第一章1 《いつも通りの朝》
俺は雪月花詩狼、一介の普通の高校二年生だ。 普通に暮らしたい、普通に彼女と付き合いたい(欲しい!!)、普通に仕事をしたい、普通に結婚したい、等々……それは俺が求めてる生活。
それでもよくテレビで色んなニュースが見られる、殺人事件とか、銀行の強盗事件、そして今や話題になっているある事件――《子供誘拐事件》だ。 数ヶ月前、俺の家の附近もあった……でも俺には関係のない話だ。
今は学校へ向かう途中、このクソ坂を登ったらすぐ目の前は校門がいる。
坂はとてつもなく長いが、自転車で登ると案外楽勝って、昔入学式の翌日、自転車で登校したクラスメイトが言った。 それでも俺にとっては苦しい坂だ。
「クソ! なんで俺はこの学校を選んだなんだろ?」
答えは実に単純でアホな理由……「家に近いから」っと思ったんだ。 ちなみに俺は運動にちょっと苦手だ。
――あともう少しだ。
そして約三十秒後、荒い息でようやく校門に着いたら、いきなり高速な何かが俺の頭を向かってきた。
「うおおっ!!」
その何かが俺の頭上を擦りぬき、俺は奇跡的にそれを一瞬はやくかわして、少し後ろへ下がった。
――いったい誰だ! こんなふざけた真似をした!? そしてよく見たら、そのなにかがただの……足? もしかして俺、襲われている?! でもいったい誰がこんなことを?
気になった俺は、視線を俺に蹴ろうとしていたやつの顔をみ……た……。
「あっ……」
俺は唖然にしか反応できなかった……俺を蹴ろうとしていた人物が、ひとりの女の子。
「よくそれをかわしたな」
女の子は足を地面に強く踏んで、地面にあったわずかの砂とほこりを足で踏んだ風圧で四方八方にまき散らした。
彼女の制服のスカートもその風圧で少し浮いた。
俺はこの人を知っている。
金髪と黒髪のダブル色のヘアーカラー、水色の瞳、外国人の顔。
――そう、俺はこの女の子を知っている……。 零香・ナイト、俺と同じ学校の生徒の二年生であり、生徒会会長でもある。 そして、俺の幼馴染だ。
「なんのまねだ! 零香!」
朝から危ないじゃないか!
「べっつに~、ただの日課よ日課」
しかし零香はあざとい知らないふりして、聞いたこともないセリフを口にした。
――日課?! これのどこかが日課だよ!
「お前の日課は俺の頭を蹴ること?!」
――こわっ!
「悪い? あんたそうなんだから、私は直々(じきじき)に鍛錬してやろうと思って、この日課を思い付いたのさ!」
零香は腕組みして、迷いのない顔つきで言った。
――マジ冗談にならないぜ、本当に首が飛んでしまうと思ったぜ……。
「なんて笑えないブラックジョークなんだろッ! 危うく頭が飛んだと思ったわよ!」
本当に間一髪でした……。
そんな俺たちの会話を聞いていた周りの生徒たちが、何人か足を止め、俺たちの周囲にどんどん集まっていく。
「ふん!」
零香が俺の言葉を無視し、俺に背を向けて学校に戻ろうとしていた。
彼女が通る道が周辺の生徒は自動的に、まるで「海を真っ二つに裂いて紅海を渡ったモーゼ」のように、学校への道が開いていた。
――このやろう……。
右拳を握って悔しそうしていた俺は、その時、あることを思い出した。
「お、おい……零香!」
俺は零香を呼ぶ、真剣に。
そしてそれを気づいた零香は少し真面目な表情で俺の話しを聞こうとしている。 雰囲気が少し真剣になった。
「なんだ?」
彼女は改めてこっちを向いてて、左手を裏にして、腰にのせた。
こうして真面目に見ている零香に対する俺は、少しビビった。
でも逃げる訳にはいかないっと、俺が自分に強くその考えを頭にあった弱い考え方を上書きして、心の中に勇気を絞り出した。
「実は俺……!」
しかし俺は緊張すぎて、零香の肩を掴んで、少し息をつまりそうな目で零香を見詰める。
「え? な、なに?!」
彼女も少し俺の行動に驚いて、動揺したに見え、彼女も俺を見つめている。
「ま、まさかここで言うの? ダメよ! みんなが見てるし……」
言葉が少し震えと付きまとって、声は少し聞き取れなかった。 顔が少し赤い、耳もだ。
彼女はただなにか言おうとしているが、でもすぐに黙り込んでて、視線をしたに向いた。
――は……そんな大層な事じゃねえし、なんで緊張しているんだ? こいつ。
「大丈夫だ、俺はただ一言を言うだけだ……」
そう言った俺は、零香の肩に乗せていた両手の力を少しだけ、強く掴んだ。
「それでもダメぇぇぇ!!!」
まだ数秒にしかた経過してないうち、彼女は大声で叫んで――、
「うわっ!!」
零香は強い力で俺を突き放して、学校へ全力で走った、それとも……逃げた?
