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ある天才科学者の手記  作者: テスト
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file.005 量子脳コンピュータ?

研究室内、夢藤博士は中心に立ち、彼の新たなプロジェクトの説明を始めた。前回のダークエネルギーからまだ日が浅いが、彼はまた別の挑戦へと乗り出していた。


「皆さん、今回のテーマは『量子コンピュータ』」夢藤博士は言いながら、ホワイトボードに量子ビットのイラストを描き始めた。


「従来のコンピュータはビットを使って0や1で情報を表現しますが、量子コンピュータは『量子ビット』という新しい情報の単位を使います。

量子ビットは0と1の両方の状態を同時に取ることができるのです。これが量子コンピュータの最大の特長であり、これにより計算速度が飛躍的に上がることが期待されています」


博士は続けた。

「ただ量子ビットを安定して扱うのは難しく、これまでも多くの素材や方法が試みられてきました。私たちが今回挑戦するのはシリコンの特定のアイソトープを利用する方法です」


「具体的には、シリコーンの中にシリコン-28とシリコン-29のアイソトープを組み込みます。シリコン-28は核スピンを持たない安定なアイソトープであり、これをベースとすることで環境ノイズから量子ビットを守ることができます。一方、シリコン-29は核スピンを持っており、これを量子ビットとして利用するのです」


研究室の一角には、改造した3Dプリンターが鎮座している。そのプリンターには二つの供給タンクが装備されており、一つは核スピンを持たないシリコン-28を含むシリコーン、もう一つは量子ビットとしての機能を持つシリコン-29を含むシリコーンが入っている。


「この3Dプリンターを使って、二つの異なるシリコーン材料を交互にまたは特定のパターンで積層することで、多層的な量子ビット構造を作り上げます」


博士は3Dプリンターのスイッチを入れると、機械は静かに動き出した。

繊細な動きでシリコンのアイソトープを使用した新たな量子ビットの多層構造の原型が形成されていく。

数時間後、初めての量子ビットプロトタイプが完成した。

夢藤博士は研究室のメンバーたちに向かって微笑みながら、多層量子モジュールをコンピュータに配線した。


ディスプレイには複雑な計算結果が瞬時に表示され、その処理速度の速さに、研究室のメンバーたちは驚きの声を上げた。


量子コンピュータの起動に成功した夢藤博士は、さらなる挑戦を試みることを決意した。その次のステップは、人工知能の導入だった。


「量子コンピュータの計算能力と、先進の人工知能技術を組み合わせることで、まさに未来の技術を手に入れることができるだろう!」夢藤博士は興奮気味に宣言した。


彼が考えたのは、自身の思考パターンをベースにした人工知能を、この量子コンピュータに組み込むというものだった。量子コンピュータは特定の初期状態にセットアップされ、量子ゲートを用いて計算される。夢藤博士は、自身の思考パターンのデータベースを量子コンピュータの初期状態として設定することを検討していた。この初期状態から、量子計算を行いながらAIの学習モデルを進化させることで、まさに「夢藤博士の人工知能」を実現しようと考えていた。


研究室のメンバーたちは、夢藤博士のこの挑戦を見守っていた。

一部のメンバーは、この実験に疑念を抱いていたが博士の熱意に押されて実験の続行を決定。


多層量子モジュールの初期状態を設定するため、夢藤博士の思考パターンを取り込んだ人工知能のデータセットを利用した。

このデータセットに基づいて量子ビットの状態が初期化され、夢藤博士の思考パターンが量子コンピュータにインプットされた。


思考パターンを読み込みが進行し、完了のサインが点灯すると、コンピュータはコンソールに「思考中」と表示した。


しかし、数分も経たないうちに、多層量子モジュールから異常な音が発せられ、機械内部からは白煙が立ち上がり始めた。


「停止!停止!」と叫ぶメンバーたち。


しかし、もはや遅し。「ボン!」という音とともに、多層量子モジュールから小さなきのこ雲が上がった。


夢藤博士は驚きの表情でその光景を眺めていた。

しばらくの沈黙の後、彼は苦笑いを浮かべて言った。

「どうやら、私の思考パターンは、この量子コンピュータを凌駕していたようだ」


そしてまたこの研究も飽きてしまったようだ。

ソファーの薄博士は、また優雅にコーヒーを飲んでいる。

なぞだ。。



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