序章 そして物語は動き出す
俺の名前は坂上塔矢。
19歳で一応大手IT企業で働いている。
自分で言うのもなんだが頭がいい。
IQは180もある。
周りから次期社長とも言われてる。
だが性格は合理主義であまり人付き合いは上手くはなかった。
『もう少し笑顔になったらどうなの?塔矢は仕事の評価は高いけど人としての評価は低いよ?また部下をクビにしたんでしょ』
会社では近寄ろうとされない俺に対して遠慮なくぶっちゃけている彼女は俺の数少ない人の一人である。
名前は七塚菜緒
『俺は会社の忠告を無視して無断欠勤ばかりするクズにこれではクビになると忠告しただけだ。向こうが勝手に勘違いしているだけだ』
『ま、塔矢はもう少し愛想を付けるべきだよ』
愛想なんてつけてなんの意味があるんだ?
まあいい。いつものあいつの気まぐれだろう。
俺はそう思い俺の唯一の娯楽である本を買って家に歩いて帰っている。
『今日はあの小説を買おうとしたのになぜ神話の本なんて買ったんだ?』
本屋でなぜか買うはずだった小説に目が行かず不思議と世界中の神話の本を買ってしまったのだ。
例えるならなにか不思議な力で自分の考えを変えられたかのような感覚だった。
『あれ?塔矢じゃん。なにしてんの?』
そこには会社帰りであろう菜緒がいた。
『今、帰っている最中だ。おまえこそなにしてたんだ』
『私も今帰ってる最中だよ〜。私たち気が会うね♪』
なぜか菜緒は嬉しそうに言っている。なんでだ?
『じゃあどうせなら俺の家によるか?)
『え…う、うん!』
菜緒は顔を赤くして言った。
たぶん男の部屋に入るのは初めてなのだろう。
すると向こうからキャァァァァァァァァ!!という叫び声が聞こえた。
『ど、どけぇ!!刺すぞ!!』
ナイフを持った男が菜緒に向かってナイフを刺そうとしている。
『菜緒ー!!!!』
い、いてぇ……
ナイフに刺されるとこんなにも痛いのか…
『な、なんで…なんで私を庇ったの!?
塔矢死んじゃうの!!?』
菜緒はすでに顔が涙で埋め尽くされている。
『俺がこんなことするなんてな…この世にそこまで生に対しての執念はないしいい機会だ…』
『バカなこと言わないで!!!私は塔矢がずっと好きだったのに!!頑張って鈍感すぎる塔矢にアピールしまくったのに気がついてくれなかった時どんだけ腹たってたかわかる!?私は塔矢にまだ何も言われてない!!まだ…塔矢に言えてもないのに…死なないでよ…』
俺は…どうすればいいのかわからない…
『塔矢…言いたいことは沢山あるけれどこれだけ言わせて…ずっと好きでした…ありがとう…』
『菜緒…俺も…好きだった…………俺…は…死にたく…ない!!』
俺は死んでしまうのか!大切な人を残して…死にたくない死にたくない死にたくない…次やり直せるなら機会がもしあるならもう後悔したくない…
だれか…助けてくれぇえええええ!
願いは聞き入れました……
あなたを神が泣き、神が笑う狂乱の世界
『ディレイモワール』に招待しましょう…
だ、誰だ…ディレ…なんだ?意味がわからん…
もう意識が…ふざけるなよ…
そうして俺は謎の言葉を最後に死んだのだ。