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12わ

「はいっ!それじゃあヒーラー 様加入希望で、張り紙出しときますね!あ!うっかりしてました!」


てへ、と自分の額を小突くと、受付嬢は舌を出すように笑みを浮かべる。


「私、ペテロって言います。お兄さんの名前と『ハニカム』見せてもらえますか?」

「もちろん。私の名前はクリストス、ハニカムはこれだ」


ハニカムとは。

冒険者なら誰でも持っている六角形型のペンダントで、頂点から時計回りに『せいめい』『ちから』『すばやさ』『まりょく』『きようさ』『うん』を示している。


所持者のステータスに応じて中に入っている液体が広がるので、つまるところレーダーチャート式にステータスを可視化してくれる器具ということだ。


これがあるので、種を食べるとステータスの上昇がすぐにわかるのだ。


「わぁ、ずいぶん年季の入ったハニカムですね〜」

「新調したのは100年ほど前だった気がするからな」

「あはは!それくらい大事にされてるんですね〜。それで、ステータスのほうは〜…」


人の身には100年という月日は冗談と捉えられてしまうほど長い時間のようだ。

なるほど、勉強になる。

人との出会いは、かしこさの種を食べる以上にかしこくなれるな。


「……え?」

「どうした。これが私のステータスだが」

「いや、うーん?こ、壊れちゃってるみたいですね〜!測定用のハニカム渡すので、持ってもらっていいですか〜?」


そう言って、ペテロはお盆くらいもあるハニカムをカウンターの下から取り出した。


「承知した」


ひょい。

ぎゅいーん。


手に取るや否や、ハニカムは満タンになった。

ステータスがハニカムで推し量れなくなって、いったいどれほどの月日が経っただろうか。


「…う、嘘ですよね?」

「いや、こんなもんだよ」

「六角の内、一角でも触れれば天恵ギフトがもらえると言われているハニカムが…こんな…!?」

「ギフト、あったなそんなものが」


もはやおまけ程度にしか考えてなかった。

六角のうち、一角でも触れれば歴史に名を刻むレベルの大英雄になれるみたいな感じだったような気がする。


種を育てる上で有効なギフトではなかったので、当時は結構ガッカリしたような覚えがある。


「うーん、さすがにこのステータス…どう募集していいか…」


長物を持て余す人みたいに、ペテロが唸り声を上げる。

私とこんなやりとりをしながらも、他の客からの注文にも応対している、優秀な子だ。


「こっちにも酒ー!」

「は、はい、よろこんでー!」


ハニカムとは、それ自体が身分証のようなものである。

再び冒険者になるのは過去の経験を生かしながら布教活動ができる絶好のチャンスかとも思ったが、こんな現実離れした身分証ではまともなパーティが組めるとも思えない。


仕方ない。

これ以上いてはペテロに迷惑をかけてしまうし、そっとお暇しようか。

銅貨をテーブルの上の置き、椅子から立ち上がった、そんな頃だった。

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