第一章6 《秋田弁?》
俺はこの子に名前を付けたし、エリヴィラ、頭の中で考えば考えるほどこの名前はしっかりくる!
「じゃ、エリヴィラ、ひとつ質問したいです、愚問かもしれないが・・・風呂に入る前に、体を洗うのできるよね?」
「Да」
またしてもンダが聞える、やっぱ秋田弁だよね?
「分かった、じゃ俺は風呂の準備をしていく・・・」
俺は立ち上がった時、急にエリヴィラがなにかを言った。
「Подожди」
うん・・・やっぱり分からないが、この状況を見ると、彼女は俺を「待って」という意味を言ったよな? つまり――
「ええと・・・一緒に行かない? お風呂の準備」
そして彼女は強くうなずいた。
どうやら俺が正解な質問をした、ふう~ よかった・・・正解で。
こうしてエリヴィラは俺の後ろに付いて、浴室にお風呂の準備をした。 俺はひとつひとつでエリヴィラにシャンプーがどこにあるか、教えていた。
エリヴィラもすぐにこれくらいのことを一目で覚えた、賢いやつだ。 そして教えているうち、風呂の準備が終わった。
ここはお湯の温度さをこの子に合っているのかを調べる。
「エリヴィラ、このお湯はこのくらいでいい?」
そしてエリヴィラが手を少しだけお湯に指を入った、そして――
「Ничего」
以前と似たような言葉が言ったような気がする・・・確か、「大丈夫」だったよな? それにしても、意外だな。 ロシア人もこのくらいの温度でお風呂に入っているの? 外国人のことはあんま知らないから、少し失礼な発言をしてないよね?
そして俺はエリヴィラがシャワーで体を浴びる前に、彼女の体に纏っている包帯を解いた。
「よし! これでオーケーだ。 俺はリビングで待っているから、君はここにそのボロイ布を置いて、体をちゃんと洗って、ゆっくり風呂に入れよ」
俺は浴室の扉を閉めた時、エリヴィラはいきなり俺を抱きついた。
「うおお?!! どうしたの? エリヴィラ」
「не оставить меня в покое」
にゃに?! 今度は長い言葉を言った! これはさすがにわから――
彼女は俺の制服を強く掴んだ、そして僅かが、泣き声は聞えていた。
まさか・・・泣いている? もしかして、エリヴィラはまだひとりになるのは怖がっているの? だからこうして俺を止めたのか? じゃー俺はどうする? まずエリヴィラを慰めよ・・・
「大丈夫だ、前にも言っただろ? 俺はここにいって、だから安心して」
それでもエリヴィラは泣き続けた。
あれー? これだけじゃダメ? じゃどうすればいいの? 考えろ・・・俺に残された選択肢は・・・
考えて考えて、そして見付けた答えは――
「んじゃ・・・一緒にお風呂に入ろう・・・っか?」
なんてことだ!!! よりによってこれ?! 一緒にお風に入る?! これは絶対に嫌われるー!!!
そう思い込んだ俺は、ひとつ、気づいたことがある。 エリヴィラは泣くのを止めた、もしかして・・・まさか――
「Да!」
涙は少し顔に残っているが、カワイイ笑顔で返事をした。
マジー? 本当にいいの? 一緒にお風呂に入るだぞ? まだ知り合ったばかりの男と一緒にお風呂だぞ!? でもあの眩しい笑顔・・・マジだ。 これは所謂、妹はお兄ちゃんと一緒にお風呂に入りたい言うわがまま? ふん、やれやれだぜ。
そして俺はタオルと必要なモノを揃って、一旦、自分の部屋へ戻った。 もちろん、エリヴィラも一緒に来たのだ。 制服を着替えた後、少し自分の部屋を片付いた。
もちろん、エリヴィラも俺を手伝えをした、なんていい子なんだろ・・・俺は感動過ぎて、涙が出ちゃうかもしれん。
「Shirou......」
今・・・俺の名前を・・・呼んだ?
「な、なに? エリヴィラ」
「Что это?」
エリヴィラは床に落ちた本を拾った、本というより、マンガだ。 なんで俺のマンガは床に落ちたの? ここ最近はあんま読んでねえし・・・あ、健次のやつだ・・・きっとそうだ、あいつめ。
「これは《マンガ》と呼ぶんだ。 ここに書いているタイトル、読めるの?」
って・・・なに言っての俺?! 読める訳ねえだろ!
「ジョジョの・・・奇妙・・・な・・・冒険・・・?」
えっ?! 今・・・なんて言った・・・?
「エリヴィラ・・・日本語の文字、読めるの?」
「Да, немного」
そして俺にロシア語で返事をした、ごめんねエリヴィラ、君がなにが言っているのか、さっぱりわからねえ。 でもそんなことより、この子・・・エリヴィラは日本語の文字が読める、しかも漢字を読めた。
驚いた、日本語喋れないのに、文字が読める、ちょっと矛盾しているね。 落ち付け、ここは冷静にいままであったことを少し整理しよ、エリヴィラは――
1.親は知らない。
2.自分の名前が知らない。
3.ロシア語で喋る。
4.日本語は理解している。
5.基本生活の要素は覚えている。
そして――
6.日本語の文字と漢字が読める。
この六点はいままで集めた確実な情報だ、でもきっとエリヴィラはもっと驚くべきことがあるはず。 なにかがまだ見付けていないのはず。 それは何なのかはまだ未知数だ、でもそんなことより、今はもっと大事なことがある――
「な、エリヴィラ。 この家には君に用の下着がないんだけど・・・俺が小さい頃のパンツを・・・穿く?」
エリヴィラは俺をジーっと見た、ちょっと痛い! それもそうだ、いくらなんでもこれはやり過ぎだ! もうダメだ、軽蔑する目がこっちに見て・・・いる? あーれ?
「Ничего」
軽蔑するところか、カワイイ笑顔で返事をした。 め、メガミだ~
「ほ、本当にいいの?」
「Да!」
ここで秋田弁で返事をした、でもその笑顔は消えないまま俺に返事をした。 ま、眩しい~
そして俺は《古い衣装》から適当にパンツを持ち出し、エリヴィラに渡した。
「風呂を上がった後、これで少し我慢しろ」
「Спасибо, папа」
今度はすぱなにかの後、なにか別の言葉が言ったが、聞き逃した。 エリヴィラは俺にお礼(?)をした後、俺は笑顔で彼女の頭を撫でた。
そしてエリヴィラは「えへへ」で笑った。 ちょっと不思議な気分だ、なんと言うか・・・幸福感? っとなんか違うし・・・なんだろ? 言葉が見つからない。
それより、部屋の片付きは・・・もう終わったか~ 少し汗をかいた、これで風呂に入る理由は出来たみてえだ。
「エリヴィラ、そろそろお風呂に入ろう」
「Хорошо」
え? はら、ええ? 今なんて言った?! まあ、ここは「分かった」という解釈で認識しよ。
こうして俺は自分の部屋から出た後、エリヴィラもびっしりと俺の後ろで一緒に出た。 部屋のドアを閉めた後、ゆっくりと階段を下りて、浴室へ向かった。




