい麦茶は、稽古の後の疲れた体に沁みる。


「…⋯今の幸せを大切にしよう」


気持ちの整理をつけた美影は、桜のネックレスを丁重に取り出し、身に付けた。


首元でピンクダイヤと真珠が優しく光り、小さな桜が舞った。

零と二人で見つけた小さな幸せが、その優しい光の中で微笑んでいる。

苦しい十年を乗り越えて見つけた“希望”を映し出している。


美影は揺れる桜をそっと握った。

いつか零に素敵なプレゼントを贈りたいと考えていたその時、着信音が鳴った。画面を確認すると、「零くん」と表示されている。


「零くん。仕事は大丈夫だった?」

『ああ。俺も中学生たちも無事だ。……美影、今日は家でずっと一緒に過ごそう』


大好きな声に心が弾むと同時に、なぜか目が潤んでしまった。


『最近二人の時間をとれなかったから、今日は美影の話をたくさん聞きたい』

「ありがとう。でも、零くんの話も聞かせてね?」


恋人でもあり、神在の先輩でもある零に今の気持ちを話そう。

勿論、頼りたいからではない。

鬼化という制約がある中でも彼を支えて、神在として人々を救える方法を一緒に考えたい。



それが、一番の願いだった。




「ふわあ〜ねむいよ⋯⋯」


白銀色の髪をもつ何者かがあくびを一つし、気だるげ声でそう言った。


「美影ちゃんなのか、般若なのか、ちゃんと確かめないとね」






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