3話
漣「終」
聖雅「こんなことがあってたまるかぁ!」
膨張しすぎた筋肉と誇りは綻び始める。そして崩壊へ進む。
漣「攻」
一瞬の殺気、体が動きを止める。
漣「滑」
踏ん張っていた足が滑る。転倒する。
直後顔面に激痛が走る。
そして全身の骨が折れるのを感じる。
漣「後四戦」
聖雅はもうすでに力が入らない。体が変な方向に向いているのかも知れない。それくらいまでの威力。
まるで相手にならない。
『漣教官が一本でしょうか。早く我強院さん、立ち上がってください』
体が動かない。指の一本にも力が入らない。
漣「早、立試」
髪を掴まれ、無理やり立ち上がらせられる。
踏ん張るだけで精一杯だ。一瞬でも気を抜けば意識ごと持っていかれる。
身体強化。選ばれたもので最強の称号を欲しいままに生きてきたのに、急に来た一人の教官如きに負けてい
いはずがない。
『2本目始めてください』
我強院、この世界で最強の人間だけが名乗ることを許される名。
聖雅「ま、負けてたまるかぁ…」
漣「貴勝不」
耳元で聞こえる。先ほどまで目の前に居たじゃないか。何でだ。これほどまでに理不尽なことがあっていい
はずがない。
聖雅「ちく…」
漣「黙」
死んだ。それほどの衝撃。
意識が刈り取られた。もう、体は動かないだろう。
―
人の声が聞こえる。
『漣教官の御慈悲で治療してもらいました。本気で戦って欲しいとのことです。まだ3本目が残っているので
せめて10秒は保ってくださいね』
どこかで聞いたような言葉だ。そうだ。俺が他の教官に行った言葉だ。これが絶望。
漣「一」