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親子の絆

私の父は大陸を四分する大国の国王だが(その息子である私はその国の第一王子だ)、いかんせん年老いて自分で歩くことすらままならなかった。そんな父が、黒魔術を信仰していると噂された隣国の制圧戦に参加し、年老いた体にむちをうって最前線まで行くことになってしまった。国王の代わりに私が行くといったものの、他国の国王たちも来るのだからと無理をして行ってしまった。この遠征で父にもしものことがあったら私が国王に即位できるから本当のところは嬉しいけど、戦争なんて面倒くさいじゃないか。


ところが、驚くべきことに父は自力で歩いて帰ってきた!さらには迷惑なことに、元気になったから久しぶりに子供を作りたいとか言い出したので、なんとか止めさせた。そのときの父の残念そうな顔ときたら。いい年して今更、、、ふさぎ込んでくれていれば間もなく私が国王になれたというものを、いったい父に何が起こったのか?


元気になって帰ってきただけではなく、大陸四大国家間で平和同盟まで結んでしまった。国家間での大規模な戦争はこれまでもなかったし、今でもそんな雰囲気は見られない。かといって、いきなり平和同盟を結ぶなんて、何かがあったとしか思えない。そう思っている矢先、父が例の黒魔術が疑われた国を表敬訪問するという情報が入ってきた。そこに全ての謎をとく鍵があると確信した私は、無理をいって半ば無理やりに同行させてもらうことにした。




「これはこれは、国王陛下に第一王子。遠いところをお疲れでしょう。私に一声かけていただければ、魔道師を使って転移魔法を使わせたものを。」


「いやいや、こちらから出向くのにそちらの魔道師殿を頼るのは筋違いじゃろう。それに、『あの日』以来、なんだか元気になってのぉ。最近はおっくうでしかなかった馬車での長旅もなんだか新鮮であった。病は気からというが、やはり気の持ちようは大事じゃのう。そのお礼をいいたくて、寄らせてもらった。」


「国王陛下どの。第一王子である私からも貴国に対してあらぬ疑いをかけたお詫び、ならびに父を元気にしてくれたことに対してお礼を言わせてください。」


「お詫びなどと。私たちが疑われるようなことをしてしまったのも事実。しかし、今はすでに誤解も解けて平和同盟を結んだ仲ではございませんか。頭を上げてくだされ。それに、父上が元気になられたのは父上の意思があってこそ、私たち『ナニ』かしたとしても、それはきっかけにすぎませぬ。」


「ありがたきお言葉。父である国王ともども、改めて御礼申し上げる。」


「ふむ、しかと受けた。したがって、この件についてはもう終わった事じゃ。いつまでも難しい顔をせず、楽しい話でもしようではないか。まぁ、端的に言ってしまえば、王子どのは父上でもある国王陛下がどうやって元気になったのかを知りたいのではござらぬか?」


「それは、、、見抜かれたいましたか。自分で歩くこともままらなかった父が、子作りしたいとボケ・・・もとい、冗談が言えるほどに元気になった秘訣をぜひ教えてはいただけないかと。」


「お前、今わしのことをボケと言わなかったか?」


「聞き間違いです。耳まで残念になってしまいましたか?」


「残念とは何だ!残念とは!あの日以来、耳だって感度が良くなってすごいんだぞ!それに今なら言葉責めだって一字一句聞き逃すことはないぞ!最近は耳が遠くなって何を言っているのかわからなくて興奮することも出来なかったのに。」


(感度ってなんだよ感度って。しかも言葉責めとか、そんなこと聞いてないだろまったく・・・)


「ハッハッハッ!お父上も元気になったようで貴国も安泰ですな。まぁ、よろしいでしょう。いずれにせよ近いうちに国王たちを招かなくてはいけないと思っていたところです。せっかくですから王子殿も『秘訣』を見て行かれるのが良いでしょう。」


「お心遣い感謝します。」

(秘密がわかれば父を再び病床に戻すことも出来るはず。そうすれば、今度こそ私が国王になれる!)



