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無能の精算者  作者: 晴玉
2/5

第1章:異世界


「ん……」


暖かい、、、

頭もかなりスッキリしている。


そこで自分がベッドの上で寝ていた事に気づいた。


ここまでぐっすりと眠りにつけたのは

どれぐらいぶりだろうか。


少しぼーっとしながら自分の状況を思い出した。


「たしか…家の前で苦しくなって倒れたのか…」


歩き続けたせいで疲れもあり

そのまま倒れたのだろう。


ガチャ


「?!?!」


「気がついたか?

気配を感じて外に出てみたら

家の前で倒れていたんじゃからな」


ドアを開けて入ってきたのは

優しそうな雰囲気の老人だった。


ただ全身から汗が止まらない。

自分の中の警戒レベルが

この老人がただ者ではないことを教えてくれている。


「お主。名前はなんという?」


「………分からない」


正確には思い出せない。

名前はたしかにあったはずだが

思い出そうとすると身体が拒絶する。


「ふむ。記憶喪失か

やっかいじゃの〜」


「………なにも思い出せないんだ」


「そうか。その様子だとここがどこかも

分からないじゃろうな」


うーん。と考える老人を前に

自分が普通に話せてることに驚いていた。


この老人からは敵意を…感じない

そこから安心感を感じているのだろう。


「とにもかくにもまずは飯を食べながら

話すとするかのぅ」


「立てるか?」


「ああ大丈夫だ」


そう答えると老人は手招きしながら

外に出るように促した。


「家の中は狭いから飯はいつも外で食べるように

しておるのじゃ」


「たしかに少し狭いな」


「外はいい。空気が美味しい所で食べる飯は

最高じゃよ」


外に移動すると、木で作ったテーブルが置かれており

そのテーブルの上には色とりどりの野菜と果物が

キラキラと輝いていた。


今すぐにでも食べたい衝動にかられた直後

目の前の老人と目が合ってしまった。


「なんじゃ。お主。腹を空かしておったのか?」


「訳も分からずこの森に居て

そのまま歩き続けていたから…」


「フォッフォッフォッ

よいよい!若者は遠慮せず食べるといい」


老人がそう言い終わると

俺は無我夢中で野菜と果物を口にいれていった。


「……美味しい」


こんなにも美味しい物を久しぶりに食べた為

涙が出そうになった。


「ゆっくり食べなさい」


ゆっくりと言っているが

すでにもうテーブルの上には果物しか残っていなかった。


「ふぅー」


「満足したかい?」


「ああ。ありがとう」


「では、本題じゃ。」

「お主、、この世界をどこまで覚えておる??」


「……………なにも…覚えていない」


「そうか、わかった」

「では、少し長くなるが説明しようかの」


「この世界の名はアースミルド」


「アース…ミルド…」


「そうじゃ。聞き覚えは無さそうじゃな」


「ああ…」


そこからこの世界の事を教えてもらった。


この世界は力が人の価値を決めており

大陸によってその力が異なっているらしい。


中央にある最も大きな国-〈アシュタリス〉


南東にある高い塔が目印の-〈パラミシア〉


そして南西にある-〈ダングラスト〉


この3つの大陸で形成されており

それぞれの国が武力抗争を繰り返しているらしい。


「中央の大きな国…が1番強いんじゃないのか?」


「ふむ。たしかに大陸としては1番大きいが

3つの大陸に力の差はほとんどないんじゃよ」


「どういう事だ?」


「それは使う力が均衡しておるからじゃ」


中央の国アシュタリスでは〖魔法〗という物があり

その国で生まれた者は体内に魔力を持ち

魔力を消費して多種多様な魔法を使うらしい。

イメージとしてはファンタジー小説にでてくる様な

物だろう。


……とんでもない所に俺は来たらしい。


頭の整理がつかないまま

老人は説明を続けた。


南東に位置するパラミシアでは

生まれつき〖スキル〗というものを授かり

そのスキルが非常に強力で魔法になんら引けを取らないらしい。

スキルは生活用から人を容易に殺す能力等

幅広く存在する為、アシュタリスも攻めあぐねているらしい。


全く…ゲームみたいな世界だな…


「攻めあぐねている1番の理由はあの高い塔じゃ」

「ほれ、見えるじゃろ?」


そう言って指さす方を見るとたしかに薄らと

天まで届きそうな塔が見えた。


「あれが…パラミシア…」


「そうじゃ。あの塔は別名『アウェイク』」


「アウェイク…どゆ意味だ?」


「覚醒じゃよ」

「あの塔ではスキルを使う者たちが強さのランキングを競い合って、皆ランキングトップを目指しておるのじゃが、ごく稀にスキルが覚醒する者が現れよる」


「覚醒すると強力なものばかりでのう。魔法大国アシュタリスでも手に負えんのじゃ」


「だから均衡しているのか」


「そうじゃ」


「ほんとにここはゲームや小説に出てくる異世界みたいだな…」


「ゲーム?なんじゃそれは?」


「いや、、すまない。こっちの話だ」


あまりにも飛んだ話すぎて

つい自分の知識にある言葉を口走ってしまった。

これからは…気をつけよう…


「そして最後がダングラストじゃ」


「またその国にはなにかあるのか?」


「…………知らんのじゃ」


「………ん???」


「詳しく知らんのじゃ」


「どういう事だ?」


「ダングラストは未知の国…あそこに踏み込んで

生きて帰った者はおらんと聞く」

「強さが全てのこの世界においてダングラストは

最終試練といったところじゃろうな」


「最終試練???なんだそれは…」


「古くからの言い伝えじゃよ」

〔この世界を統べた者達よ

苦難を乗り越えた者

天に登り詰めた者

海を制した者

空を支配した者

そして、力で世界の頂点に立つ者

彼の地にて、我は待つ〕


「ダングラストはよほどの馬鹿か命知らずな者以外は 絶対に近寄らん」


「お主もダングラストにだけは近寄るんじゃないぞ」


「ああ…分かった」


「ふむ。大まかにこの世界について話したが

もうこんな時間じゃ。今日はゆっくり休もう」


ありがたい…

正直理解が追いついてなく、頭の中がぐちゃぐちゃだ

今日は休ませてもらおう。

明日からの事は明日考えよう…うん。


「お言葉に甘えさせてもらうよ」


そうして家の中にもう一度入れてもらい

暖かいベッドに横になると

今日の事を少し思い出したが

肝心な老人の名前を聞き忘れていた…

明日起きたら聞こう。


そこで意識がおちていった。


ここまで読んでくれて有難うございます!

次回『過去編』To Be Continued

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