「ま、待てぇ!! 零香!!!」
俺は床に落ちたまま手を零香の方へ伸ばし、彼女を引き留めるとしたが――、
「またなーーーーい!!!」
零香は頭を振り返ってくれなく、学校の中に走りこんだ。
――ああ~俺の最後の希望が消えていく……遠くへ走っていく……なんでそんな嫌がるの? 意味が分からない。
周りの生徒もじょじょと学校へ歩き始めてた。
そして俺が零香の行為に気になったと同時にへこんでて、路上で座ったまま考え込んでいるとき、誰かが俺の頭の上に何かを置いていた。
――この重さ……カバン? いったい誰が?
「お前、また会長に何かをしたのかい? あんな慌てての会長は久しぶりに見たぜ……」
このいかにも叩きたい口調ぶりは――、
「なんだ、健次」
カバンを俺の頭上にのせたやつは、制服の上着を腰に巻き付けて、頭の左側に三つの緑色のヘアーピンを「K」文字で組み立てて、目立たしい赤いTシャツを着ている、センスのかけらもない坂本健次である。 俺と零香の同じクラス。
「別に~、それにしても、お前はそんなに行動をする人だったのか?」
――こいつ、なにを言ってるの?
「もしかして、お前――」
健次がいきなり疑いの目で俺をにらんでいた。
しかもどんどん近づいている。
――ん?! 気づいてしまったのか?! ヤバイ! これだけは誰も知られたくないんだ!
「もういいだろ? はやく教室に向かうぞ!」
俺は誤魔化しながら立ち上がって、横に落ちていたカバンを拾って、学校へ走った。
「あ、おえ! ったく……お前が考えていることが見え見えだぜ」
そして健次も、俺が走った後を追いついた。
「遅いわ!」
というより、あっというまに俺を追い抜いた。
「うっせよ!」
――だから言っただろ? 俺は運動が苦手だって!
