プロローグ
西暦2300年、人々がアンドロイドと共存する時代。
数多のアンドロイドが製造され、人々の生活をサポートしていた。
アンドロイド達はプログラムされた思考なら可能であるが、人と同じように思考することはまだ出来なかった。
とある研究所の1体のアンドロイドを除いては・・・。
とある研究所
「ナナリー、今日も時空間転送の実験を始めるよ〜?」
12歳の科学者、亜麻色の髪、オレンジ色の瞳の少年『ロゼ』は言う。
「マスター、実験の準備はできております。」
そう答えるのは、茶色の髪、桃色の瞳をもつ、18歳前後の女性型アンドロイド『ナナリー』である。
彼女は、稀代の天才科学者と言われた父さんが造った、世界で一体しか存在しない人と同じように思考することができるアンドロイドである。
父さんは、いくつものアンドロイドを造っていた。
その中で、いくつもの偶然が重なって、造ることに成功したのが『ナナリー』であった。
彼女は今、僕の研究助手であると同時に、身の回りの世話をするメイドのような仕事をしている。
「よし、実験を開始するよ〜!スイッチON〜!」
巨大な装置が重力場を発生させて、激しく動き出す・・・。
ウィーン、ギギギ、ガガガ、ウィーン・・・・
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!イジョウジタイハッセイ!イジョウジタイハッセイ!
「マスター!装置が暴走しています!」
「マ、マズイ!緊急停止!」
ウィーン、ウィーン、ウィーン・・・
「マスター!装置は停止しましたが、発生したエネルギーが拡散されていません。このままでは危険です!」
「ど、どうしよう!?このままでは爆発してしまう・・・」
「仕方がない、反位相のエネルギーで相殺する! すぐに設定を変更するよ!」
ピコピコピコ・・・
これで、設定は問題ないはず。
「ナナリー! もう一度、装置を起動するよ!」
「了解です!マスター!」
ピコピコピコ・・・
「よし、これでエネルギーを相殺できるはずだ!起動!」
ウィーン、ギギギ、ガガガ、ウィーーーーーーーーーン!
「!!!!」
「時空間ホールが開いた!?」
なるほど、反位相のエネルギーをぶつけることで・・・ぶつぶつぶつ・・・
「マスター! 考察している場合ではありません! 吸い込む力が凄まじい勢いで上昇しています!」
まずい!このままだと、時空間ホールに吸い込まれてしまう!?
そう思った時に、僕の体は宙に浮いた。
だ、ダメだ!吸い込まれる!
「マスターーーーーーーー!」
最後に聞いたのはナナリーの叫び声だった。
そして、僕は時空間ホールに吸い込まれた・・・。