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百妖の桜巫女 ~神宿し乙女は、愛を知る~  作者: 今際ゆき
零れ桜は、恋人たちを祝福す

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23/39

黒幕

神在の最高戦力・白朧の面々をがいよいよ登場します!!!!!

あと二日ほど待っていて下さい!


20:44より前に読んで下さった皆様、申し訳ありません。「朧」から「白朧」に変更いたします。


「酒呑童子さま、啖呵を切って出て行きはったのに、無様に負けてもうたんやねえ」


「自分が馬鹿にした女に負けるとか、情けねえな」


「温羅じゃ負ける…⋯怖すぎて泣きたい……」


茨木童子、温羅、牛鬼、鬼童丸は、酒呑童子を肴に酒宴を行っていた。

閻魔殿の付近は変わらず毒蜘蛛、毛虫、百足や蝮等のおぞましい生物が蠢いている。空は血と毒を混ぜ合わせたような黒々とした色に堕ちていく。千年もの間神在を蹂躙し続けた酒呑童子の敗北によって、心なしか余計に色が黒ずんだようにも見える。


「酒呑童子様を殺めたのは可愛らしいお嬢さんではなく、桜刃家の当主のようです。彼さえ来なければ、お嬢さんを滅多刺しに……おっと失礼。寛大な私らしくない言い方をしてしまいましたね」


鬼童丸はにこやかな笑みを浮かべたまま、抑揚のない声で言った。彼の発言で、他の三体は即座に口を閉ざした。心優しい老紳士のようだが、中身は文字通りの「殺人鬼」であり、推定年齢は三千歳を優に超えている。畏怖の念を抱くのは当然ともいえる。


「鬼童丸さんはどう考えてはるん?桜刃の当主の神代は五感と思考を完全に奪うみたいやし、正面からいけば確実に…⋯」


酒呑童子をいとも簡単に再起不能まで追い込んだ零の実力を恐れ、茨木童子は珍しく自信なさげだ。温羅は相変わらずだが、好戦的な牛鬼すらも普段より覇気がない。そんな中でも鬼童丸は焦るどころか、むしろ余裕を見せている。


「簡単な話じゃないですか。桜刃零の弱点を突けば良いのです」

「弱点?アイツにもあるのか?」


盃を置き、身を乗り出す牛鬼に優しく微笑み、鬼童丸は続けた。


「黒条美影。彼の幼馴染で、今は恋人です。桜刃零の眼前で彼女を殺せば、彼は心神喪失に陥り、とても戦える状態ではなくなるでしょう。手っ取り早く串刺しにして、手足を捥いでしまえば万事解決でしょうね。それに…⋯」


鬼童丸は涼しい顔をしたまま席を立ち上がった。その僅かな動作で、閻魔殿が音を立てて揺れ、阿鼻地獄全体に全てを葬り去るような黒い靄がかかった。



「般若さんを操って黒条将彦と、その親を殺してお嬢さんの体を奪ったのは私ですから。黒条十六夜の力が……いや、この話はまた次回にしましょう」



鬼童丸は屈託のない笑顔を全員に振り撒いて、そのまま閻魔殿を後にした。

残りの三体の鬼たちは恐怖に耐えきれず痙攣を引き起こしていた。

鬼が起こした悲劇の裏にはすべて鬼童丸の綿密な計画があり、彼は洗脳にも近い形で他の妖怪を意のままに操ってきた。


彼を超える妖怪も神在も歴史上には存在しない。



仮に存在すれば、三千年の歴史が動く。



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