俺たちが学校の玄関を入った直後、チャイムが鳴った。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
――俺のクラスは2年A組だ。 学年はこう分けている。 二年生は二階、三年生は一階、そして一年生は三階。
ここで簡単な紹介をします、さっき俺を蹴ろうとした女の子は、零香・ナイト、彼女はハーフだ。
父がイギリス人と母は日本人だ、そして俺の幼馴染みでもある……彼女も同じクラスにいます。
そしてさっきの野郎は俺が中学の時知り合ったクラスメイト。 坂本健次だ、センスのかけらもないレベルは学校中でも有名だ。 性格は……外見と違い、いいやつ。
なんだかんだで、俺たち三人は意外と仲がいいんだ、少なくとも、俺はそう思ってる。
そして説明している間、授業が始まった。
先生が俺たちに背を向け、黒板に書いてる間、窓から吹いた風が優しく俺の前髪を撫でていて思わず窓の方へちらりと見た。
――今日は確か……三月十四日。 もうすぐ三年生になるのか……はやいな~、あれ? 確か今日もバイトがあったよね、ちょっとやる気がないわ……。
俺が渋々と頭を抱え込んで、視線を下へ向いて授業を聞いていた。 そしていつの間にか、一時間目の授業が終わった。
「あれ……? 俺、寝たのか?」
少し口のあたりにあったヨダレをハンカチで拭いた後――、
「ぐっすりな」
いきなり健次が俺の目の前が現れて、話しを掛けられた。
「驚いた……」
俺は平然な表情で語った。
「その割りにはあんま驚いていない顔をしているけど?」
なぜなら――、
「お前の顔を見た瞬間、眠気が消え去ったからな」
――本当だよ。
「……あーそっ! というか、お前、何か会長に言わなきゃいけないことがあるだろ?」
約二秒黙り込んでいた健次が、彼の一言で、俺は今朝の用事を思い出した。
――そう言われると、確かに……でもここで言うの? ちょっと照れくさいな~、いや! ここはチャンスだ! よしっ!
少し悩んだ俺は、心の決意をきめて、席から立ち上がって、零香に居るところへ歩き始めた。
彼女は俺の席から右後ろに座っている。 ちょうど彼女の周りに他の連中もいない、これは好機だ!
「零香」
零香の左側に着いた直後、俺は躊躇わず彼女を呼んだ。
「な、なに?」
零香を呼んだ後、気のせいだったのか、珍しく零香のやつがビクッとした。
しかしそれはどうでもいいことだ、俺は零香に用があるんだ。 それは――、
「今朝はごめん!」
零香に謝ることである。
「えっ?」
零香は戸惑い反応の声をした。
俺は頭を下げているので、彼女がどんな顔をしたのかは知らないが、声を聴くだけでなんとなく想像できた。
「あんな強引な方法で頼んだら、嫌だったよね? 本当にごめん!」
俺は頭を下げたまま、頭の上に両手を合掌して、再び謝る。
「いいよべつに、ちょっと驚いただけ……んで? 久々教室内で私を呼んだ理由は今朝のことを謝ることだけ?」
声が明らかに怒ってない、むしろ嬉しいの声が聞こえて、俺は頭を上げ、そこには大丈夫と手を振って、優しく微笑んでいる零香がいた。
その瞬間、俺は珍しく感動した。 彼女に、俺の大事な幼馴染みに。
――やっぱり零香はいいやつだ! 普段はあんな感じだけど、本当は物凄く優しい女の子が知っている、なぜなら……幼馴染みですから!
本当に自慢する幼馴染みだ……俺たちは近所ではないが、うちの両親と零香の両親は同じ学校の卒業生であり、親友でもある。 そのおかげで、俺と零香はこうして出会えたんだ。
っといけない、今は零香に大事なことを伝えなきゃいけないんだ。
「実はですね、こう言うのもなんだけど……」
ゴックリ、俺ははっきりと唾を飲んだ音がいままでと比べないくらいほど聞こえた。 心臓も……。
「なんだ?」
零香は少し自分の黒髪を弄って、こっち見ている。
でも緊張している俺は、少しの間、思考がまとめられなかった。
――言え! 俺! ここまで来たから! 最後の勇気を絞れ! 言え!
心の中は必死に自分に言い聞かせて、今朝と同じ勇気を湧いてくるのを感じた。
「あのさ……今日の放課後、体育館の裏で来い……は、話したいことがあるんだ……以上、だ」
――言った!! やった!!! ついに言った!!!
まるで心にあった重い鎖から解放されたように、俺の体がクタクタであった。
「えっ?! あ、う、うん……分かった……」
彼女はまず驚く、戸惑う、そしてうなずく。 それと、零香の顔がちょっと赤くなっていた。
――よし! 放課後は楽しみだ!!!
ちゃんと心に思っていたことを言い出した俺は、自分の席に戻った間もなく、二時間目の先生はやって来て、授業が始まった。