街へ
盗賊団を殲滅したナナリーは満面の笑みで言う。
「マスター!敵は排除しました!」
「う、うん、ありがとう」
「ふふふ、マスターは私が守ります!」
暫くの間、僕はナナリーに抱っこされてされるがままになった。
しかし、ナナリーがあんなレーザービームを出せるとは知らなかった・・・。
落ち着いたら詳しく聞く必要がありそうだ。
ナナリーが盗賊団を殲滅したことは、ロイド達にとても驚かれた。
なんて言い訳をするかと考えていたのだが、どうもこの世界には、魔法使いがいるらしく、ナナリーは魔法使いであると思い込まれたみたいで、自然と受け入れられた。
それより、僕はこの世界に魔法があることにすごく興味を引かれた。
元の世界に無かったものに興味を惹かれるのは科学者として当然である。
街についたら、調べてみよう!
そして、現在、僕は南の商業中継都市と言われる『ガラガン』に到着していた。
「ここが、『ガラガン』かー。街というか都市って扱いなんだー?」
「そうですね。王都『オリジン』を中心に東西南北にそれぞれ商業中継都市がありまして、それらは経済の中心にもなっていますので、街というより都市という位置づけですね。」
ロイドさんは、王都オリジンとガラガンを中心に商いをしている商人らしく、色々と詳しいようだ。
「マスター、まずは宿を探しましょう。その後、冒険者ギルドに登録に行きましょう。」
通常、都市へ入るには身分証明が必要なのだが、僕達はもちろん持っていない。
ロイドさんの口利きで都市へ入ることは出来たが、早急に身分の証明証をつくる必要があるためである。
「あなた!ロゼくん達には助けていただいたお礼をまだしていませんでしょう? 家に泊まってもらいましょうよ!」
「おお!そうだな! ぜひそうしよう! どうだろうか? ロゼくん、ナナリーさん」
マリーさんとロイドさんのお誘いは、渡りに船だ。
なにせ、僕達は、この世界のお金を持っていないのだから。
「いいんですか? ぜひお願いします! いいよね? ナナリー?」
「はい、問題ありません。」
「じゃあ、今日は家で無事にガラガンに到着できたお祝いね! うふふ」
マリーさんは嬉しそうに言う。
もう、陽も落ちかかっているので、冒険者ギルドには明日行くことにして、僕達は、ロイドさんの家に向かった。