美しい、美しい、私の絵。
私が描いたあの絵。
ああ、なんて美しいんだ!
レオナルドの「モナ・リザ」よりも、
モネの「睡蓮」よりも、
ゴッホの「星月夜」よりも、
ピカソの「ゲルニカ」よりも、
ほかのどんな名画よりも、
私の絵は美しい。
ルビーよりも、
サファイアよりも、
エメラルドよりも、
ダイヤモンドよりも、
ほかのどんな宝石よりも
私の絵は美しい。
この世にあれ以上に美しい存在などない。
今の私にはそう断言できる。
それなのに、
それなのに!
なんなんだ!
この気持ちは。
心の中のもう一人の私が叫んでいる。
でも、認めてしまってはいけない気がする。
認めてしまえば、今までの努力をなかったことにしてしまいそう。
ああ、だめだ。
思ってしまった。
この作品は、
この作品は!
なんでこんなに見覚えがあるんだ!