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1.美醜逆転の異世界

軍服とは、やはり程よく鍛えられた身体にあうのかもしれない。ずらりと整列した制服姿の初々しい女子とメンズを設置された台から見下ろし思わず微笑んでしまう。いや、心の中では将来美人さんに、またはイケメンになろう子達を見つけたりしてカッコ可愛いわー!とテンションは上昇中である。


──ああ、表情が表に出ないタイプでよかった。



「ではお願い致します」

「あ、はい」


防衛大臣のような役職の男性に促され本日正式に入団した騎士達に向け両手を広げる。


「祝福を」


洗脳された宗教集団の長みたいな仕草を自分でしていて鳥肌がたつが、これは悲しい事に現実だ。ただし、異世界という場で。


その証拠に、私の手のひらから鱗粉のような光る粉が、いえ、夜の蛾ではないから!と職場であるスーパーの衣類売り場で上司となるオッサンが我々パートに蝶々ではなく夜の蛾と言ったのを根に持つわけではないが。


いや、やはりムカつく!


「それくらいで」

「はっ、はい」


我に返れば、ブワッと広範囲に粉を撒き散らしていたらしい。慌てて収まれーと念じる。


はぁ、しかしこの子達も有事とやらの際には戦うのよね。こんな若いのに。いや若いからこそだろうけど。


怪我しないでね。死なないでよね。


キラキラとした光を嬉しそうに見上げる若者達を見てちょっと本気でそう願った。


「疲れましたか?」

「いえ」


イケメンの護衛を直視できるはずもなく前を向いて与えられた自室に足を向けるも無意識にため息がでた。


いきなり飛ばされたこの世界は、なんと美醜逆転の世界だった。まあパラダイスよ。だけど素直に喜べない。


何故ならば。

私は、42歳のオバサンで、いや、都合いいわと叫ぶくらいこちらに来た瞬間若返っていた。


うん。いいよね。体も軽いし。肩こりも腰痛も楽になった。


でもね。


私には、旦那と子供がいるのだ。


「はぁ」


また、ため息をついてしまった。




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