表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百妖の桜巫女 ~神宿し乙女は、愛を知る~  作者: 今際ゆき
零れ桜は、恋人たちを祝福す

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/39

二人の幸せと葛藤

本当にすみません。

中々調子が戻らず、千文字以上書くのがしんどい日が続いています。

それでも、定期的に投稿を続けていきたいと思います。

『美影。妖怪のことは俺に任せて、安心して学校へ行ってくれ』


同棲生活を始めて一週間が経った夜、二人で読書をしていた時に零からそう切り出された。


『もう君に傷付いてほしくない。だから、美影が抱えてきた不安を俺に預けてほしい』


零は美影の手を優しく包み込み、そのまま肩を抱き寄せた。

美影も、温かく頼もしい零の手をそっと握り返し、遠慮がちに頭を彼の肩に乗せた。


一つ屋根の下で、大好きな零と手をつないで過ごす静かな夜は“幸せ”以外の何物でもない。いっそこのまま時間が止まってくれたら良いのにと、ひそかに願ってしまった。

零に出会えたことが、美影の人生で一番の幸運であり、幸福だった。

両親と兄を失くし、閉ざされた心が、零の笑顔と言葉で溶かされていった。



零を本当に愛し、慕っているからこそ、彼への罪悪感が募っていった。



零は美影が戦わずに済むよう、これまでより多くの仕事を一人で引き受けるようになった。

酒呑童子ほど強力な妖怪は出現していないとはいえ、零にかかる負担は相当なものだった。


『零くん。私に手伝えることはない?』

『…毎日元気に過ごしてほしい。あと……時間がある時は俺のそばにいてくれ』


仕事で疲れがたまっていても、零は常に優しい笑顔を向けてくれた。疲れて機嫌を悪くし、美影に冷たい態度をとることもなかった。


――そんな零を、恋人として一番近くで支えたい。


“鬼化”というハンデが無ければ、小さな少女の願いはすぐに叶っただろう。

しかし、現実は甘くない。

戦闘に参加すれば、鬼化が進行する事は確実だ。心優しい零は一般人と美影のどちらも助けようとするだろう。妖怪の脅威から人々を守るはずの神在が、新たな危険を生むことなどあってはならない。

十年修行を積み、大抵の妖怪は瞬殺出来る実力を身に付けたのに、一番大切な人の支えにすらなれない自分に心の底から腹が立った。その原因を作った般若への憎しみも増していった。


黒条本邸から、黒条十六夜が遺した般若に関する書を持ち出し、片っ端から読み漁った。古語で書かれているので、読むには相当な時間と労力を要した。

しかし努力は報われず、鬼化を解決する術は何一つ見出せなかった。


「ごめんね……零くん」


撫子色の瞳から、涙が零れ落ち、美影の頬を静かに伝った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