表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能の精算者  作者: 晴玉
5/5

第4章:修行①


ザッザッザッザッ!


「ハァハァ…なんで…どうしてだ…」


俺は今、見知らぬ森を全速力で走っている。

どうしてこうなっているのか


--遡る事数時間前


「おはようシン。よく眠れたか?」


「ああ。少し不安もあったがよく眠れたよ」


「不安??なにが不安だったのじゃ?」


「いきなり力の修行と言われても…

検討もつかないし、俺自信戦えるとは思えない…」


「ふぉっふぉっふぉっ。そんなことか!

シンよ。お主は自分がどれほど強いか分かっておらぬようじゃのう。記憶の影響かのぅ。

(やはり気づいておらぬか。力のコントロールを教えてやらねば大変なことになりかねぬ)」


「そうなのか?オースティンは見ただけでわかるのか?それもスキルか何かなのか?」


「そうじゃ。これは鑑定という魔法でのぅ

対象の情報を知ることができるのじゃ」


「それは俺も使えるのか?」


「鑑定は誰でも使えるわけではないからのぅ

ただ、シンは使えるじゃろうな」


「それは…………おもしろそうだ」


??????

なぜ俺は面白いと感じたんだ?

なんだこの高揚感は………


「では、シンよ。今日から修行を始める

外にでよう」


俺は一瞬ボッーとしていたが

オースティンの後ろをあわてて着いていき

外にでた。


「早速じゃが。シンの力を見せてもらおうか」


「力の出し方とかなにも分からないんだが…

どーしたらいいんだ?」


「ふむ。まずは魔法の説明をするから

よく聞いておくのじゃ。

この世界には多種多様な魔法があり、魔法の強さによって階級があるのじゃ」


「魔法は下から、下級→中級→上級→超級→絶級とあってのぅ。絶級が使えるのはこの世で数える程しかおらぬ。して、今からシンに向かって下級魔法を放つ」


「おいおい。それは…大丈夫なんだろうな?」


「ふぉっふぉっふぉっ

ちゃんと加減はするから大丈夫じゃよ」


「…………」


悪い顔してるのが目をつぶってたとしても分かるほど伝わってくる


俺…死なないよな………


「では、シンよ。行くぞ!

まずは避けてみるのじゃ!」

『火下級魔法〈ファイアロー〉』


オースティンが魔法を口走ると

炎の矢が2本空中に形成され、ゆらゆらと留まり

一気にこちらに向かってきた


「くっ!」

はやい!!

来るのは分かっていたが足が思うように動かず

横に転んでしまい

ハッ!と振り返ると自分がさっきまで居た位置に

炎の矢が刺さり燃えていた。


「冗談だろ…なんだよこれ…」


当たれば即終了の現実を今改めて認識した。

心の中で、頭の中でこれは夢なんじゃないかと思っていた。

だがそんな甘い考えなんて消し飛んだ。

これは「現実なんだ…」


ドクンッ!

ドクンッ!

くっ、心臓が…どうなって…


そこからオースティンが

「ほれ、1本目は上手く避けたみたいじゃの!

ただ、戦闘中に相手は待ってくれぬぞ??」


そう言って2本目が唸りをあげて

迫ってきた。


シュパっ

「!?!?!うわああああ!!!!」


急な心臓の痛みと

まだ頭の中で考え事をしていたせいで反応が

遅れてしまい炎の矢が肩をかすめていった。


痛い痛い痛い

熱い熱い熱い


…懐かしい。


かすっただけなので肩は燃えておらず

血がポタポタとでていたが頭は…………

ひどく冷静で

懐かしさを感じる


ドクンッ

ドクンッ

ドクンッ!?



--弱いやつは


--何もかも奪われる


--力で蹂躙されるなら


--世界を壊してやる


「………る………てやる」


「(シンの雰囲気が変わった?!

禍々しい力を感じるわい…これは?!

はるか昔に封印したはずの魔王に似ておるな…

まだまだ発展途上じゃが、ちと骨が折れるわい)」


「……壊……して………やる…」


「?!闇の力にのまれそうになっておる!!

まずい!!〈シャイン・テラアルク〉」


オースティンは咄嗟に魔法を練り上げ

光の上級魔法を’’’手加減無し’’’で放ってしまった


光が収束すると天使が現れ

シンに向かって光のエネルギーが直撃した


「しまった!!シーンッ!!!!」


「ふん…!!」

オースティンの放った魔法が

シンの手の一振りで消え去った


「?!?!

そんな簡単にマジックキャンセルできるはずがない。ましてや魔法力を一切感じられなかった!

どーなっておるのじゃ…」


オースティンはシンが無事だったことで

安心したが同時に困惑していた


(見たことも聞いたこともない力じゃ

まるで魔王じゃのぅ……

シンを止めるにはもう超級を使うしかない…

それでも止められるかどうか……)


オースティンは覚悟を決め

魔法を練り上げつつ

シンから距離をとったところでシンの力が弱まっていった。


「うぅ…俺は壊されない……奪われない…もう…」


そこで

シンのあったかなかったのか分からない意識が

途絶えた。


「シン!?おい!シーン!!!!

〈シャインヒール〉」


オースティンは急いでシンに近寄り

回復魔法をかけると

シンの荒れた呼吸が正常に戻っていき

禍々しい力が薄くなっていった。


「なんとか…なったわい…ふぅ」


安心したのかオースティンも横に座り込んでしまった


(全く…

心配かけよる小僧じゃわい。

しかしあの力…わしの魔法が完全に消え去っておった。

さしづめあの力は……〔崩壊〕じゃな)


使い方を間違えるととんでもないことが起きるな

と、オースティンは冷や汗をかきながら

横で呑気に寝ているシンが目覚めるのを待っていた。


-そして数時間後目を覚ましたシン


「はっ!?俺は……生きてるのか…」

自分の体を確認すると傷も消えており

生きてるのを実感した


「ふぉっふぉっふぉっ。ようやく目覚めたのぅ」


「オースティン…俺は…」


「ふむ。シン覚えてるか?さっきの戦闘中

まるでなにかに取り憑かれたみたいじゃったぞ?」


「薄らと覚えてる…

ハッキリとは言えないが…痛みを感じてから

自分が自分じゃないみたいだった…

いや、あれが本来の自分…なのか」


ただ分かることは

すごく高揚感を味わっていたことだ

俺は…戦うことが好きなのか?

また思考がトリップしていた所で


「ふむ。記憶が関係しておるのは確かじゃな。

とにかくだいたいシンの事がわかったわい!

では、今から修行を再開するぞ?

体はわしが治しといたからのぅ

ふぉっふぉっふぉっ」


と、まさかの鬼コーチ

今の今まで気を失っていた人に言うセリフなのか?


「おい冗談だろ?今まで倒れてたんだぞ?」


「だからわしが治したと言うたじゃろ?

実際痛みも何もないじゃろて

若者は動ける時に動く!!!!!

さあ!外に出るぞ」


こうして外に出された俺は

まず始めに基礎体力作りからやらされる事になった。


「この森の中は夜以外は比較的安全じゃ

なので夜まで毎日走り込みじゃ!!

ちなみにサボろうとしたり、立ち止まって5秒経つと重力が倍になっていく魔法をかけるから無駄な抵抗はしないようにのぅ?」


そしてオースティンは〈グラビテーション〉と唱えてから家の中に入っていった。


「ちくしょーが!!!!やってやるー!!!」


こうして地獄のランニングが始まったのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