儀式の間にて・・・


「しょーーーかーーーん」


「こ、これは召喚魔法!?実用化されていたのか?」

(ん、なんか今国王がちょっと震えたように見えたけど気のせいか?)

もちろん、気のせいではない。


(ひょっとして勇者を召喚して他の国々を脅したのか!?)


召喚といえば勇者といっても過言ではないので、王子の発想はごくごく自然なものであった。しかし、王子の心配とはうらはらに魔方陣の中央には1冊の書物が鎮座しているだけだった。


「あれは、、、書物?」


「さよう。異世界から召喚した書物ですよ、王子」


「おまえが自分の手で確かめてこい」


国王に促され、おそるおそる魔方陣の中央へ進む王子。書物に描かれているものがはっきりと視認できるようになると、小走りになった。


(ふ、冷静を装っても体は正直じゃ。まだまだ若いのぉ。)


魔方陣の中央で書物を取り上げ、こちらを振り返った王子の鼻からは鼻血が出ていた。それにしても、魔方陣で召喚したエロ本には鼻血を出す呪いでもかかっているのだろうか?


「こ、これは、、、もしや書物の中に生きたまま女性がとらわれている魔書といったものでしょうか?」

(ひょっとしてこれを使って国王達の精気を抜き取り、人形のように操っているのか?)

鼻血を出しがら王子が問いかける。


「ふふふ、そのように思われるのも致し方あるまい。それほど精巧な印刷技術、我々も持ち合わせておらぬからの。我々もいろいろと調べてみたが、その書物からは魂や意思、魔力といったものは何も感じられぬ。ナニかを感じるとすれば、それは我々の意思ということになるの。(ニヤリ)」


「ひょっとして、黒魔術でこの書物を召喚したのですか?」


「あぁ、そのことか。我々は黒魔術なんてやっておらぬ。その本は何色じゃったかの? おぉ、金髪か。それじゃ黒の素晴らしさはわからん。おい、魔法使いよ、『黒』を持って参れ。」


「ははっ」


魔法使いの一人が一冊のエロ本を持ってくる。


「これが『黒』と呼んでいるものじゃ。」


「おぉぉ、これが『黒』。確かに、これはあがめたくなってしまいますな。」


「この良さがわかるとは、王子も若いのになかなかわかってらっしゃる。」


「まぁ、私としてはこの婦人型はちょっと若すぎる気もしますが。」


「おぉ、おぉ。王子の好みはもうちょっと年上であったか。これはこれは。お目が高い。して、具体的には何歳くらいがお好みであろうか?」


「私の好みを聞いてどうする?」


「お好みにあった書物を召喚できますよ?」


「本当か?」


「本当です。何歳ぐらいをご所望ですかな?あぁ、髪の毛の色も調整できますよ。」


「髪の毛の色まで!?素晴らしい魔法ですな!」

(いかん、いかん、このままでは私までこの国王にとりこまれてしまう!)


「なお、この部屋にいるものは、同士といっても過言ではない者たちばかり。個人の趣味についてとやかく言う者もおらぬから余計な心配は無用ですぞ。」


「そ、そうですか。では、黒髪で50歳くらいのご婦人をお願い出来ますか?」


(50歳?)王子以外が軽く驚いた。父である国王ですらちょっと引いているようだ。


「王族とか貴族だと10歳くらいの女の子と結婚することも珍しくないし、その気になればそのままいろいろ出来る。かといって、年上のご婦人ととなると、機会がないではありませんか。若い女性は中年男性に頼りがいを感じて恋心を抱くことがあるというが、男だって年上の女性に頼りたくなることもあると思うのですよ。」


