第2話 これまでの経緯
事の発端は、一年前。
ネモフィラ、ジェシカ、カメリアが二年生。アイリスとジニア、ピオニーが入学し、王族の婚約者として親交があり、姉妹のように仲が良いネモフィラとアイリスの縁で6人での親交が深まっているなか。
6人の婚約者たちが一人の男爵令嬢に恋をしていると学園中の噂になっていた。
渦中の男爵令嬢はアイリス達と同い年のモーレン男爵令嬢。ピンク色の髪と瞳の小柄な令嬢だ。
この男爵令嬢は何かと噂になる人物で、入学早々第一王子と側近に道案内をされただの。廊下で足を掛けられ転ばされただの。教科書を破かれただの。私物を紛失しただの。いきなり後ろから突き飛ばされただの。
普段過ごしていたら何も問題がないことでも、男爵令嬢にかかれば大事になるらしい。関わりたくない貴族令嬢からは遠巻きにされていた。
しかし、そんなモーレン男爵令嬢を放っておけないのか、彼女にはいつも男子生徒が付いて周っていた。
それは独身の生徒だけではなく、婚約者のいる身でも駆け付けたいようで。
グループワークを数人の男子生徒とだけで行っただの。同学年の婚約者のいる男子生徒と二人きりで試験勉強をしていただの。休日に教師と街に出かけていただの。腕を怪我して男子生徒に保健室へ横抱きで連れていかれただの。距離が近く、逢い引きしている相手がいるだの。
この噂の中には6人の婚約者も当事者になっていた。
勿論、現を抜かす婚約者たちをこの現状のまま黙っている令嬢たちではない。
男爵令嬢と婚約者に距離の近さを注意したり、二人だけで出かけない様に苦言を呈したりして窘めたのだ。
独身の生徒でも目に余る場合は貴族子女として声を掛けたりしていた。
しかし、当事者の男爵令嬢と男子生徒は聞く耳を持たなかった。
それどころか、更に仲を深める様になってしまった。
半年が経つ頃には、人目を気にせずに触れ合ったり、愛を囁くようになっていた。
まるで本当の恋人同士のような態度に、女子生徒は嫌悪感を顕にし、そして男爵令嬢に対しての遠慮もなくなった。
恥をかかせたり嘘を教えたりと実害はないものだったが、彼女たちらしくない行動が多く見られるように。
ネモフィラは婚約者として苦言を呈し、令嬢たちが余りにも頭に血が上っているようなら仲裁したりと目立つ行動はしないが悩める令嬢の為に動いていた。
ジェシカも同様に行動していたが、ネモフィラと違うところは婚約者が二人きりで出掛けたことだろう。それも何回も。
直接言おうにもすぐに曖昧に流されてしまい、家を通して会おうとしても断れてしまう始末。
ジェシカは改善を諦めてしまった。
カメリアとピオニーは自身の婚約者には何も言えず、成り行きに身を任せることしかできなかった。
ジニアはいつもと変わらない様に見えたが、軟派な婚約者に慣れていても腹が立つようでよく婚約者の部屋に押し入っているようだった。
遂に先月、アイリスの婚約者の第二王子、イディオスが男爵令嬢の側にいるようになり、それを知ったアイリスが男爵令嬢に宣戦布告をした。
私の婚約者に関わらないでいただきたい、と。
しかしアイリスの思いも空しく、男爵令嬢は理解ができず、イディオスにも執り合ってもらえなかった。
逢い引きをしていることを知り、我慢の限界を迎えたアイリスが侯爵家の情報網を駆使し見つけたのが相談すると必ず成功すると言われる占いだった。
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