6話「最低な再会です」
数日後、イリッシュは本当にやって来た。
「久々だなアイリーン」
「……お久しぶりです」
そして案の定再会することとなってしまった。
でも今は一人じゃない。私の隣にはクリフィスがいてくれている。だから怖くはない。私は一人じゃないのだとそう思えるだけで自然と心に芯が生まれる、どこまでも強くなれる。
だから大丈夫。
堂々としていられる。
「どこまで落ちぶれたかと思って楽しみにしていたが、意外と元気そうだな」
どこか不満げなイリッシュ。
相変わらず感じの悪い男だ。
「で、話があるのだが」
「……何でしょうか」
「アイリーン、国へ戻ってはこないか?」
彼の口から出たのは意外な言葉だった。
「ウルリエが王家と揉めて駄目になった。そこでお前に戻るチャンスをやろうかと思ったのだが……どうだろうか」
「え。な、何を言って……ウルリエ、って……彼女の身に何か?」
「罰として暴力を奮われ壊れてしまったんだ。彼女はもう俺のことすら分からない。馬車のおもちゃで遊ぶことしかできないような状態だ。それにボロボロで身体もどうしようもないしな」
ふん、ざまぁ。
何をやらかしたのか知らないが自業自得だ。
……なんて言ったら悪女と思われてしまうそうだが、どうしてもついそんな風に思ってしまう。
一度生まれた憎しみはそう易々とは消えないものなのだ。
「だから戻ってこい、アイリーン」
「嫌です」
即座に答えた。
「なっ……!?」
イリッシュは驚きと共に眉間にしわを寄せる。
彼の背後にいる従者もまた不快そうな顔をしていた。
「お断りします」
敢えてもう一度、はっきりと告げた。