自信をもって自身を正当化する王子。


「ま、まぁ、そのあたりは個人の趣味ですしな。おぉ、そうだ。ひょっとして『あの書物』がお気に召すかもしれませんな。おい、魔法使いよ、『最高齢のご婦人』の書物を持って参れ。」


「ははぁっ。」


年齢別召喚実験のときに一番最初に召喚してしまった、ある意味で「魔書」扱いといっていた書物が持ってこられた。


「これなどはどうじゃ?」


「いやぁ、さすがにここまでいくと、ただのばばあにしか見えません。」


「そうか、それは失礼した。では早速、召喚するとしようか。」


「お願いします。」





そして、「それ」は召還された。


「おぉ、これはすばらしいですな。私のためにわざわざありがとうございます。魔法使い殿にはあとから何か褒美を持ってこさせましょう。」


「お気になさらずとも。」



もしも王子の趣味がこの世界に一般的に見られる女性であれば、エロ本でここまで興奮することはなかっただろう。側室という仕組みもあるし、いくらでも自由になるからだ。しかし、子供を作ることが側室の役割となっている以上、子供を作ることの出来ない年齢の女性と「親しく」なることは不可能。ましてや、この国ではあまり見られない黒髪の女性となればなおさらである。いくら国家権力の中枢にいる王子といえば、個人的な趣味のために何でも自由に出来るわけではなかった。そのため、自分の趣味を満喫できるエロ本は貴重な癒やしとなったのだ。


てっきり王子以外の者は全員引いているかと思いきや実はそうではなかった。


「ふむ。お前はやはりワシの子供だったということか。」


「親父?いや、国王陛下。今のはどういう意味で?」


「そのままの意味じゃ。ワシもその書物に描かれているくらいの妙齢の女性が好きでな。かといって、黒髪の女性はほとんどいないし、仮にワシの好みの女性がいたとして、そうそう親しくなることもできないし、若い頃は悶々としたものじゃ。」


まさかのカミングアウト。この親にしてこの子ありとは、正にこのことであろうか。自分の性癖は少々特殊なのではないか?と理解しつつあった王子にとって、まさか一番身近にいた国王が同じ趣味だったとは青天の霹靂であった。


「国王陛下。私はあなたの事を誤解していたようです。私はこれまでわがままに育てられ、国王陛下の意にそぐわぬ行いも少なくなかったと自覚しております。しかし、どうやら私が間違っていたようです。このような女性を愛する人は、等しく同士と呼べるはず。これまでの反抗的な行いの数々、若さ故の過ちと今なら素直に認めることが出来ます。どうかお許しください。」


深々と頭を下げる王子。本来なら、他国の国王の前でのこのようなやりとりは、醜聞の元になりかねない行為だが、儀式の間においてはそんな心配は無用であった。ただし、その場にいた者たちがどう思うかは自由だが。


(要するに二人とも熟女好きだったって事がばれただけだよな)

二人以外が全員同じ思いだった。


「頭を上げよ。実はこれまで、ひょっとしてお前の『趣味』は私と同じではないかと思ったことが何度かあるのじゃ。もっと早くに話し合う機会があれば、もっと早くわかり合えたのだろうな。国王である前に、父親として足りなかったのかもしれぬ。これからは、同じ思いを持つ者同士、助け合ってともに進もうではないか。」


「国王陛下・・・(涙)」


涙を流しながら抱き合う二人。台詞だけ聞いていれば格好いい親子愛にも聞こえるが、お互いの熟女好きがばれただけである。


抱き合いながらコソコソとささやき合う二人。


「(コソッ)妻(女王)には内緒にしておくれ。」

「(コソッ)私のほうも妻(次期女王)には秘密にお願いします。」


秘密を共有することで、絆が深まった二人。後に、この国王と王子は、二人三脚で国を導いた素晴らしい親子として、歴史にその名を残すことになった。なお、二人が熟女好きというのは歴史に残らなかった、はず。


とりあえずエロ本パートはここまで。次回は違うものを呼び出す予定です。

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