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おとろし山のオニさん

作者: 琴咲薫子
掲載日:2022/11/23

初投稿作品です。

よろしくお願いします。

 おとろし山には、オニが住んでいました。

 山には、本当は別の名前があったのですが、村人たちがその山を見るたび

おそろしやおそろしやと口にするので、いつのまにかおとろし山と呼ばれる

ようになったのです。山に行くことは禁じられていたので、誰も近づく者は

いませんでした。

 そんなある日のこと。

 村の子供たちが遊びに夢中になり、気がつくと知らないところにいました。

 ここはどこだろうと辺りをきょろきょろながめていると、どこからか笑い

声がきこえてきたのです。子供たちは、声のする方へ近づきおそるおそるし

げみの間からのぞいてみました。

 すると、そこにはクマとすもうをとっている子オニがいたのです。

 子供たちはびっくりしましたが、そばで応援していたリスやイノシシ、シ

カもそれ以上に驚いて、人間の子供が来たとわかるとあわてて逃げてしまっ

たのです。

 クマは、怒ったようにうなりはじめました。

 子オニは、クマのしっぽをつかむと、うなるのをやめさせたのです。

 子オニの頭には三角にとがったツノ、口の両端には小さなキバが二本のぞ

いていました。赤い顔に笑いを浮かべ

「えへへ、こんにちは」といいました。

ですが、子供たちは悲鳴をあげながら、先を争って逃げ出したのです。

その中で足のおそいたろ吉が石につまずいてたおれ、わらじがかたっぽぬ

げてしまったのです。ひざからは血が流れ、着物も汚れましたが、たろ吉は

そのまま走って山をおりました。


 おとろし山へ行ったことで、子供たちは、親にこっぴどくしかられました。

 たろ吉も二度と行ってはいけないと、お灸をすえられたのです。ですが、

じいちゃんのあんでくれたわらじが気になって、夜もねむれませんでした。

「よし、さがしに行こう」

翌日。

たろ吉は、一人で山へ向かったのです。こわごわと森の中をすすみ、き

のうの場所は、どこらへんだったかとさがしていました。

そして、道の真ん中にある太く大きな木の枝にぶら下がっているかたっぽ

のわらじを見つけたのです。

「あっ、おいらのだ!」

 背の高い木にのぼろうとしたとき、根元でくうくう寝ている子オニに気づ

きました。びっくりしましたが、ぐっすり寝ている様子に安心すると

「オニっ子が目をさまさないうちに。そーっと、そーっと……」

 たろ吉は、静かに木にのぼりはじめたのです。

 片足ははだしのままだったので、移動するたびごつごつする幹や小枝にひ

っかけたりして、だんだん痛くなってきました。がまんしてのぼっていまし

たが突然つかんでいた枝が折れ、たろ吉はわあっとさけびながら下に落ちて

しまったのです。


 どのくらいねむっていたのか、気がつくとお日さまは西の空にかたむきか

けていました。

「いたたたっ……」

 お尻をさすりながら起きあがると、どこからかいいにおいがただよってき

ました。よく見るとすぐそばに、白い花が一輪置いてあったのです。

 それは今まで見たことのないきれいな花でした

 わらじもいつのまにか横に並べて置いてありました。

「あっ、木の上にあったおいらのだ……」

 たろ吉は知らなかったのですが、その花は、里ではすっかり見かけなくな

った薬草だったのです。

 辺りには、誰もいませんでした。でも、たろ吉にはわかったのです。

 (そうか。あのオニっ子がおいらのわらじをとってくれて、花をくれたん

だ……)

 遠くの方からカラスの鳴く声がきこえてきます。吹く風もさむくなってき

ました。

「うちにかえろう」

 たろ吉は大事そうに花をかかえ、わらじをはくと、にっこり笑いました。

 もう前ほどおとろし山や、オニがこわくありませんでした。

「おーい、オニっ子やーい!」

 たろ吉の大声は、山のてっぺんまでとどくようでした。

「おいら、明日山へくるから、すもうをとろうな!」

 返事はありませんでしたが、何度も山へ向かってさけびました。

 すると、強い風にまじって、くすくす笑う声とともにいいよときこえてき

たのです。

「また明日なーっ! 花をありがとう!」

 たろ吉は、元気に山をおりて行きました。

 木のかげから顔をのぞかせた子オニは、ぴょんぴょんとうれしそうにとび

はねながら、すみかへかえって行ったのです。

 さらさらともみじが舞う季節のころ。

 たろ吉の顔は、夕日をあびてまっかっかにそまっていました。


                      おわり


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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです。 たろ吉くんにはステキなお友達ができたようですね。 [気になる点] オニやキバ、クマをカタカナにするなど、読みやすさに配慮しているのがいいです。 反面、小学校では習わない漢…
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