表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百妖の桜巫女 ~神宿し乙女は、愛を知る~  作者: 今際ゆき
零れ桜は、恋人たちを祝福す

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/39

約束と愛言葉〜弍〜

「ありがとう。零くん」


美影への深い愛情を込めた、最高のプレゼントだった。零の温かな思い遣りが、孤独に耐えてきた美影の心を優しく溶かしていく。

ネックレスは、お世辞抜きで美影の好みにぴったりだ。

が、本当に嬉しいのは、零が真剣に考えて選んでくれたことだった。美影は箱から丁寧に取り出し、ネックレスをつけた。


「こんな綺麗なもの……本当にもらっていいの…⋯?」


大好きな零からの贈り物に感動するあまり、美影の撫子色の瞳は潤んでいた。

今までのような悲しみや苦しみの涙ではなく、本当に幸せな嬉し泣きだ。零はそんな彼女を愛おしく思い、そっと抱き寄せて頭を優しく撫でた。

人が来ないので、二人は少しの間そのまま抱き合って、心と身体が癒されていくのを感じていた

「美影。これから先、君との時間を沢山作りたい。早く家に帰って、君とくだらない話をして笑いたいと思う。…⋯ただ、毎日無事に帰って来られる保証はない」


神在は、常に想定外の事態を予測して最善の行動を取る義務がある。その「想定外」は勿論悪い意味だ。酒呑童子を圧倒した零が負けることはまず有り得ないが、「絶対」はない。

元々規格外の存在である妖怪のことだ。いつ零を超える強力なものが出現するか分からない。二人は、その「想定外」によって日常が破壊される恐怖を誰よりも理解していた。



「そのネックレスは、“約束”だ。何があっても必ず君の元へ帰る。絶対に一人にはしない」



零は美影の手を包み込むように握った。何の罪もない少女は、愛する家族を失った上に、般若という未知の恐怖に苦しめられてきた。

――もう二度と、彼女に寂しい思いをさせない。必ず般若から解放して、幼き日の笑顔を取り戻す。

それが、亡き将彦の願いであり、零の一番の幸福だった。


美影は零の手をしっかりと握り返した。不安が完全に消えた訳ではない。今も心配事は尽きない。神在として生き続ける限り、常に命の危険に曝されると言っても過言ではない。そんな理不尽だらけの世界でも、心から信じられるものはある。


―目の前にいる、愛する人の真っ直ぐな言葉だ。


「私も絶対にあの家に帰って、零くんに会いたい。“約束”する。あと…⋯」



「大好き」



桜吹雪が、二人を祝福するように舞い、夜風と共に儚く去って行った。


「絶対に俺の方が好きだ」

「私の方が好きだもん」


世界一幸せな口喧嘩をしながら、二人は手をつないで桜の絨毯の上を歩いて行った。


――命ある限り、この人の隣にいよう。

今この瞬間、二人はそう誓った。


たくさんの“愛言葉”は、不器用で愛おしい二人にかけがえのない“幸せ”をくれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